この度、帝国通信工業株式会社の2023年12月期第3四半期決算が発表されました。同社は通信機器やセンサーなどの電子部品を製造・販売する企業で、国内外のさまざまな市場に製品を展開しています。この決算報告を分析してみると、売上高は前年同期比で5.3%減少したものの、依然として堅調に推移しているといえます。自動車関連市場は回復基調にあり、同社のコア事業の1つである自動車電装向けが好調だったことがその要因といえでしょう。一方で、景気の減速に伴い生活家電市場や産業機器市場が低迷するなど、一部の市場では苦戦が見られました。
企業情報
企業名: 帝国通信工業株式会社
証券コード: 67630
決算期: 2023年3月期
帝国通信工業株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
帝国通信工業株式会社の決算期は3月期です。その中で、今回発表されたのは2023年12月期第3四半期決算となります。同社は通常、6月と12月の年2回、決算発表を行っています。
主な事業
帝国通信工業株式会社は、電子部品および環境対応緩衝材の製造・販売を主な事業としています。電子部品事業では、自動車向け電装部品、産業機器向け制御部品、医療・ヘルスケア向け製品などを手掛けています。また、環境対応緩衝材事業では、生分解性の緩衝材の製造・販売を行っており、果実や野菜の輸送用緩衝材としても注目されています。
今期の業績と利益率は?
今期の連結業績は、売上高が116億89百万円、営業利益が9億48百万円、経常利益が14億36百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が10億39百万円となりました。これらの数字をみると、売上高は前年同期比で5.3%減少したものの、利益面では経常利益が21.4%減、親会社株主に帰属する四半期純利益が5.1%減と比較的高い水準を維持できています。
売上・利益の推移
同社の売上高は直近3年間で16,493百万円、12,349百万円、11,689百万円と推移しています。一方、経常利益は2,192百万円、1,826百万円、1,436百万円と、堅調な水準を保っています。売上高が若干減少傾向にあるものの、経常利益率は10%台後半と高い水準を維持できているのが特徴です。
四半期連結貸借対照表について
同社の2023年12月期第3四半期末の総資産は312億54百万円となり、前期末比で9億47百万円増加しました。これは主に、流動資産の増加によるものです。一方、負債合計は48億36百万円と前期末比で2億27百万円増加しました。純資産は264億18百万円となり、自己資本比率は82.7%と引き続き高水準を維持しています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が116億3百万円、受取手形及び売掛金が37億82百万円、商品及び製品が15億12百万円などが主な内訳となっています。前期末に比べ、流動資産が全体的に増加しているのが特徴です。
負債の部
負債の部では、支払手形及び買掛金が6億15百万円、電子記録債務が5億39百万円などが主な内訳となっています。前期末に比べ、支払手形及び買掛金や電子記録債務が増加しているのが特徴です。
純資産の部
純資産の部では、資本金が34億53百万円、資本剰余金が54億56百万円、利益剰余金が139億24百万円などが主な内訳となっています。自己資本比率は82.7%と極めて高い水準を保っています。
ROAとROE
同社のROA(総資産経常利益率)は4.6%、ROE(自己資本利益率)は4.0%となっています。前期と比べてROAは0.6ポイント、ROEは0.5ポイントそれぞれ低下しているものの、依然として高い水準を維持しています。これは、自動車関連市場を中心に堅調な業績を維持できていることが要因です。
キャッシュフロー
同社のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが7億18百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが4億51百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが5億63百万円の支出となりました。設備投資などに一定の資金を投下しつつ、堅調な営業キャッシュ・フローを生み出せていることがわかります。
配当の支払額
同社は、2023年6月29日開催の定時株主総会の決議に基づき、1株当たり30円の期末配当を実施しました。また、2023年11月10日開催の取締役会で、1株当たり35円の中間配当を決議しています。この結果、年間配当金は1株当たり65円となる見込みです。
今後の展望
今後の見通しについては、世界経済の減速懸念や半導体・原材料の供給不足など、不透明な要因が残るものの、自動車関連市場の回復基調が続くことなどが期待されます。また、医療・ヘルスケア分野への新製品投入や生産性向上によるコスト競争力の強化など、同社ならではの施策にも注目が集まっています。業績面では、売上高は減少するものの、利益水準は堅調に推移すると予想されます。
編集部のまとめ
帝国通信工業株式会社の2023年12月期第3四半期決算は、売上高が減少したものの利益面では良好な結果となりました。自動車関連市場の好調さが継続していることに加え、同社の技術力と経営基盤の強さが示されたと言えるでしょう。今後も、新製品の開発や生産性の向上など、同社ならではの戦略を展開していくことが期待されます。
帝国通信工業株式会社の決算日や配当についてまとめました。
帝国通信工業株式会社の決算期は3月期で、年2回の決算発表を行っています。今回の決算は2023年12月期第3四半期の結果で、売上高は前年同期比5.3%減、経常利益は21.4%減と減少したものの、利益水準は依然として高い水準を維持しています。また、同社は1株当たり65円の年間配当を計画しており、株主還元も積極的に行っていることがわかります。