企業概要と事業規模
大塚製薬株式会社は、東京都に本社を置く日本を代表するグローバルヘルスケア企業です。同社は医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の二つの主要事業柱を中心に、医薬品から栄養補給製品まで幅広い製品ポートフォリオを展開しています。
2023年12月時点での売上高は7,165億円を記録しており、国内有数の製薬企業として確固たる地位を確立しています。本社は東京のほか、大阪と徳島に主要な拠点を配置し、全国15支店・48出張所のネットワークを通じて事業を展開しています。
製造拠点としては国内に8つの工場を保有し、医療関連事業製品とニュートラシューティカルズ関連事業製品の両方を製造しています。研究開発部門も4カ所に配置され、革新的な医薬品開発に注力しています。
医療関連事業の最新展開
大塚製薬の医療関連事業は、複数の治療領域にわたる医薬品開発を推進しています。中枢神経疾患、がん、消化器疾患、循環器・腎疾患、呼吸器疾患、結核、眼科疾患、皮膚科疾患など、多岐にわたる領域で医療ニーズに対応する製品を提供しています。
2026年1月には、同社にとって重要なマイルストーンが達成されました。遺伝性血管性浮腫の発作抑制を目的とした医薬品「Dawnzera」が欧州委員会から販売承認を取得しました。この医薬品は成人および12歳以上の青年を対象とした治療薬として位置づけられています。
大塚製薬は2023年に欧州におけるこの医薬品の独占的販売権を取得し、さらに2024年にはアジア地域を対象エリアに追加する契約を締結しています。希少疾患領域における専門性とグローバルな商業基盤を活かし、市場導入に向けた準備を進めています。
また、大塚製薬は国立がん研究センターおよび慶應義塾大学との共同研究において、「造血器腫瘍遺伝子パネル検査の開発」で第8回医療研究開発大賞の文部科学大臣賞を受賞しました。この受賞は、同社の研究開発能力と医療への貢献が高く評価されたことを示しています。
ニュートラシューティカルズ関連事業
大塚製薬のニュートラシューティカルズ関連事業は、「栄養」をテーマに医療と健康に貢献する事業領域です。水分補給製品、栄養補給製品、健粧品(コスメディクス)など、日常の健康維持に関連する多様な製品を展開しています。
この事業領域は、医療用医薬品とは異なるアプローチで、消費者の健康寿命延伸と生活の質向上に貢献することを目指しています。
業界との協業と供給体制の強化
2026年1月、大塚製薬は東和薬品株式会社との間で医薬品製造における協業体制の構築に関する基本合意を締結しました。この協業は、先発医薬品企業とジェネリック医薬品企業の枠を越えた戦略的な取り組みとなります。
協業の内容としては、大塚製薬が保有する一部の医薬品の承継および製造委受託、並びに東和薬品のジェネリック医薬品開発時における大塚製薬のデータ活用と相互のバックアップ生産体制の整備が含まれています。
この基本合意は、近年社会的課題となっている医薬品の供給不安の解消を図るものです。両社の企業理念に基づき協業体制を構築することで、両社の持つ強みを相互に活かしつつ、より一層の安定供給を実現し、患者さんの治療に貢献することを目指しています。協業による生産準備は2026年3月以降、両社が合意した品目から順次進められる予定です。
環境への取り組みとカーボンニュートラル推進
大塚製薬は、企業の社会的責任を果たすため、環境への取り組みを積極的に推進しています。2026年1月には、太陽光発電設備の増設に関する重要な発表がなされました。
同社は徳島第二工場に新たに太陽光発電設備を設置するとともに、徳島板野工場、高崎工場、徳島工場、徳島美馬工場においても増設しました。これらの設備は2024年9月から2025年12月までの期間にそれぞれ稼働を開始しています。
太陽光発電設備によるCO2排出削減量は、国内6工場合計で年間約3,189トンの見込みとされています。既に国内使用電力の84%をCO2フリー電力等の導入により再生可能エネルギーに切り替えており、再生可能エネルギーを自社で創出する当取り組みは、脱炭素化に直接貢献するものです。
このような環境への配慮は、大塚製薬が長期的な企業価値の向上と社会への貢献を両立させようとする姿勢を示しています。
グローバルな持続可能性への取り組み
大塚製薬を傘下に置く大塚ホールディングスは、グループ全体として「Science Based Targets(SBT)」認定取得に向けてコミットメントレターを提出しました。
SBTは、企業が気候変動対策に関する科学的根拠に基づいた目標を設定し、その達成に向けて取り組むことを認定する国際的な枠組みです。この取り組みは、大塚グループが単なる短期的な利益追求ではなく、長期的な持続可能性を重視する経営姿勢を示すものです。
環境面での取り組みに加えて、大塚製薬は健康経営、ダイバーシティ&インクルージョン、地域連携など、多角的なCSR活動を展開しており、これらは企業の総合的な価値創造戦略の一部となっています。
研究開発と革新への投資
大塚製薬は、医療ニーズの充足と新しい治療法の開発に向けて、継続的に研究開発に投資しています。国内4カ所の研究部門を配置し、基礎研究から臨床開発まで、幅広い段階での研究活動を展開しています。
希少疾患領域における専門性の構築も同社の重要な戦略の一つです。遺伝性血管性浮腫のような希少疾患に対する医薬品開発は、患者数が限定的であるため開発リスクが高い領域ですが、大塚製薬はこのような領域での医療ニーズに応えることに注力しています。
また、大学や研究機関との共同研究も積極的に推進されており、国立がん研究センターや慶應義塾大学との協力による研究成果が、医療研究開発大賞の受賞という形で社会に認められています。
組織体制と人材戦略
大塚製薬は、東京、大阪、徳島の三つの主要拠点を中心に、全国規模での事業展開を行っています。本部機能を複数の拠点に分散配置することで、地域ごとのニーズに対応しながら、グループ全体の統一性を保つ組織体制を構築しています。
営業体制としては、全国15支店・48出張所のネットワークを通じて、医療機関や流通業者との関係構築を行い、医薬品の安定供給と適切な情報提供を実現しています。
人材面では、新卒採用を含む継続的な人材確保と育成に注力しており、多様な背景を持つ人材がグループ内で活躍できる環境づくりを進めています。
まとめ
大塚製薬株式会社は、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の二つの事業柱を中心に、グローバルなヘルスケア企業として成長を続けています。欧州での医薬品承認取得、ジェネリック医薬品企業との協業による供給体制の強化、太陽光発電設備の増設によるカーボンニュートラル推進、そしてSBT認定取得に向けた取り組みなど、2026年初頭の動きは、同社が医療への貢献と企業の持続可能性を両立させようとする姿勢を明確に示しています。希少疾患領域での専門性構築、研究開発への継続的な投資、そして環境・社会への責任ある対応を通じて、大塚製薬は今後も日本を代表するグローバルヘルスケア企業としての地位を強化していくと考えられます。
大塚製薬、欧州承認の希少疾患薬でグローバル展開加速をまとめました
大塚製薬株式会社は、医療と健康に関わる多角的な事業を展開する日本の主要製薬企業です。医療関連事業では複数の治療領域にわたる医薬品を提供し、ニュートラシューティカルズ関連事業では栄養補給や健康維持に関連する製品を展開しています。2026年初頭の企業活動からは、希少疾患への対応、業界との協業による供給体制の強化、環境への配慮と持続可能性の追求という、三つの重要な経営方針が読み取れます。グローバルな医療ニーズへの対応と、長期的な企業価値の創造を目指す大塚製薬の取り組みは、今後のヘルスケア産業における重要な事例となるでしょう。














