株式会社アルペンの四半期決算報告書を分析してみました。スポーツ用品小売業大手の同社は、新規出店を強化するとともに、既存店の活性化にも注力したことで、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比で2.0%増と好調に推移しました。ただ、一部の商品で在庫消化が進まずに利益率が低下したため、営業利益は前年同期比で90.5%減となりました。今後は気候変動の影響を受けにくい事業体制の構築や、デジタル化の推進など、収益力強化に向けた取り組みに期待が高まります。
企業情報
企業名: 株式会社アルペン
証券コード: E03475
決算期: 2023年6月期
株式会社アルペンの決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社アルペンの決算日は6月30日で、通常の日本企業と同様の決算スケジュールを採用しています。年間の決算発表は、8月下旬に年次報告書を、11月中旬に第2四半期決算報告書を、2月中旬に第3四半期決算報告書を、5月中旬に第1四半期決算報告書を、それぞれ発表しています。
主な事業
株式会社アルペンは、スポーツ用品の小売事業を中心に展開しています。主力のスポーツ用品部門では、ゴルフ、競技・一般スポーツ、スポーツライフスタイル、アウトドア、ウィンター用品の各カテゴリーの商品を取り扱っています。全国に408店舗を構えており、店頭販売のほかオンライン販売も強化しています。スポーツ用品小売業界における大手企業の1社です。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が182,449百万円と前年同期比で2.0%の増加となりました。一方、営業利益は302百万円と前年同期比で90.5%と大幅な減益となりました。これは、一部商品の在庫消化が進まず売上総利益率が低下したことや、新規出店や既存店の活性化施策に伴う費用増加の影響によるものです。利益率の低下は課題となっています。
売上・利益の推移
直近3年間の業績推移を見ると、売上高は前年同期から2.0%増加し、182,449百万円となりました。一方、営業利益は前年同期から90.5%減少し、302百万円にとどまりました。経常利益も63.3%減の1,590百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益も95.7%減の125百万円となりました。売上は堅調に推移しているものの、利益面では厳しい状況が続いています。
四半期連結貸借対照表について
2024年3月31日時点の四半期連結貸借対照表を見ると、資産合計は203,535百万円となっています。うち、流動資産は114,831百万円で、現金及び預金の減少があったものの、商品及び製品が増加しています。固定資産は88,703百万円で、有形固定資産の増加が主な要因です。
資産の部
総資産は前期末比17,029百万円増加し、203,535百万円となりました。流動資産は主に現金及び預金の減少や商品及び製品の増加により、前期末比13,200百万円増の114,831百万円となっています。固定資産は主に有形固定資産の増加により、前期末比3,829百万円増の88,703百万円となっています。
負債の部
負債合計は前期末比18,797百万円増加し、89,602百万円となりました。流動負債は主に支払手形及び買掛金の増加や短期借入金の増加により、前期末比14,758百万円増の75,647百万円となっています。固定負債は主に長期借入金の増加により、前期末比4,038百万円増の13,955百万円となっています。
純資産の部
純資産合計は前期末比1,767百万円減少し、113,932百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少によるものです。自己資本比率は56.0%と前期末から6ポイント低下しています。
ROAとROE
収益性を示す指標のROA(総資産利益率)は前年同期の2.4%から0.6%に低下し、ROE(自己資本利益率)も前年同期の2.6%から0.1%に大幅に悪化しています。これは主に営業利益の減少が影響しているものと考えられます。収益力の改善が課題となっています。
キャッシュフロー
当四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは8,206百万円のマイナスとなりました。これは主に税金等調整前四半期純利益の減少やたな卸資産の増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは3,184百万円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローは3,484百万円のプラスとなりました。全体としては8,000百万円の現金及び預金の減少となっています。
配当の支払額
株式会社アルペンは、これまで安定的な配当を実施してきました。当第3四半期連結累計期間では、年間配当金25円の半額となる中間配当25円を実施しています。株主還元の維持に努めていることが確認できます。
今後の展望
今後の展望としては、足元の収益性の改善と、中長期的な成長」への取り組みが重要といえます。収益性改善には、在庫管理の強化や売上総利益率の向上、さらなる経費削減などが課題となります。中長期的には、新型コロナウイルス感染症の収束後のインバウンド需要の取り込みや、デジタル化の推進、新たな事業領域への展開など、成長に向けた施策に期待が寄せられています。
編集部のまとめ
株式会社アルペンの四半期決算報告書からは、売上高は増加したものの、利益面では大幅な減益となったことがわかりました。収益力の改善が課題となっていますが、新規出店や既存店活性化など、中長期的な成長に向けた取り組みも進めています。今後の業績推移に注目していきたいと思います。
株式会社アルペンの決算日や配当についてまとめました。
株式会社アルペンの決算日は6月30日で、年間の決算発表スケジュールは通常の日本企業と同様です。また、同社は年間配当金25円の支払いを実施しており、安定的な株主還元に取り組んでいることがわかりました。引き続き、同社の業績と株主還元の動向に注目していきたいと思います。