株式贈与の基本と税務対策:110万円控除の活用法

コラム
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株式贈与とは

株式贈与とは、個人または法人が保有している株式を、対価を支払わずに他者に譲渡する行為です。相続とは異なり、生前に財産を次世代へ移転させる方法として活用されています。株式贈与は、事業承継や資産の世代間移転を円滑に進めるための重要な手段となっており、適切な知識を持つことで、より効率的な資産移転が可能になります。

株式贈与には複数の形態があります。個人から個人への贈与個人から法人への贈与法人から個人への贈与など、贈与者と受贈者の組み合わせによって、適用される税制が異なります。それぞれのケースで課税される税金の種類や計算方法が変わるため、事前に理解しておくことが重要です。

個人から個人への株式贈与における税務

個人から個人へ株式を贈与した場合、受贈者に贈与税が課せられます。一方、贈与者側には課税されません。これは税法における二重課税を避けるという原則に基づいています。受贈者が既に贈与税を納めているため、その後に所得税が重ねて課せられることはありません。

株式贈与における贈与税の計算は、贈与された株式の評価額に基づいて行われます。評価額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額が課税対象となります。例えば、150万円の株式を贈与された場合、110万円の基礎控除を差し引いた残りの40万円が課税対象となり、この金額に対して所定の税率が適用されます。

重要なポイントとして、贈与された株式の評価額が110万円以下であれば、基礎控除内となるため贈与税はかかりません。この基礎控除は毎年利用できるため、計画的に贈与を行うことで、税負担を軽減することが可能です。

贈与税の計算方法と税率

株式贈与における贈与税の計算には、主に2つの方法があります。暦年贈与相続時精算課税制度です。

暦年贈与による計算

暦年贈与を活用する場合、計算式は以下の通りです:

贈与税額 =(贈与された株式の評価額 - 110万円)× 税率

暦年贈与では、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額を差し引き、その残額に対して税率を適用します。贈与税は累進課税制度を採用しており、課税対象額が大きくなるほど税率が高くなります。

一般的な贈与の場合、課税価格が200万円以下なら税率は10%、300万円以下なら15%(控除額10万円)、400万円以下なら20%(控除額25万円)というように段階的に税率が上がります。さらに高額になると、600万円以下で30%(控除額65万円)、1,000万円以下で40%(控除額125万円)となり、最高税率は55%に達します。

直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受ける場合は、より有利な税率が適用されます。この場合、200万円以下で10%、400万円以下で15%(控除額10万円)、600万円以下で20%(控除額30万円)となり、一般的な贈与よりも低い税率で計算されます。

相続時精算課税制度による計算

相続時精算課税制度を活用する場合、計算式は異なります:

贈与税額 =[(贈与額 - 110万円)- 2,500万円 ]× 20%

この制度では、2,500万円までの贈与に対しては贈与税がかかりません。2,500万円を超えた部分に対してのみ、一律20%の贈与税が課税されます。例えば、3,000万円の贈与を受けた場合、超過分の500万円に対して20%の税率が適用され、100万円の贈与税が発生します。

相続時精算課税制度は、将来の相続時に贈与税と相続税を合算して計算する仕組みになっています。大きな資産を一度に贈与したい場合や、将来の相続税対策を考慮する場合に活用されることが多いです。

個人から法人への株式贈与

個人から法人へ株式を贈与する場合、税務上の取扱いが異なります。受贈者である法人には法人税が課せられます。これは、法人が時価で財産を取得したものとして扱われるためです。

重要な点として、贈与者である個人側にもみなし譲渡所得税が課せられます。株式の取得時の金額から値上がりした利益分(含み益)は、本来であれば所得税の対象となります。株式贈与だからといって贈与者に課税しないとすると、脱税が可能になってしまうため、このような仕組みが設けられています。

つまり、個人から法人への株式贈与では、贈与者と受贈者の両者に課税が発生するため、税負担が大きくなる傾向があります。この点を考慮して、贈与方法を検討することが重要です。

法人から個人への株式贈与

法人から個人へ株式を贈与する場合、贈与者である法人には法人税が課せられます。一方、受贈者である個人には所得税が課せられます

この場合、個人が受け取った株式は給与や賞与と同様の扱いになることもあり、所得税の課税対象となります。法人側では、贈与した株式の時価相当額が受贈益として法人税の課税対象となります。

株式贈与のメリット

株式贈与には複数のメリットがあります。

毎年の基礎控除を活用できる

株式贈与における最大のメリットは、毎年110万円の基礎控除を利用できることです。この基礎控除は毎年リセットされるため、計画的に贈与を行うことで、長期間にわたって税負担を最小化することが可能です。

例えば、1,000万円の株式を贈与したい場合、一度にまとめて贈与すると高い税率が適用されます。しかし、毎年110万円ずつ贈与すれば、基礎控除内で非課税となるため、贈与税を大幅に削減できます。10年間で1,100万円を非課税で贈与することができるため、長期的な資産移転戦略として有効です。

生前に資産を移転できる

株式贈与により、生前に資産を次世代へ移転させることができます。相続とは異なり、贈与者が生きている間に資産の移転が完了するため、相続手続きの簡素化につながります。また、事業承継の場合、経営権を確実に次世代へ引き継ぐことができます。

相続税対策になる可能性

生前に株式を贈与することで、相続時の相続税対象となる資産を減らすことができます。相続税は相続時の資産額に基づいて計算されるため、事前に資産を移転させることで、相続税の負担を軽減する可能性があります。

株式の評価方法

株式贈与における贈与税は、贈与された株式の評価額に基づいて計算されます。そのため、株式の正確な評価が非常に重要です。

上場株式の場合、一般的には市場価格に基づいて評価されます。一方、非上場株式の場合は、複数の評価方法があり、企業の規模や業種によって異なる方法が適用されます。

株式の評価方法によって、贈与税の計算結果が大きく変わる可能性があります。正確な評価を行うためには、税務の専門家に相談することが推奨されます。

株式贈与を行う際の注意点

株式贈与を行う際には、いくつかの注意点があります。

贈与の意思確認

贈与税の課税を避けるためには、贈与者と受贈者の間に明確な贈与の意思があることが重要です。贈与契約書を作成することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

適切な時期の選択

株式の価値は時間とともに変動します。贈与のタイミングを適切に選択することで、より効率的な資産移転が可能になります。

複数年にわたる計画

大きな資産を贈与する場合、複数年にわたって計画的に贈与を行うことで、税負担を最小化することができます。毎年110万円の基礎控除を活用した長期的な贈与計画が有効です。

相続時精算課税制度の活用

相続時精算課税制度は、大きな資産を一度に贈与したい場合に有効な制度です。この制度では、2,500万円までの贈与に対して贈与税がかかりません。

ただし、この制度を選択した場合、将来の相続時に贈与税と相続税を合算して計算することになります。そのため、相続税の総額がどうなるかを事前に検討することが重要です。

相続時精算課税制度は、一度選択すると、その後の贈与すべてにこの制度が適用されます。制度の選択は慎重に行う必要があります。

事業承継における株式贈与

株式贈与は、事業承継の重要な手段として活用されています。経営者が保有する株式を後継者へ贈与することで、経営権を確実に引き継ぐことができます。

事業承継の場合、非上場株式の評価が重要になります。企業の業績や資産状況に基づいて、適切に評価される必要があります。また、事業承継に関連する税制上の優遇措置が存在する場合もあるため、専門家に相談することが推奨されます。

税務申告の必要性

株式贈与を受けた場合、贈与税の申告が必要になることがあります。基礎控除内の贈与であれば申告は不要ですが、基礎控除を超える贈与を受けた場合は、贈与税の申告書を提出する必要があります。

申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。期限内に申告しないと、加算税などのペナルティが課せられる可能性があります。

専門家への相談の重要性

株式贈与は、税務上複雑な側面が多くあります。特に非上場株式の評価や、複数の贈与方法の選択肢がある場合、専門家のアドバイスが非常に有用です。

税理士や弁護士などの専門家に相談することで、個別の状況に応じた最適な贈与方法を提案してもらうことができます。事前の相談により、後々のトラブルや税負担の増加を防ぐことができます。

まとめ

株式贈与は、生前に資産を次世代へ移転させるための重要な手段です。個人から個人への贈与、個人から法人への贈与、法人から個人への贈与など、複数の形態があり、それぞれで適用される税制が異なります。毎年110万円の基礎控除を活用することで、計画的に税負担を最小化しながら資産移転を進めることができます。相続時精算課税制度も選択肢として存在し、大きな資産を一度に贈与する場合に有効です。株式の評価方法や税務申告の手続きなど、複雑な側面が多いため、専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。

株式贈与の基本と税務対策:110万円控除の活用法をまとめました

株式贈与を検討する際には、税務上の仕組みを正確に理解することが不可欠です。基礎控除の活用、適切な評価方法の選択、複数年にわたる計画的な贈与など、様々な要素を考慮する必要があります。個人の状況に応じて最適な贈与方法を選択することで、効率的な資産移転が実現できます。事業承継や世代間の資産移転を検討している場合、早期から専門家に相談し、綿密な計画を立てることをお勧めします。

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