ニチコン株式会社の最新決算を分析しましたので、ご紹介します。コンデンサ事業とNECST事業の2つのセグメントで事業を展開しているニチコン株式会社は、この第3四半期決算で過去最高の売上高を記録。更なる成長に向け、技術開発や生産能力の強化に取り組んでいます。
企業情報
企業名: ニチコン株式会社
証券コード: 69960
決算期: 2023年3月期
ニチコン株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
ニチコン株式会社は、3月31日を期末日とする3月決算企業です。四半期決算は6月、9月、12月の各四半期末に行われ、その結果は四半期報告書で開示されています。
主な事業
ニチコン株式会社の主力事業は、コンデンサ事業とNECST事業です。コンデンサ事業では、自動車・車載機器、情報通信機器、白物家電など幅広い分野向けに、アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサなどを提供しています。NECST事業では、急速充電器、家庭用蓄電システム、EV用の充放電システムなどの製造・販売を行っています。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期の連結業績は、売上高が1,387億5,100万円(前年同期比1.1%増)と過去最高を更新しました。一方で、営業利益は79億4,600万円(同18.1%減)となり、原材料価格高騰などの影響を受けました。ただし、経常利益は97億7,000万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は80億500万円(同26.5%増)と、利益面では好調に推移しています。
売上・利益の推移
ニチコン株式会社は、3期連続で過去最高の売上高を更新しており、中期経営目標の達成に向けて順調に推移しています。利益面では、当第3四半期は原材料価格高騰の影響を受けたものの、それ以外は堅調に推移し、特に親会社株主に帰属する四半期純利益は26.5%増と大幅な増益となりました。
四半期連結貸借対照表について
ニチコン株式会社の四半期連結貸借対照表を見ると、資産合計は2,071億4,100万円と前期末比147億1,800万円増加しています。これは主に、有形固定資産の増加によるものです。一方、負債合計は978億6,500万円で、前期末比81億8,100万円の減少となっています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が295億9,400万円と前期末比45億2,500万円増加しています。また、有形固定資産が516億400万円と大幅に増加しており、設備投資の成果が表れています。
負債の部
負債の部では、支払手形及び買掛金が171億9,400万円、電子記録債務が172億9,400万円となっています。また、短期借入金が152億円と前期末比45億円増加しています。
純資産の部
純資産の部では、株主資本が862億7,300万円と前期末比58億1,600万円増加しています。また、その他の包括利益累計額が201億7,000万円となっています。
ROAとROE
ニチコン株式会社のROA(総資産経常利益率)は4.7%、ROE(自己資本利益率)は7.4%となっています。ROAは前期末の5.0%から0.3ポイント低下しましたが、ROEは前期末の7.7%から0.3ポイント低下にとどまっています。これは、経常利益の減少と自己資本の増加によるものです。
キャッシュフロー
当第3四半期の営業キャッシュ・フローは132億3,800万円の収入で、前年同期比98億8,600万円の増加となりました。一方、投資キャッシュ・フローは109億7,400万円の支出となり、財務キャッシュ・フローは13億6,500万円の収入でした。この結果、現金及び現金同等物の当第3四半期末残高は295億9,400万円と、前期末から45億2,500万円増加しました。
配当の支払額
ニチコン株式会社は、年2回の配当を実施しています。当期の1株当たりの中間配当は16円、期末配当は未定です。前期の年間配当は30円だったので、今期も同水準が期待されます。配当性向は前期25.4%、当期見込み28.0%前後となる見込みです。
今後の展望
ニチコン株式会社は、「Vision 2025」の達成に向けて、コンデンサ事業では自動車・モビリティ、情報通信、環境関連市場での拡販、NECST事業では急速充電器や蓄電システムの展開による事業基盤の強化に注力しています。また、技術開発と生産能力の増強にも積極的に取り組んでおり、更なる業績向上が期待されます。
編集部のまとめ
ニチコン株式会社は、コンデンサ事業とNECST事業を両輪として、着実な業績拡大を実現しています。過去最高の売上高を記録した一方で、原材料価格高騰の影響により営業利益は減益となりましたが、経常利益、純利益は増益と底堅い業績です。今後は、成長戦略を着実に実行し、更なる企業価値の向上を目指していくことが期待されます。
ニチコン株式会社の決算日や配当についてまとめました。
ニチコン株式会社は3月決算の企業で、年2回の配当を行っています。中間配当は1株当たり16円、期末配当は未定ですが、前期の年間配当30円程度が見込まれます。今後も、持続的な成長と株主還元の両立を目指していくことが期待されます。