DMG森精機株式会社の最新の決算を分析してみたいと思います。工作機械の世界的大手であるDMG森精機は、今期の業績がこの数年で最高値を更新しています。デジタル化やグリーン化を推進するMX戦略により、顧客への高付加価値提案力が高まり、受注も順調に増加しています。特に欧州や米州での受注が好調で、この地域での競争力の高さが業績を支えています。
企業情報
企業名: DMG森精機株式会社
証券コード: 61410
決算期: 12月期
DMG森精機株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
DMG森精機株式会社の決算期は12月期です。今回の四半期決算は2024年1月1日から3月31日までの第1四半期の業績報告になります。通期の決算は2024年12月期となります。
主な事業
DMG森精機は、工作機械の製造・販売を中心に、ソフトウェア、計測装置、修理・サポートなどトータルソリューションを提供する企業です。特に工程の自動化やデジタル化、環境への配慮など、顧客ニーズにきめ細かく対応したMX戦略を推進しており、航空・宇宙、医療、インフラ関連などの幅広い産業分野で高い評価を得ています。
今期の業績と利益率は?
当第1四半期の業績は、売上収益 1,329億円(前年同期比7.8%増)、営業利益 108億円(同10.9%増)と前年同期を上回る好調な結果となりました。特に業界の設備投資に強い関連需要の取り込みが奏功し、セグメント別ではインダストリアル・サービス部門の利益率が高水準を維持しています。工作機械単体の採算も改善傾向にあり、全体としてもしっかりとした利益確保ができています。
売上・利益の推移
DMG森精機の売上や利益は、この数年回復基調にあります。2023年通期では売上高5,400億円、営業利益480億円と、新型コロナの影響から徐々に改善してきています。今期の第1四半期もそのトレンドを確認できる内容で、引き続き持続的な成長が期待できそうです。
四半期連結貸借対照表について
DMG森精機の連結貸借対照表を確認すると、全体の総資産は7,946億円となっています。このうち流動資産は3,346億円と全体の4割弱を占めており、現預金や売掛金などの短期的な資産が中心となっています。一方、固定資産は流動資産の1.4倍の4,599億円と、工作機械などの設備投資が積み上がっています。
資産の部
DMG森精機の資産の特徴としては、まずは現金及び現金同等物が376億円と、一定水準の手許資金を保有していることが挙げられます。また、主力の工作機械事業を支える棚卸資産が2,120億円と大きな割合を占めています。固定資産では、工場や設備への投資が継続的に行われており、有形固定資産が1,965億円となっています。
負債の部
負債の部では、総負債が5,152億円となっています。内訳として、営業債務が757億円、社債及び借入金が1,204億円と、仕入先への支払債務や資金調達が主な内容となっています。また、将来外部株主に支払う義務である62,311百万円も負債として計上されています。
純資産の部
純資産の部では、279,376百万円と、総資産の3.5割弱を占めています。主な内訳は親会社の所有者に帰属する持分が2,747億円で、この中にはハイブリッド資本1,108億円も含まれています。自己資本比率は34.6%となっており、健全な財務体質を維持しています。
ROAとROE
DMG森精機のROAは9.3%、ROEは△64.1%となっています。ROAは比較的高い水準を維持しているものの、ROEが低下しているのは、2024年1-3月期の親会社の所有者に帰属する四半期純損失が86.6億円と計上されたことによる影響が大きいためです。ただし、これは主にロシアの子会社の収用に伴う特別損失が発生したためであり、本業での収益力は高水準を維持しています。
キャッシュフロー
DMG森精機のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは94.6億円の収入となっています。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは105.6億円の支出となっており、設備投資などの成長投資に積極的に取り組んでいることがわかります。財務活動では18.5億円の支出となっています。全体として現金及び現金同等物は376億円を確保しており、健全な財務体質が維持されています。
配当の支払額
DMG森精機は、1株当たり配当金を50円と前期より10円増配しました。配当性向は19.5%となっており、収益力の改善に合わせて株主還元も強化していく方針のようです。今後も安定した配当を続けていくことが期待されます。
今後の展望
DMG森精機は、デジタル化やグリーン化など先進的な取り組みを通じて、顧客の生産性向上と環境負荷低減に貢献しています。特に航空機、医療、インフラ関連などの分野で、高付加価値製品の需要が旺盛で、今後も持続的な成長が期待できると考えられます。一方で、ロシア情勢の影響など、地政学的リスクにも留意が必要ですが、グローバルな事業展開力を生かし、収益基盤の強化を進めていくと見られます。
編集部のまとめ
DMG森精機は、工作機械のグローバルリーダーとして、先進的なデジタル技術やグリーン化への取り組みを軸に、幅広い産業分野で高い競争力を発揮しています。当期も売上高・営業利益ともに前年同期を上回る好業績を達成しており、特に欧州や米州市場の好調が目立ちます。一時的な特別損失の影響はあったものの、本業の収益力は健全に推移しており、今後の成長に期待が高まっています。株主還元面でも10円増配と積極的な姿勢が窺えます。
DMG森精機株式会社の決算日や配当についてまとめました。
DMG森精機株式会社の決算期は12月期で、今回の四半期決算は2024年1月1日から3月31日までの第1四半期の内容でした。配当については、1株当たり50円の増配が行われ、配当性向は19.5%となっています。今後も安定した収益基盤の上で、株主還元の充実が期待されます。