株式会社巴川コーポレーションの決算報告がリリースされました。同社は2024年3月期第3四半期の業績を発表し、売上高は前年同期比3.6%減の24,940百万円となりましたが、経常利益は1,216百万円と堅調な結果を残しています。中国経済の低迷の影響を受けた一部事業の落ち込みを、半導体・ディスプレイ関連事業やセキュリティメディア事業の好調が補った形となりました。今後の更なる成長に期待が高まりそうです。
企業情報
企業名: 株式会社巴川コーポレーション
証券コード: 38780
決算期: 3月期
株式会社巴川コーポレーションの決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社巴川コーポレーションは、3月31日を決算日としている3月期決算の企業です。例年4月から翌3月までの1年間の業績を発表しており、今回の決算報告は2023年4月1日から12月31日までの第3四半期の実績となっています。
主な事業
株式会社巴川コーポレーションは、トナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業、機能性シート事業、セキュリティメディア事業などを手掛けている総合素材メーカーです。特に、半導体や液晶ディスプレイなどのハイテク製品向けの材料供給に強みを持っており、これら先端分野での技術力が同社の強みとなっています。また、セキュリティに特化した製品の開発にも注力しており、クレジットカードなどの偽造防止用紙などを提供しています。
今期の業績と利益率は?
2023年4月1日から12月31日までの第3四半期の業績は、売上高が24,940百万円、営業利益が977百万円、経常利益が1,216百万円となりました。前年同期と比べると売上高は3.6%減少したものの、利益面では堅調に推移しています。特に、半導体・ディスプレイ関連事業とセキュリティメディア事業が好調で、これらの事業の増収効果が寄与しています。
売上・利益の推移
同社の売上高は年々増加傾向にあり、2023年3月期通期では34,170百万円を記録しました。一方で利益面では、直近の第3四半期では営業利益が前年同期比46.5%減の977百万円となりました。これは、トナー事業や機能性不織布事業の販売不振により収益性が低下したことが主な要因です。今後は、新製品の立ち上げや価格改定などによるコスト上昇の吸収が課題となっています。
四半期連結貸借対照表について
2023年12月31日現在の四半期連結貸借対照表をみると、資産合計は44,181百万円となっています。流動資産は22,317百万円、固定資産は21,864百万円となっています。負債合計は26,262百万円で、そのうち流動負債が18,023百万円、固定負債が8,239百万円となっています。また、純資産合計は17,919百万円となっています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が増加したことなどから流動資産が前期末比779百万円増加しています。固定資産も設備投資や保有株式の時価上昇などにより454百万円増加しています。
負債の部
負債の部では、短期借入金が増加したことなどから、流動負債が1,944百万円増加しています。一方で、長期借入金の返済が進み、固定負債は259百万円減少しています。
純資産の部
純資産の部では、A種優先株式の全株消却により資本剰余金が減少した一方で、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加などにより、純資産合計は451百万円減少しています。
ROAとROE
ROA(総資産利益率)は前期の4.3%から当期第3四半期では2.7%に低下しています。これは前述の収益性の悪化によるものです。一方でROE(自己資本利益率)は前期の8.1%から当期第3四半期では2.5%と大幅に低下しています。これは純資産が減少したことや、A種優先株の全株消却により、自己資本が減少したことが主な要因です。今後は、収益性の改善とともに、自己資本の拡充が重要課題となっています。
キャッシュフロー
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,623百万円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローが1,286百万円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローが760百万円のプラスとなっています。現金及び現金同等物の期末残高は5,660百万円となっています。
配当の支払額
直近の2023年5月の取締役会決議に基づき、普通株式1株当たり15円、A種優先株式1株当たり50円の配当を行っています。A種優先株については、2023年9月に全株消却を行っているため、今後は普通株式のみの配当となる見込みです。
今後の展望
株式会社巴川コーポレーションは、中期経営計画「Vision 2025」の実現に向け、半導体・ディスプレイ関連事業やセキュリティメディア事業などの成長分野への経営資源の集中や、コスト削減など収益性改善策に取り組んでいきます。また、A種優先株の全株消却により財務体質の強化も図っています。今後は、新製品の開発や競争力の強化によって、持続的な成長を実現していくことが期待されます。
編集部のまとめ
株式会社巴川コーポレーションは、先端素材分野での高い技術力と、セキュリティ製品の強みを活かし、堅調な業績を維持しています。ただし、一部事業の販売不振によって収益性が低下した点は課題となっています。今後は、成長分野への経営資源の集中や、コスト削減などによる収益性の改善が重要となります。また、A種優先株の全株消却により、財務体質の強化も図られました。同社は中期的な成長を目指す中、株主還元の拡大も期待されます。
株式会社巴川コーポレーションの決算日や配当についてまとめました。
株式会社巴川コーポレーションは3月31日を決算日とする3月期決算企業です。2023年5月の取締役会決議に基づき、普通株式1株当たり15円、A種優先株式1株当たり50円の配当を行っています。A種優先株については2023年9月に全株消却を行っているため、今後は普通株式の配当のみとなる見通しです。配当性向の向上などが期待されます。