この度、岩崎通信機株式会社の決算報告書をご紹介させていただきます。主力事業の情報通信事業やソリューション事業が堅調に推移し、また、不動産事業の好調な業績を支えに、昨年度の業績修正を経て、今期の収支は着実に改善されてきています。今後のさらなる企業価値向上に向けて、新たな分野への挑戦や、保有資産の有効活用など、多岐にわたる経営戦略に注目が集まっています。
企業情報
企業名: 岩崎通信機株式会社
証券コード: 67040
決算期: 2023年3月31日
岩崎通信機株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
岩崎通信機株式会社の決算日は3月31日です。決算発表は、第1四半期決算が8月頃、第2四半期決算が11月頃、第3四半期決算が2月頃、そして本決算は5月頃に行われます。
主な事業
岩崎通信機株式会社は、情報通信事業、印刷システム事業、電子計測事業、不動産事業の4つの事業セグメントを展開しています。情報通信事業では、法人向けのビジネスフォン、クラウドサービス、受託生産などを手がけ、印刷システム事業では、印刷機器やその関連消耗品の製造・販売、電子計測事業では、半導体や電子部品の検査用プローブ等の開発・製造を行っています。また近年は不動産事業にも注力し、オフィスビルや賃貸マンションの運営を手がけています。
今期の業績と利益率は?
当期の業績は、売上収益14,992百万円、営業損失964百万円、経常損失979百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失62百万円となりました。利益率では、営業利益率は▲6.4%、経常利益率は▲6.5%、純利益率は▲0.4%となっています。前年同期に比べ減収・減益ながら、大幅な業績悪化は抑えられ、収支の改善が進んでいます。
売上・利益の推移
過去3年間の業績推移をみると、売上収益は減少傾向にあるものの、利益面では前年度に比べ改善されてきていることがわかります。経常利益は高い水準を維持できず、2期連続の赤字となりましたが、足元では損失幅が縮小してきています。同社の業績は、情報通信事業の需要動向や固定費の削減などに大きく左右される傾向にあります。
四半期連結貸借対照表について
当第3四半期末の総資産は45,507百万円となり、前期末に比べ10,203百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加や固定資産の取得によるものです。一方、負債は16,246百万円と前期末比5,094百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加によるものです。純資産は29,261百万円と前期末比5,108百万円の増加となり、自己資本比率は61.3%となっています。
資産の部
流動資産は18,721百万円で、前期末比1,856百万円の増加となっています。これは主に現金及び預金の増加によるものです。固定資産は26,785百万円と前期末比8,347百万円の増加となっており、土地や建物の取得などによる有形固定資産の増加が主な要因です。
負債の部
流動負債は3,073百万円と前期末比1,055百万円減少しました。一方、固定負債は13,172百万円と前期末比6,150百万円の増加となっています。これは主に長期借入金の増加によるものです。
純資産の部
純資産は29,261百万円と前期末比5,108百万円の増加となりました。これは主に第三者割当増資による資本金及び資本剰余金の増加によるものです。自己資本比率は61.3%と高水準を維持しています。
ROAとROE
ROA(総資産利益率)は、前年同期の▲2.4%から▲0.1%に改善しています。ROE(自己資本利益率)も前年同期の▲3.5%から▲0.2%と大幅に改善しました。両指標ともまだ低水準ですが、損失幅の縮小や、保有資産の有効活用により、収益性の向上が見られます。今後は更なる事業構造改革やM&Aなどを通じて、これらの指標の改善を目指していくものと思われます。
キャッシュフロー
当第3四半期累計期間のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは△957百万円となり、前年同期に比べ営業キャッシュ・フローの悪化が見られます。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは△5,236百万円と大幅な支出超過となっており、これは主に固定資産の取得によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは8,956百万円の収入超過となり、第三者割当増資による資金調達が大きく寄与しています。
配当の支払額
当期の期末配当については未定となっていますが、過去の実績を見ると、2022年3月期の1株当たり配当金は25円となっています。今後も安定配当の維持に努めていくものと思われますが、収益性の改善状況に応じて、配当水準の見直しも検討されるかもしれません。
今後の展望
岩崎通信機は、2022年5月に中期経営計画「REBORN」を発表し、固定費削減、事業の選択と集中、M&Aによる成長戦略に取り組んできました。本年12月にはあいホールディングス社との資本業務提携を締結し、同社グループとの協業によるシナジー創出を目指しています。また、電子計測事業の強化にも注力しており、パワーエレクトロニクス関連製品の拡充などが期待されます。今後、これらの取り組みが奏功し、企業価値の向上につながることが期待されます。
編集部のまとめ
岩崎通信機は、クラウドサービスなどの情報通信事業と、不動産事業が好調に推移し、全体としての業績も改善傾向にあります。一方で、電子計測事業の振れ幅が大きく、全社の収益性向上にはまだ課題があります。しかし、M&Aやグループ最適化など、中期的な視点での経営改革が着実に進められていることから、今後の業績回復に期待が持てる企業だと言えるでしょう。
岩崎通信機株式会社の決算日や配当についてまとめました。
岩崎通信機株式会社の決算日は3月31日で、業績発表のスケジュールは第1四半期が8月頃、第2四半期が11月頃、第3四半期が2月頃、本決算が5月頃となっています。過去の実績からは1株当たり配当金は25円程度と見られますが、収益性の改善に応じて見直しも検討されるかもしれません。今後の経営改革に注目が集まっています。