株式会社山善の第3四半期決算報告がリリースされました。生産財関連事業と消費財関連事業の両分野において、設備投資需要の回復遅れや個人消費の伸び悩みといった厳しい市場環境の影響を受けつつも、持続的な成長に向けた取り組みを着実に進めてきたことが伺えます。今後の展開にも注目が集まります。
企業情報
企業名: 株式会社山善
証券コード: 80510
決算期: 3月31日
株式会社山善の決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社山善の決算期は3月31日です。第3四半期決算の報告は2024年2月14日に行われました。
主な事業
株式会社山善は、主に生産財事業と消費財事業を手掛けている総合商社です。生産財事業では、工作機械や機械工具、脚立などの供給を通じて、顧客企業の「モノづくり」をサポートしています。一方、消費財事業では、住宅設備機器やホームライフ用品など、消費者の「快適生活空間づくり」を提案しています。国内外で幅広い事業展開を行っており、顧客の多様なニーズに応えています。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期連結累計期間の売上高は378,130百万円となり、前年同期比で4.0%の減収となりました。利益面では、営業利益が7,541百万円と前年同期比37.9%の減益、経常利益が7,975百万円と前年同期比38.0%の減益となりました。厳しい事業環境の影響を受けたものの、生産財関連事業と消費財関連事業の両輪で収益力の維持に努めています。
売上・利益の推移
直近3年度の売上高推移をみると、2023年3月期が527,263百万円、2022年3月期が532,024百万円、2021年3月期が450,283百万円となっています。利益面では、2023年3月期の経常利益が17,280百万円、2022年3月期が18,295百万円、2021年3月期が13,136百万円と推移しています。新型コロナの影響から徐々に回復基調にあるものの、ここ最近は市況の変化により伸び悩む状況となっています。
四半期連結貸借対照表について
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は286,536百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,351百万円の減少となりました。一方、負債合計は158,773百万円と6,356百万円の減少、純資産は127,762百万円と4,005百万円の増加となりました。自己資本比率は44.2%と前期末より1.6ポイント上昇しています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が75,527百万円と5,185百万円増加しましたが、有価証券が8,400百万円と3,401百万円減少するなど、全体として減少基調となっています。
負債の部
負債の部では、仕入債務が56,644百万円と5,032百万円減少したことが主な要因となっています。
純資産の部
純資産の部では、利益剰余金が102,598百万円と1,531百万円増加、為替換算調整勘定が6,366百万円と1,413百万円増加しました。自己資本比率も44.2%まで高まっています。
ROAとROE
株式会社山善のROA(総資産利益率)は、2023年3月期が4.3%でした。また、ROE(自己資本利益率)は同期に10.1%となっています。経営の効率性と収益力を示す指標ですが、直近では市況の変化の影響で低下傾向にあります。企業価値向上のためには、持続的な収益力の確保が重要な課題と言えるでしょう。
キャッシュフロー
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは7,902百万円の収入超過となっています。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは2,732百万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは4バウ百万円の支出超過となっています。手元流動性の確保と、収益力強化に向けた投資のバランスを取っていく必要があります。
配当の支払額
株式会社山善は年2回、期末配当と中間配当を行っています。当第3四半期連結累計期間では、2023年3月期期末配当金が20円、2023年9月期中間配当金も20円と、前期と同水準の配当を実施しています。株主還元の充実は企業価値向上の重要な要素だと捉えられています。
今後の展望
株式会社山善は、中期経営計画「CROSSING YAMAZEN 2024」に基づき、持続的な企業価値向上を目指しています。引き続き、コロナ禍の影響や景気動向の不透明感はあるものの、自動化・省人化への需要拡大や、脱炭素対応など、成長分野への取り組みを強化していく方針です。企業体質の強化と事業ポートフォリオの最適化を通じて、収益力の向上と株主還元の充実を図っていきます。
編集部のまとめ
株式会社山善は、生産財と消費財の両事業で収益を上げる老舗の総合商社です。直近の業績は厳しい環境の中でも一定の水準を確保しつつ、中期的な成長に向けた取り組みを着実に進めてきたことが分かります。自動化や脱炭素といった市場のニーズに合わせたソリューション提案力の強化、グローバル展開の推進など、持続的な企業価値の向上に向けた施策に注目が集まります。株主還元の充実も評価できるでしょう。
株式会社山善の決算日や配当についてまとめました。
株式会社山善の決算期は3月31日で、第3四半期決算は2024年2月14日に発表されました。配当につきましては、年2回の中間配当と期末配当を実施しており、当期の中間配当は1株当たり20円となっています。企業価値向上に向けた取り組みと、株主還元の充実が特徴的です。