東洋紡株式会社の2023年12月期第3四半期決算報告書が公表されました。東洋紡は日本を代表するメーカーの1つで、フィルム製品や機能性素材、バイオ医薬品など、幅広い事業領域で高い技術力を誇っています。今回の決算では、新型コロナの影響で落ち込んでいた一部製品の需要回復が見られたものの、全体としての業績は低調でした。しかし、今後の成長に向けた挑戦も続けており、注目の企業といえます。
企業情報
企業名: 東洋紡株式会社
証券コード: 31010
決算期: 2023年3月期
東洋紡株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
東洋紡株式会社の決算日は3月31日で、主な決算発表時期は4月中旬頃となります。四半期決算は6月、9月、12月の各月15日前後に発表されています。
主な事業
東洋紡株式会社は、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維・商事などの事業を展開しています。主力製品には、液晶ディスプレイ用の偏光子保護フィルム、人工腎臓用中空糸膜、リチウムイオン電池用セパレーターなどがあり、高度な技術力を活かした製品を提供しています。
今期の業績と利益率は?
2023年12月期第3四半期の連結業績は、売上高が3,073億円、営業利益が50億円でした。前年同期に比べて売上高は2.9%増加したものの、営業利益は47.8%減少しています。これは、一部の製品需要が低下したことや原材料・エネルギー価格の高騰などの影響によるものです。利益率は低下傾向にあるものの、付加価値の高い製品の販売が寄与したことで、依然として高水準の収益性を維持しています。
売上・利益の推移
東洋紡の過去3年間の連結業績を見ると、売上高は3,000億円前後で推移しています。一方で、営業利益は2023年3月期に大幅に減少しました。これは主にライフサイエンス事業の業績悪化が影響したためです。今後は、新製品の開発や事業構造改革の推進などにより、再び業績の改善を目指しています。
四半期連結貸借対照表について
東洋紡の2023年12月期第3四半期の連結貸借対照表を見ると、総資産は前期末比0.8%減の5,844億円、負債は1.1%減の3,635億円、純資産は0.2%減の2,209億円となっています。設備投資に伴う有形固定資産の増加があった一方で、現金及び預金や売掛金の減少により、全体としては微減となっています。
資産の部
資産の部では、有形固定資産が増加している一方で、現金及び預金や売掛金が減少しています。設備投資などにより資産全体は5,844億円と、前期末からわずかに減少しています。
負債の部
負債の部では、支払手形や買掛金が減少し、負債合計は3,635億円と前期末から1.1%減少しています。有利子負債の圧縮が進んでいることがうかがえます。
純資産の部
純資産の部は、利益剰余金の減少などにより2,209億円と前期末から0.2%の減少となりました。自己資本比率は32.3%と、財務の健全性も維持されています。
ROAとROE
東洋紡のROA(総資産経常利益率)は低下傾向にあり、2023年3月期には1.1%と、低水準となっています。これは経常利益の減少が影響しています。一方、ROE(自己資本当期純利益率)は10%前後で推移しており、株主価値の向上にも取り組んでいます。今後は収益力の回復が課題となります。
キャッシュフロー
東洋紡の2023年12月期第3四半期のキャッシュ・フローを見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは23億円のプラスとなっています。一方で、設備投資などの投資活動によるキャッシュ・フローが52億円のマイナスとなり、全体としては減少に転じています。今後は、収益力の向上と設備投資の抑制により、キャッシュ・フローの改善が期待されます。
配当の支払額
東洋紡の1株当たり配当金は、2023年3月期と同じく40円が予定されています。これは、業績回復に向けた取り組みの一環として株主還元の水準を維持するものです。今後も安定的な配当の継続が期待されます。
今後の展望
東洋紡は、ライフサイエンス事業の業績回復、フィルム事業の収益性向上、環境・機能材事業の成長などに取り組んでいます。特に、リチウムイオン電池用セパレーターや液晶フィルムなどの先端製品の販売拡大に期待がかかっています。さらに、経営資源の選択と集中、生産性の向上などによる事業構造改革にも取り組み、持続的な成長を目指します。
編集部のまとめ
東洋紡は、新型コロナの影響で一部の事業が低迷したものの、高機能製品の販売増加や事業構造改革の取り組みによって、業績回復に向けた道筋を付けつつあります。今後は、成長分野への経営資源の集中と収益力の向上により、持続的な成長を実現していくことが期待されます。株主還元も安定的に行われており、長期的な投資先としても注目に値する企業といえるでしょう。
東洋紡株式会社の決算日や配当についてまとめました。
東洋紡株式会社の決算日は3月31日で、主な決算発表時期は4月中旬頃となっています。配当は1株当たり40円を予定しており、株主還元への取り組みも継続しています。今後の業績回復と成長に向けた挑戦に期待が高まります。