こんにちは。株式会社淀川製鋼所の2023年度第3四半期決算を分析したので、その結果をご紹介します。
淀川製鋼所は鉄鋼大手の一角を占める老舗メーカーで、鋼板関連事業を中心に展開しています。この度の決算では、売上高153,465百万円、営業利益8,939百万円と、コロナ禍の影響からやや回復傾向にあるものの、海外事業での減収などにより前年同期比で減収減益となりました。
今後は、世界経済の不透明感の高まりや鉄鋼需給の悪化など、厳しい事業環境が続くことが予想されますが、淀川製鋼所はこうした環境変化に柔軟に対応し、収益力の強化に努めていく方針です。
企業情報
企業名: 株式会社淀川製鋼所
証券コード: 54510
決算期: 2023年3月期
株式会社淀川製鋼所の決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社淀川製鋼所の決算期は毎年3月31日です。
四半期決算は6月30日、9月30日、12月31日、3月31日に行われます。
主な事業
株式会社淀川製鋼所は、鋼板関連事業を中核としつつ、ロール事業、グレーチング事業、不動産事業など、幅広い事業分野に進出しています。鋼板関連事業は同社の中核をなし、鋼板の製造・販売が主たる業務となっています。このほか、ロール事業やグレーチング事業、不動産事業なども手がけ、事業の多角化を進めています。
今期の業績と利益率は?
今期の業績は、売上高153,465百万円、営業利益8,939百万円と、前年同期比で減収減益となりました。
利益率は、営業利益率5.8%と前年同期から若干低下しています。これは、主力の鋼板関連事業における販売数量の減少や、海外子会社の業績悪化などの影響によるものです。
売上・利益の推移
直近の3年間の業績を見ると、淀川製鋼所の売上高は2022年3月期に220,314百万円まで回復してきましたが、2023年3月期第3四半期では153,465百万円と減少に転じています。
一方、営業利益は2022年3月期に17,686百万円と高水準を維持したものの、2023年3月期第3四半期では8,939百万円と前年同期から減少しました。
依然として厳しい経営環境が続いているものの、各事業における収益性の改善に努めています。
四半期連結貸借対照表について
淀川製鋼所の2023年12月31日時点の総資産は260,679百万円と、前期末比で9,622百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加や投資有価証券の増加によるものです。
一方、負債合計は46,404百万円と、前期末比で2,746百万円減少しています。これは支払手形及び買掛金の減少などによるものです。
純資産は214,275百万円と、前期末比で12,368百万円増加しました。利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定の増加などが主な要因です。
資産の部
流動資産は154,389百万円と前期末比で3,521百万円増加しています。現金及び預金の増加、受取手形及び売掛金の増加などが主な要因です。
固定資産は106,289百万円と前期末比で6,100百万円増加しており、投資有価証券の増加が主な要因となっています。
負債の部
流動負債は30,257百万円と前期末比で4,834百万円減少しました。支払手形及び買掛金の減少、未払法人税等の減少などが主な要因です。
固定負債は16,147百万円と前期末比で2,088百万円増加しており、主に繰延税金負債の増加によるものです。
純資産の部
純資産合計は214,275百万円と前期末比で12,368百万円増加しました。利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の増加、為替換算調整勘定の増加などが要因です。
自己資本比率は前期末の71.6%から72.9%に改善しています。
ROAとROE
淀川製鋼所の2023年3月期のROA(総資産利益率)は4.2%、ROE(自己資本利益率)は5.3%となっています。
前年同期と比べROAは0.4ポイント、ROEは0.6ポイント低下しています。これは、保有資産の効率的な活用や収益性の改善に課題が残されていることを示しています。
今後は、事業構造改革などを通じて、さらなる収益力の向上とROA、ROEの改善が期待されます。
キャッシュフロー
第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローを見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは13,926百万円の収入となり、前年同期に比べ1,192百万円増加しました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは6,954百万円の支出と前年同期に比べ801百万円増加しています。これは主に有形固定資産の取得による支出の増加などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより3,674百万円の支出となりました。
配当の支払額
淀川製鋼所は、株主の皆さまに対する利益還元を重要な経営課題の1つと位置付けています。
2023年度の中間配当は1株当たり55円と、前期と同額の配当を実施しました。期末配当も含めた年間配当金は1株当たり126円を予定しています。
今後の展望
淀川製鋼所は、中期経営計画「淀川製鋼グループ中期経営計画2025」に基づき、国内外の需要変動に柔軟に対応しつつ、収益力の強化と「サステナビリティ経営」の推進に取り組んでいきます。
具体的には、国内鋼板事業の競争力強化、海外事業の収益改善、新製品開発などを通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
編集部のまとめ
淀川製鋼所は厳しい事業環境の中、生産性の向上や販売価格の改善など、収益力の強化に取り組んでいます。
直近の業績は減収減益となりましたが、財務体質の安定性は高く、積極的な株主還元も実施しています。
今後は、中期経営計画の着実な推進により、企業価値の向上と持続的な成長を目指していくものと期待されます。
株式会社淀川製鋼所の決算日や配当についてまとめました。
淀川製鋼所の決算期は毎年3月31日で、四半期決算は6月30日、9月30日、12月31日、3月31日に行われています。
配当については、中間配当が1株当たり55円、年間配当は126円を予定しており、株主の皆さまへの利益還元に努めています。