第一交通産業株式会社の2023年3月期第3四半期の決算報告がアップされました。好調な業績を収めた同社は、新型コロナウイルス感染症の影響がしだいに改善に向かい、収益力をしっかりと高めてきています。また、脱炭素社会への取り組みにも注力していることから、持続可能な事業展開が期待されます。この決算報告を分かりやすく見ていきたいと思います。
企業情報
企業名: 第一交通産業株式会社
証券コード: 90350
決算期: 2023年3月期
第一交通産業株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
第一交通産業株式会社の決算期は3月31日です。毎年、5月と11月に配当を実施しており、決算短信の提出は年4回行われています。
主な事業
第一交通産業株式会社は、タクシー事業、バス事業、不動産分譲事業、不動産賃貸事業、不動産再生事業、金融事業などを展開しています。タクシー事業ではサービス面での差別化を図り、バス事業では沖縄県を中心に事業を展開しています。また、不動産分譲事業やマンション・オフィスの賃貸管理、金融事業など、多角的な事業ポートフォリオを構築しています。
今期の業績と利益率は?
2023年3月期第3四半期の業績は売上高70,756百万円、営業利益2,109百万円、経常利益2,802百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益1,482百万円と、前年同期比で増収増益を達成しました。特に、タクシー事業とバス事業の回復、不動産再生事業の増収が業績を牽引しています。
売上・利益の推移
同社の直近3年間の業績推移を見ると、売上高は前年同期の65,496百万円から70,756百万円へと8.0%増加しています。また、営業利益は前年同期の1,362百万円から2,109百万円へと54.8%増加するなど、着実に業績を拡大してきています。
四半期連結貸借対照表について
2023年12月31日時点の四半期連結貸借対照表では、総資産は187,652百万円となっています。また、純資産は42,925百万円で、自己資本比率は22.9%となっています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が18,128百万円、不動産関連資産(販売用不動産、仕掛販売用不動産)が57,196百万円となっています。また、不動産賃貸事業や金融事業などの事業基盤を支えるため、有形固定資産が88,439百万円ある良好な財務体質を維持しています。
負債の部
負債の部では、有利子負債(短期借入金、長期借入金)が119,709百万円となっています。資金調達面では、不動産開発や事業投資などに活用されているものと推察されます。
純資産の部
純資産の部では、利益剰余金が45,042百万円と良好な内部留保を有しています。また、自己資本比率が22.9%と、一定の財務健全性も確保できていると評価できます。
ROAとROE
同社のROA(総資産経常利益率)は1.5%、ROE(自己資本利益率)は3.5%となっています。前年同期と比べて、両指標とも改善傾向にあるものの、まだまだ向上の余地があるといえます。今後は、事業効率の一層の向上と、株主資本の活用度を高めることが課題になると考えられます。
キャッシュフロー
当四半期の四半期連結キャッシュ・フロー計算書によると、営業活動によるキャッシュ・フローは2,542百万円の収入となっています。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは2,542百万円の支出となっており、事業基盤強化のための設備投資などに積極的に取り組んでいることがうかがえます。
配当の支払額
第3四半期末時点の配当金は、1株当たり10円となっています。前期と同水準の配当を維持しており、株主還元への配慮も見られます。今後も、業績の改善に合わせた配当の増額が期待されます。
今後の展望
第一交通産業株式会社は、脱炭素社会への取り組みにも意欲的に取り組んでいます。タクシー事業では全国でEV化を推進し、バス事業でも沖縄県内に小型EV路線バスを導入するなど、環境配慮型のサービス展開を進めています。
また、人材確保にも注力しており、女性や若年層の採用を積極的に進めることで、事業展開の新陳代謝を図っています。
今後も、既存事業の強化と新たな成長分野への挑戦により、持続的な企業価値向上が期待できる会社だと言えるでしょう。
編集部のまとめ
第一交通産業株式会社は、タクシーやバス事業を中心に、不動産事業などでも安定した収益基盤を築いてきています。特に、第3四半期の業績は売上高、利益ともに大幅に増加しており、新型コロナの影響から着実に回復傾向にあることがわかります。
また、脱炭素社会への対応や人材確保にも積極的に取り組むなど、中長期的な成長に向けて着実な布石を打っています。今後も持続可能な成長が期待できる企業だと考えられます。
第一交通産業株式会社の決算日や配当についてまとめました。
第一交通産業株式会社は、3月31日が決算日で、5月と11月に配当を実施しています。2023年3月期第3四半期では、1株当たり10円の配当を行っており、株主還元にも配慮した経営を行っています。今後も業績に応じた適切な利益配分が期待できそうです。