こんにちは。今回は、兼房株式会社の決算報告書を分析してお伝えします。兼房株式会社は、工業用刃物の製造・販売を行う企業です。この決算では、業績が一部悪化しましたが、売上高と利益水準は健全な状況を維持しています。また、自己資本比率も高く、財務基盤が強固であることがわかりました。今後も、国内外のマーケットでさらなる成長を遂げていくことを期待したいと思います。
企業情報
企業名: 兼房株式会社
証券コード: 59840
決算期: 2023年3月期
兼房株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
兼房株式会社の決算日は3月31日です。従って、決算報告書は毎年6月に発表されます。また、中間配当は12月に、期末配当は6月に支払われます。
主な事業
兼房株式会社は、主に工業用刃物の製造・販売を行っています。具体的には、平刃類(木工用刃物など)、精密刃具類(自動車・機械部品用刃物など)、丸鋸類(建築用丸鋸刃物など)などを生産しています。国内外の様々な製造現場で使われている重要な工具です。海外でも中国、インドネシア、米国、欧州などに拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
今期の業績と利益率は?
当期の売上高は154億1,800万円と前年同期比7.1%減少しました。収益面では、営業利益が8億1,300万円(前年同期比46.0%減)、経常利益が9億6,300万円(前年同期比39.8%減)となり、減益となりました。主な理由は、中国やベトナムでの売上原価率上昇によるものです。一方で、税引前四半期純利益は9億8,700万円と、前年同期比45.7%の減少にとどまりました。
売上・利益の推移
近年の売上高と利益の推移をみると、2021年3月期まで増収増益が続いていましたが、2022年3月期以降は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、やや減収減益傾向にあります。ただし、引き続き安定した収益力を維持している企業と言えます。今後は、国内外の需要回復によりさらなる業績拡大を目指していくと考えられます。
四半期連結貸借対照表について
2023年12月末時点の総資産は350億5,400万円となり、前期末から11億8,900万円増加しています。流動資産は183億5,800万円、固定資産は166億9,500万円となっています。
資産の部
流動資産では、現金及び預金が減少しましたが、原材料及び貯蔵品が増加したことなどから、全体として減少しています。固定資産では、有形固定資産が14億5,000万円増加しました。
負債の部
負債合計は60億9,500万円となり、前期末から3億7,100万円減少しました。流動負債が減少し、固定負債がやや増加しています。
純資産の部
純資産合計は289億5,900万円と、前期末から15億6,000万円増加しました。為替換算調整勘定の増加や、利益剰余金の増加などによるものです。自己資本比率は82.6%と非常に高い水準となっています。
ROAとROE
ROA(総資産経常利益率)は3.1%、ROE(自己資本当期純利益率)は2.2%となっています。前年同期と比べて低下しましたが、いずれも安定的な水準を維持しています。これは、収益力の高さと健全な財務体質を示しています。今後は、収益力のさらなる向上に向けて取り組むことが課題だと言えます。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュ・フローは8億2,700万円の収入超過となりました。一方で、設備投資などにより投資活動によるキャッシュ・フローは17億2,400万円の支出超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより5億7,500万円の支出超過となっています。この結果、現金及び現金同等物の当期末残高は51億5,800万円となりました。
配当の支払額
当期の1株当たり配当金は年間28円(うち中間配当7円50銭)となり、前期と同水準の配当を実施しています。配当性向は65.2%と高めですが、業績や財務状況からも適切な水準と言えるでしょう。今後も安定的な配当を維持していくことが期待されます。
今後の展望
兼房株式会社は、国内外の需要回復に伴い、2024年3月期には売上高170億円、経常利益14億円を目標としています。また、自動車関連や木工関連などの重点分野での拡販に注力するほか、生産性向上やコスト削減にも取り組んでいきます。さらに、海外市場の開拓にも力を入れるなど、中長期的な成長を目指していく方針です。
編集部のまとめ
兼房株式会社は、工業用刃物の分野で高い技術力と品質を有する企業です。当期は一時的な減益があったものの、依然として安定した収益力を維持しています。今後は、国内外の需要回復とともに、新たな成長分野の開拓にも注力していく見通しで、持続的な成長が期待できる企業だと言えるでしょう。
兼房株式会社の決算日や配当についてまとめました。
兼房株式会社の決算日は3月31日で、6月に決算報告が行われます。配当は中間配当が12月、期末配当が6月に支払われています。当期の年間配当金は28円で、前期と同水準を維持しています。今後も安定配当を続けていくことが期待されます。