今期は、コロナの影響が和らぎつつあるなか、宇宙事業やメディア事業が好調だったことにより、営業収益が前年同期比2.7%増加し、経常利益も22.2%増加しました。主力の宇宙事業は、既存の通信衛星ビジネスが伸長し、新たな事業領域の展開も順調に進んでいます。メディア事業でも、配信サービスやFTTHプロバイダ事業が堅調に推移しました。
企業情報
企業名: 株式会社スカパーJSATホールディングス
証券コード: E04497
決算期: 3月
株式会社スカパーJSATホールディングスの決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社スカパーJSATホールディングスは3月決算の企業で、2024年2月9日に第3四半期の決算報告書を公表しました。通期決算は2023年3月31日に締め切られ、2023年5月中旬に公表される予定です。
主な事業
株式会社スカパーJSATホールディングスは、宇宙事業とメディア事業を主軸としています。宇宙事業では通信衛星の運用や回線サービスの提供、ビジネスインテリジェンス分野での衛星データの利活用などに取り組んでいます。メディア事業では、スカパー!の放送・配信サービスのほか、FTTH事業も展開しています。両事業が同社の主力となっています。
今期の業績と利益率は?
今期の業績は営業収益912億円、営業利益205億円、経常利益209億円、親会社株主に帰属する四半期純利益133億円となりました。利益率では、営業利益率が22.6%、経常利益率が23.0%と、高い水準を維持できています。宇宙事業やメディア事業の好調な業績が、同社の収益力の高さを裏付けています。
売上・利益の推移
過去3年の売上高と利益の推移を見ると、2022年3月期は売上高1,211億円、経常利益232億円と過去最高を記録しています。今期の第3四半期までの実績をみても、売上高が前年同期比2.7%増加、経常利益も22.2%増加と順調に推移しています。宇宙事業の通信衛星ビジネスの伸長や、メディア事業のFTTH事業の好調が、業績の底支えになっています。
四半期連結貸借対照表について
同社の2023年12月末時点の四半期連結貸借対照表をみると、資産合計が3,869億円となっています。主な資産は有形固定資産の1,134億円と流動資産の1,888億円です。一方、負債の部をみると、1,230億円で、うち有利子負債が555億円となっています。純資産は2,639億円で自己資本比率も67.8%と財務の健全性が高い水準にあります。
資産の部
同社の資産の主な内訳は、通信衛星設備やソフトウェアなどの有形・無形固定資産が1,826億円、現金及び預金が620億円、売掛金が438億円です。宇宙事業や放送・配信事業の展開に必要な固定資産が中心を占めています。
負債の部
負債の主な内訳は、長期借入金が454億円、1年内返済予定の長期借入金が104億円などの有利子負債が全体の55%を占めています。また、買掛金が143億円、未払金が75億円となっています。
純資産の部
純資産は2,639億円で、自己資本比率は67.8%と高い水準を維持しています。この背景には、長年の利益の蓄積による利益剰余金の積み上がりや、為替換算調整勘定の増加などがあげられます。健全な財務体質が同社の強みといえるでしょう。
ROAとROE
同社のROAは前期の4.3%から当期3.5%に低下しましたが、ROEは前期の6.3%から当期5.3%とほぼ横ばいで推移しています。これは、有形固定資産や棚卸資産が増加したことで総資産が増加したものの、自己資本の積み上がりにより自己資本が伸びたためです。高い収益性と健全な財務体質を維持できている様子がうかがえます。
キャッシュフロー
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは232億円の収入でした。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益201億円と減価償却費150億円などです。投資活動によるキャッシュ・フローは88億円の支出で、有形固定資産の取得が主な内訳です。財務活動によるキャッシュ・フローは204億円の支出で、借入の返済や自己株式の取得などによるものです。
配当の支払額
同社は株主還元に積極的で、今期の年間配当金は21円を予定しています。当第3四半期までの中間配当金は10円、期末配当金を11円と見込んでいます。過去3年の配当実績をみると、2022年3月期は18円、2021年3月期は18円と、業績に応じた安定的な配当を実施しています。
今後の展望
同社は、宇宙事業では新たな衛星の投入や通信サービスの拡充、メディア事業ではFTTH事業の拡大など、積極的な事業展開を進める予定です。特に宇宙事業では、光データリレーサービスやHAPS(高高度プラットフォーム)を介した携帯端末向け直接通信システムの実用化など、新しい技術の活用にも取り組んでいます。これらの取り組みにより、更なる業績拡大が期待できそうです。
編集部のまとめ
株式会社スカパーJSATホールディングスは、宇宙事業とメディア事業を中核に堅実な経営を続けてきた企業です。この度の第3四半期決算では、主力事業が好調に推移し、売上高、利益ともに前年同期比で増加しました。特に宇宙事業の通信衛星ビジネスの好調が目立ちます。財務面でも健全性が高く、株主還元にも積極的です。今後も新技術の活用などで事業領域の拡大を目指し、中長期的な成長が期待できる企業といえるでしょう。
株式会社スカパーJSATホールディングスの決算日や配当についてまとめました。
株式会社スカパーJSATホールディングスは3月決算の企業で、今期の第3四半期決算を2024年2月9日に発表しました。通期決算は2023年5月中旬に公表される予定です。また、同社は株主還元に積極的で、今期の年間配当金は1株当たり21円を予定しています。過去3年は安定した配当水準を維持しており、業績にも配慮した株主還元策を展開しています。