東邦化学工業株式会社の2023年12月期第3四半期の決算報告をお届けします。東邦化学工業は、様々な界面活性剤や樹脂、化成品、スペシャリティーケミカルなどを製造・販売する老舗の化学メーカーです。今期の業績は前年同期比で減収となったものの、依然として安定した収益基盤を維持しています。今後も新製品開発や海外展開などに注力し、持続的な成長を目指すことが期待されます。
企業情報
企業名: 東邦化学工業株式会社
証券コード: 4090
決算期: 3月期
東邦化学工業株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
東邦化学工業の決算期は3月期です。毎年6月に本決算の有価証券報告書を提出し、2月には第3四半期の四半期報告書を提出しています。
主な事業
東邦化学工業は、界面活性剤、樹脂、化成品、スペシャリティーケミカルなどの分野で幅広く事業を展開しています。特に界面活性剤では、香粧品原料や土木建築用薬剤、繊維助剤などを製造・販売しており、創業以来の主力事業となっています。近年では電子情報材料関連のスペシャリティーケミカルにも注力し、事業領域の拡大を図っています。
今期の業績と利益率は?
2023年12月期第3四半期の業績は、売上高37,743百万円、営業利益494百万円、経常利益520百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益322百万円と、前年同期比で減収減益となりました。主因は、中国経済の低迷や原料高騰の影響を受け、自動車関連や電子情報材料関連の販売が低調だったことです。一方で、売上高営業利益率1.3%、売上高経常利益率1.4%、売上高当期純利益率0.9%と、依然として一定の収益力を維持しています。
売上・利益の推移
東邦化学工業の過去3年間の業績推移を見ると、2023年3月期は売上高55,361百万円、営業利益1,179百万円と、新型コロナの影響から回復し好業績を収めました。しかし2024年3月期第3四半期では、需要の鈍化などから売上高37,743百万円、営業利益494百万円と、前年同期から減収減益となっています。今後の世界経済の動向を注視しつつ、新製品の開発や海外展開の強化など、収益力の向上に努めていく必要があるでしょう。
四半期連結貸借対照表について
2023年12月末の総資産は69,409百万円と、前期末から1,458百万円増加しています。流動資産は主に現金及び預金の増加や棚卸資産の増加により、38,397百万円と前期末比1,429百万円増加しました。一方、固定資産は31,011百万円と前期末比わずかな28百万円の増加にとどまっています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が7,112百万円と前期末比1,033百万円増加しており、安定的な財務基盤を維持しています。一方で、受取手形及び売掛金が13,781百万円と195百万円減少しているのは、売上高の減少によるものです。また、棚卸資産が16,644百万円と前期末比572百万円増加しています。
負債の部
負債の部では、支払手形及び買掛金が9,780百万円と前期末比184百万円減少しました。一方で、短期借入金が11,103百万円と525百万円増加しており、資金調達面の対応が必要になっています。また、社債が2,000百万円と前期末比300百万円減少しました。
純資産の部
純資産は18,808百万円と前期末比1,043百万円増加しています。その主な要因は、その他の包括利益累計額の増加によるものです。自己資本比率は27.0%と前期末比1.5ポイント上昇しており、財務の健全性が高まっています。
ROAとROE
東邦化学工業のROA(総資産利益率)は前期の1.8%から、当第3四半期は0.9%に低下しています。これは売上高の減少に加え、総資産が増加したことが主な要因です。一方のROE(自己資本利益率)は、前期の5.2%から当第3四半期は3.4%に低下しました。純資産が増加したものの、純利益の減少を受けての結果となっています。今後は収益性の向上とともに、資産効率の改善にも注力していく必要がありそうです。
キャッシュフロー
東邦化学工業のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは2,175百万円の収入となり、前年同期比では544百万円の増加となりました。これは主に営業利益の減少はあったものの、売上債権と棚卸資産の減少によるものです。一方で、投資活動によるキャッシュフローは751百万円の支出、財務活動によるキャッシュフローは1,030百万円の支出となっています。全体としては1,033百万円の現金及び預金の増加となりました。
配当の支払額
東邦化学工業は、株主への利益還元を重要な経営課題の1つとして位置づけています。2023年3月期の期末配当は1株当たり15円、中間配当は1株当たり15円の計30円の年間配当を実施しました。2024年3月期の配当予想は未定ですが、業績や株主還元方針に応じて、適切な水準の配当を行っていくものと思われます。
今後の展望
東邦化学工業は、中国経済低迷や原料高騰の影響で、当第3四半期は減収減益となりましたが、中長期的には新製品開発や海外展開の強化などにより、収益力の向上を目指していきます。特に電子情報材料関連や環境配慮型製品などのスペシャリティーケミカル分野に注力し、事業ポートフォリオの最適化を進めていく考えです。また、「製造現場の生産性向上やコスト削減」などにも取り組み、収益基盤の強化を図っていきます。これらの施策を通じて、持続的な成長と株主還元の充実を目指していくでしょう。
編集部のまとめ
東邦化学工業は、中国経済の低迷などの影響で当第3四半期は減収減益となりましたが、それ以外の期では安定した収益力を維持しています。今後は新製品開発や海外展開の強化などにより、更なる飛躍を目指すことが期待されます。また、製造現場の生産性向上やコスト削減などの取り組みにも力を入れ、中長期的な成長と株主還元の充実を図っていくことが重要でしょう。
東邦化学工業株式会社の決算日や配当についてまとめました。
東邦化学工業の決算期は3月期で、毎年6月に有価証券報告書を提出し、2月に第3四半期の四半期報告書を提出しています。また、株主への利益還元として、2023年3月期の年間配当は1株当たり30円を実施しました。今後の業績や株主還元方針に応じて、適切な水準の配当を行っていくことが期待されます。