株式会社アスコットの2023年10月~2024年3月期の決算報告を分析しました。非常に堅調な業績を上げている同社ですが、一部事業においては課題もある模様です。今後も安定成長を続けるためには戦略の見直しが必要かもしれません。
企業情報
企業名: 株式会社アスコット
証券コード: 32640
決算期: 2023年10月1日~2024年9月30日
株式会社アスコットの決算日・決算時期(スケジュール)は?
株式会社アスコットの決算日は、毎年9月30日です。決算発表は通常、翌年の5月上旬に行われます。今回の四半期報告書は、2023年10月1日から2024年3月31日までの第2四半期決算の内容となります。
主な事業
株式会社アスコットは、不動産開発事業や不動産投資事業を中心に事業を展開しています。具体的には、主力の不動産開発事業では、主に住宅やオフィスビルなどの開発と販売を行っています。また、不動産投資事業では、投資用不動産の取得・管理・売却などを手がけています。それ以外にも、不動産ファンド事業や九州開発事業なども展開しています。
今期の業績と利益率は?
今期の業績は売上高が前年同期比17.8%増の7,067百万円と大幅に増加しました。一方で、利益面では経常損失224百万円となり、前年同期の経常利益17百万円から減少しています。事業別では、不動産開発事業が好調だったものの、戦略国際事業や不動産投資事業、九州開発事業などが赤字となったことが影響しています。
売上・利益の推移
過去3年間の売上高と利益の推移を見ると、売上高は着実に増加してきました。一方で、利益面では不安定な推移となっています。前期は経常利益1,009百万円と好業績でしたが、今期は経常損失224百万円と大幅な減益となっています。今後は、安定した収益基盤の構築が課題といえるでしょう。
四半期連結貸借対照表について
株式会社アスコットの資産は79,586百万円となり、前期末から11,767百万円増加しました。また、負債は54,629百万円と12,170百万円増加しています。純資産は24,956百万円と、前期末から402百万円減少しました。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が減少したものの、販売用不動産や仕掛販売用不動産が大幅に増加したことが主な要因です。これは不動産開発事業の推進に伴う棚卸資産の増加によるものと考えられます。
負債の部
負債の部では、長期借入金や短期借入金が大幅に増加しています。不動産開発や投資に伴う資金調達が進んだことで、有利子負債が増加したものと推測されます。
純資産の部
純資産の部では、利益剰余金が減少したことが主な要因です。今期の経常損失の計上により、自己資本比率は31.3%に低下しています。
ROAとROE
ROAは△0.5%と前期の1.5%から大幅に悪化しています。また、ROEも△0.7%と前期の3.5%から大幅な減少となっています。これは、今期の経常損失の計上による利益の悪化が主な要因と考えられます。今後は収益性の改善が重要課題といえるでしょう。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュ・フローは11,463百万円の支出となりました。これは主に、棚卸資産の大幅な増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは1,532百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは11,306百万円の収入となっています。この結果、現金及び現金同等物は前期末より1,738百万円減少し、6,359百万円となりました。
配当の支払額
株式会社アスコットは、1株当たり3円の配当を行っています。前期と同額の配当を維持しています。配当性向は今期△213.8%と、経常損失により100%を超えていますが、前期は43.5%と健全な水準でした。
今後の展望
株式会社アスコットは、不動産開発事業を中心に事業展開しています。今期は一部事業で課題があったものの、引き続き旺盛な不動産需要を背景に収益力の改善を目指す方針です。不動産市場の動向や金融環境の変化を注視しつつ、より安定的な収益基盤の構築に取り組んでいくことが重要と考えられます。
編集部のまとめ
株式会社アスコットの今期決算は、売上高は伸長したものの利益面では課題があることが分かりました。不動産開発事業が好調な一方で、一部の事業では赤字が続いており、収益力の改善が急務といえます。今後は、事業ポートフォリオの見直しなどにより、より安定した業績を目指していくことが求められます。株主還元面でも、今期は配当性向が100%を超えていることから、今後の配当政策にも注目が集まるでしょう。
株式会社アスコットの決算日や配当についてまとめました。
株式会社アスコットの決算日は9月30日で、決算発表は通常翌年5月上旬に行われます。また、同社の配当金は1株当たり3円を維持しています。今期は経常損失が計上されたものの、前期までは安定した配当を行っていることから、今後の業績回復に期待が寄せられています。