日本の臨床検査薬大手の栄研化学株式会社の最新の決算報告書が公開されました。業界を牽引する同社の業績は堅調で、感染症検査や検診関連製品の好調な売上を背景に、業績に明るい兆しが見られます。成長投資やコスト削減などを通じて、持続可能な事業展開を目指す同社に注目が集まっています。
企業情報
企業名: 栄研化学株式会社
証券コード: 45490
決算期: 2023年3月期
栄研化学株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
栄研化学の決算は年度制で、決算日は3月31日です。株主総会は6月に開催されます。四半期決算では、第3四半期の決算を今回公表しています。
主な事業
栄研化学は、臨床検査薬の研究・開発・製造・販売を主な事業としています。主力製品には、便潜血検査用試薬、免疫血清検査用試薬、尿検査用試薬などがあります。医療機関や検査センターなどに製品を提供することで、人々の健康管理に貢献しています。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期の売上高は30,493百万円と前年同期比で9.9%減少しましたが、営業利益は3,417百万円と大幅な減益となりました。これは新型コロナウイルス検出試薬の売上が減少したためです。一方、便潜血検査用試薬などの主力製品は好調で、利益率の高いこれらの製品が増加傾向にあります。
売上・利益の推移
直近3年間の売上高は43,271百万円(2023年3月期)、33,860百万円(2022年3月期)、35,951百万円(2021年3月期)と推移しています。利益面では、経常利益が2023年3月期は5,736百万円、2022年3月期は7,107百万円、2021年3月期は6,873百万円と高水準を維持しています。
四半期連結貸借対照表について
2023年12月末時点の総資産は65,195百万円で、前期末比1,080百万円減少しています。一方、負債は14,924百万円と前期末比1,816百万円減少しています。自己資本比率は76.6%と高水準を維持しており、財務体質は健全です。
資産の部
流動資産は39,674百万円で、前期末比457百万円増加しました。固定資産は25,520百万円で、前期末比1,537百万円減少しました。主な要因は、長期預金の減少です。
負債の部
流動負債は10,603百万円で、前期末比1,840百万円減少しました。主な要因は、未払法人税等の減少です。固定負債は4,321百万円と前期末比25百万円増加しました。
純資産の部
純資産は50,271百万円で、前期末比735百万円増加しました。これは自己株式の減少などによるものです。1株当たり純資産は1,353.70円となりました。
ROAとROE
ROA(総資産経常利益率)は前期の10.7%から当期は5.4%に低下しています。一方、ROE(自己資本当期純利益率)は前期の11.3%から5.1%に減少しました。これは主に、高収益の新型コロナウイルス検出試薬の売上が減少したことによるものです。ただし、依然として高い水準を維持しています。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュ・フローは2,570百万円のプラスを計上しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは1,337百万円のマイナスとなりました。これは設備投資などによるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは1,824百万円のマイナスで、主に配当金の支払いによるものです。
配当の支払額
同社は株主還元に積極的で、2023年3月期は1株当たり52円の配当を実施しました。2023年12月期の中間配当は1株当たり25円です。今後も安定配当を目指す方針のようです。
今後の展望
栄研化学は「がんの予防・治療」「感染症撲滅・感染制御」「ヘルスケアに役立つ製品・サービス」の3つの注力事業分野に取り組んでおり、これらの分野で新製品の開発や海外展開を加速させる方針です。さらなる成長と企業価値向上を目指していくとのことです。
編集部のまとめ
栄研化学は、新型コロナウイルス検出試薬の売上減少により減益となりましたが、その他の主力製品が好調に推移しています。今後は成長分野への投資と経営効率化により、収益性の改善が期待されます。株主還元も積極的に行っており、同社の業績と成長戦略に注目が集まっています。
栄研化学株式会社の決算日や配当についてまとめました。
栄研化学の決算日は3月31日で、年1回の決算です。株主総会は6月に開催されます。配当は年間52円(2023年3月期)と健全な水準を維持しており、株主還元にも注力しています。今後の成長に期待が高まっている企業といえるでしょう。