株式会社マネーフォワードの決算報告書を分析しました。Fintech分野で大きな成長を遂げているこの企業は、SaaS型サービスを中心に事業を展開しています。今期も売上高が40.5%も増加するなど、順調な業績推移を示しています。キャッシュレス化やデジタル化の需要を取り込み、コロナ禍の影響を乗り越えて着実に成長を続けています。
企業情報
企業名: 株式会社マネーフォワード
証券コード: E33390
決算期: 第13期第1四半期(2023年12月1日〜2024年2月29日)
株式会社マネーフォワードの決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社マネーフォワードの決算期は11月期です。当第1四半期決算は2023年12月1日から2024年2月29日までの3ヶ月間の業績となります。
主な事業
株式会社マネーフォワードは、Fintech分野でさまざまなサービスを提供しています。法人向けの業務効率化クラウドソリューション「マネーフォワード クラウド」や、個人向けの自動家計簿アプリ「マネーフォワード ME」、金融機関向けのDXサポートサービスなど、多様なプロダクトを展開しています。これらのサービスは主にSaaS形式で提供されており、企業や個人のニーズに合わせてサービスを選択できるのが特徴です。
今期の業績と利益率は?
当第1四半期の業績は、売上高9,544百万円(前年同期比40.5%増)と大幅な増収となりました。EBITDAは529百万円と収益性の向上も見られ、赤字幅も前年同期比で縮小しています。SaaS ARRも25,500百万円と順調に拡大しており、ストック収益の増加が寄与しています。
売上・利益の推移
近年、売上高、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する四半期純損失などの指標は改善傾向にあります。売上高は2022年11月期に30,380百万円と大幅に増加し、当第1四半期も40.5%の増収を達成しています。一方で、赤字幅も徐々に縮小しており、今期のEBITDAも黒字に転換しつつあります。この調子で事業基盤の強化と収益性の向上が期待できるでしょう。
四半期連結貸借対照表について
株式会社マネーフォワードの財務状況は健全に推移しています。当第1四半期末の総資産は84,939百万円と前期末比で3,343百万円減少しましたが、これは主に現金及び預金の減少によるものです。一方で、負債合計は50,834百万円と前期末比で2,787百万円減少しています。
資産の部
資産の部では、流動資産が50,081百万円と大半を占めています。その中でも現金及び預金が30,754百万円と最も大きな割合を占めています。また、固定資産が34,857百万円あり、ソフトウエアなどの無形固定資産が大部分を占めています。
負債の部
負債の部では、流動負債が28,439百万円、固定負債が22,394百万円となっています。流動負債の主な内訳は、短期借入金5,957百万円、契約負債5,306百万円などです。固定負債の主な内訳は、長期借入金8,273百万円、転換社債型新株予約権付社債12,000百万円です。
純資産の部
純資産の部は34,105百万円となっています。資本金が26,753百万円、利益剰余金が△9,697百万円となっています。株主資本の合計は24,688百万円で、自己資本比率は31.4%と財務基盤は安定しています。
ROAとROE
株式会社マネーフォワードのROAとROEについては、赤字幅が縮小傾向にあるものの、まだ低水準にあります。今後は収益性の改善とともに、ROAとROEの向上も期待できるでしょう。ROAは-1.5%、ROEは-3.8%となっています。業績の改善とともに、収益性と資本効率の向上が課題となっています。
キャッシュフロー
株式会社マネーフォワードのキャッシュフローは、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスで推移しています。これは、ソフトウエアなどの無形固定資産への投資が続いているためです。一方、営業活動によるキャッシュ・フローは改善傾向にあり、事業の収益性が高まってきていることがうかがえます。今後は、キャッシュ・フローの改善とともに、財務体質の強化が課題になると考えられます。
配当の支払額
株式会社マネーフォワードは、現時点では配当を実施していません。成長投資に経営資源を振り向けており、財務体質の強化と事業基盤の拡大に注力しているためです。今後、収益性と財務体質が一定水準に達した際には、株主還元策の検討も視野に入ってくるでしょう。
今後の展望
株式会社マネーフォワードは、Fintech分野での高い成長性と収益性の向上が期待されます。法人向けのクラウドサービスや個人向けアプリなど、多様なサービスラインナップを持つ同社は、デジタル化の需要を取り込み着実に業績を伸ばしています。今後もSaaS型ビジネスモデルを強みに、企業や個人のニーズに合わせたサービス提供により事業の拡大が見込めます。
編集部のまとめ
株式会社マネーフォワードは、Fintech分野において強みのあるサービスを展開し、着実に業績を伸ばしてきました。SaaS型ビジネスモデルを武器に、法人向けや個人向けなど多角的なサービス展開で、収益性と成長性を両立させています。デジタル化の波に乗ることができている同社の今後の事業展開に期待が高まります。
株式会社マネーフォワードの決算日や配当についてまとめました。
株式会社マネーフォワードの決算期は11月期で、当第1四半期決算は2023年12月1日から2024年2月29日までの3ヶ月間の業績となります。配当については、現時点では実施していません。成長投資に注力しているため、今後の収益性と財務体質の強化を待って、株主還元策の検討が行われるものと考えられます。