トレックス・セミコンダクター株式会社の決算報告をお届けします。売上高が前年同期比22.0%減と大きな落ち込みとなりましたが、経営陣は収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて様々な取り組みを行っています。今回の決算から、同社の現状と今後の展望について詳しくご説明します。
企業情報
企業名: トレックス・セミコンダクター株式会社
証券コード: 66160
決算期: 2023年3月期
トレックス・セミコンダクター株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
トレックス・セミコンダクター株式会社の決算日は3月31日で、決算期は2023年3月期となります。 四半期決算は年4回行われ、第1四半期決算(4~6月)、第2四半期決算(7~9月)、第3四半期決算(10~12月)、そして通期決算(4月~3月)を公表しています。
主な事業
トレックス・セミコンダクターは、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取り組む半導体メーカーです。コア事業は、主に産業機器や車載機器、家電製品などに搭載される電源用半導体の開発・製造・販売です。低損失でありながら高性能な半導体デバイスを提供することで、顧客の製品を高性能化かつ省エネ化に貢献しています。近年では、脱炭素社会実現に向けたパワー半導体分野の製品開発にも注力しています。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が195億57百万円(前年同期比22.0%減)となり、大きな減少となりました。営業利益は4億12百万円の損失(前年同期は営業利益42億89百万円)、経常損失は9億2百万円(前年同期は経常利益42億68百万円)となっています。減収と営業赤字の主な要因は、中国市場を中心とした売上の大幅な減少と、在庫の評価見直しによる棚卸評価損の発生です。利益率については、大幅な減益により厳しい状況となっています。
売上・利益の推移
過去3年間の売上高と利益の推移をみると、2022年3月期に大幅な増収増益となりましたが、2023年3月期第3四半期は減収減益に転じています。この背景には、コロナ禍での特需の反動減や中国市場の低迷などが影響しているようです。一方で、経営陣は製品開発や設備投資、営業体制強化などの諸施策に積極的に取り組んでおり、今後の業績回復が期待されます。
四半期連結貸借対照表について
最新の四半期連結貸借対照表では、総資産が406億99百万円と前期末から36億50百万円増加しています。この増加の主な要因は、資金の追加借入により現金及び預金が39億52百万円増加したことなどによります。一方で、売上高減少に伴い受取手形及び売掛金が6億11百万円減少、棚卸資産も9億74百万円減少しています。
資産の部
資産の部では、流動資産が271億53百万円と前期末から24億38百万円増加しました。一方、固定資産は135億46百万円と12億12百万円増加しています。この増加の主な要因は、当社子会社において製品の増産体制を構築すべく新規設備を導入したことによる有形固定資産の増加です。
負債の部
負債の部では、流動負債が67億57百万円と前期末から6億24百万円減少しています。これは、冬季賞与の支給により賞与引当金が4億51百万円減少したことなどによります。一方、固定負債は105億25百万円と前期末から54億53百万円増加しています。この増加の主な要因は、新規設備投資に充当することを主な目的として長期借入金が53億78百万円増加したことによるものです。
純資産の部
純資産合計は234億15百万円と前期末から11億78百万円減少しています。この減少は、主に親会社株主に帰属する四半期純損失8億12百万円の計上によるものです。この結果、自己資本比率は57.5%となり、前期末から8.9ポイント低下しています。
ROAとROE
ROA(総資産利益率)は当第3四半期で△2.2%と大幅な悪化となっています。一方、ROE(自己資本利益率)も△3.5%と非常に低い水準になっています。この背景には、営業赤字の計上や在庫評価損の発生などが影響しているようです。今後は収益力の改善に向けて、製品開発や生産性向上、新市場開拓などの取り組みが重要になってくると考えられます。
キャッシュフロー
当第3四半期のキャッシュフローでは、営業活動によるキャッシュフローがマイナスとなっています。これは売上減少に伴う営業損失の計上や、棚卸資産の減少などによるものです。一方、投資活動によるキャッシュフローはマイナスで、製品増産体制の構築に向けた設備投資を行っています。財務活動によるキャッシュフローはプラスとなっており、新規の借入れを行ったことが主な要因です。今後は収益改善とともに、着実なキャッシュフローの創出が課題となります。
配当の支払額
トレックス・セミコンダクター株式会社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の1つとしています。当期は、年間配当金が56円(中間配当28円、期末配当28円)と前期から変わらずの水準を維持しています。この間、同社の業績は振るわない結果となりましたが、将来への投資も見据えつつ、株主の皆様への安定的な配当を続けていく方針のようです。
今後の展望
トレックス・セミコンダクター株式会社は、収益力の強化と持続的な成長に向けて、製品企画・開発、生産体制の強化、営業体制の拡充など、様々な施策に取り組んでいます。今後は、脱炭素社会実現に資するパワー半導体分野での製品展開強化や、新市場の開拓など、成長戦略の立案と実行が重要になるでしょう。中期的には、業績の回復と企業価値の向上に期待が寄せられています。
編集部のまとめ
トレックス・セミコンダクター株式会社の2023年3月期第3四半期決算は、コロナ禍の反動減や中国市場の低迷などの影響により、大幅な減収減益となりました。しかし、同社は製品開発やグローバル営業体制の強化、設備投資など、収益力の向上と持続的な成長に向けた施策に積極的に取り組んでいます。今後は、脱炭素社会実現に資するパワー半導体分野への挑戦など、新たな収益源の開拓に期待が寄せられています。企業の取り組みと業績動向を注視していく必要がありますね。
トレックス・セミコンダクター株式会社の決算日や配当についてまとめました。
トレックス・セミコンダクター株式会社の決算日は3月31日で、決算期は2023年3月期となります。年間配当金は56円(中間28円、期末28円)と、前期から変わらずの水準を維持しています。同社は、株主への利益還元を重要な経営課題の1つとしており、今後も安定的な配当を続けていく方針のようです。