市光工業株式会社の決算報告をみると、自動車業界の業績回復の中で同社もアセアン地域での好調な販売に支えられて、全体としては減収ながらも増益を確保できました。特に用品事業では値上げ対応が奏功し、収益性の改善が図れています。一方でミラー事業の売却などを通じた事業ポートフォリオの最適化にも注力しており、今後の成長に期待が高まっています。
企業情報
企業名: 市光工業株式会社
証券コード: 72440
決算期: 第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)
市光工業株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
市光工業株式会社の決算は3月末日を基準としており、年間の決算は12月31日となっています。また、四半期決算は3月末、6月末、9月末、12月末の年4回行われています。
主な事業
市光工業株式会社は、主に自動車用ライティング製品の開発・製造・販売を行う自動車部品事業と、自動車用品の開発・製造・販売を行う用品事業の2つのセグメントを展開しています。中でも自動車部品事業が売上・利益の大部分を占めています。自動車用ランプやミラー、バンパーなどの開発・製造に強みを持つ同社は、国内外の主要自動車メーカーに製品を供給しています。
今期の業績と利益率は?
2024年第1四半期の業績は、売上高が30,643百万円(前年同期比21.0%減)と減収となりました。一方で、営業利益は1,503百万円(同48.9%減)、経常利益は1,513百万円(同48.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は802百万円(同63.6%減)と、いずれも減益となっています。自動車生産の減少に加えて、主力のミラー事業の売却の影響もあって減収となったものの、用品事業の収益改善などで利益水準は維持できています。
売上・利益の推移
過去3年の業績推移を見ると、2023年度の売上高は145,897百万円、営業利益は7,838百万円と、好調な業績を維持してきました。2024年第1四半期は減収減益となったものの、中期的にはミラー事業の売却による選択と集中や、用品事業の収益改善などを通じて、収益性の向上が図られる見通しです。
四半期連結貸借対照表について
2024年3月末の四半期連結貸借対照表を見ると、総資産は125,977百万円で、前期末比3,439百万円の減少となりました。資産の主な減少要因は、受取手形及び売掛金の減少1,862百万円、短期貸付金の減少4,648百万円などです。一方、負債は60,050百万円と4,635百万円減少しました。支払手形及び買掛金、電子記録債務、未払法人税等などが減少しています。純資産は65,927百万円で1,196百万円の増加となりました。
資産の部
流動資産は63,444百万円と全体で3,893百万円減少しました。現金及び預金、棚卸資産などが増加した一方で、受取手形及び売掛金、短期貸付金などが減少しています。固定資産は62,533百万円とほぼ横ばいでした。
負債の部
流動負債は49,148百万円と4,761百万円減少しました。支払手形及び買掛金、電子記録債務、未払法人税等などの減少が主な要因です。固定負債は10,901百万円とほぼ横ばいでした。
純資産の部
純資産は65,927百万円と1,196百万円増加しました。利益剰余金の積み上げや為替変動による影響などから、自己資本比率は51.8%まで改善しています。
ROAとROE
同社のROA(総資産利益率)は2024年第1四半期が1.2%、前期は5.5%と推移しています。また、ROE(自己資本利益率)は同1.3%、前期は10.8%となっています。ミラー事業の売却などによる資産効率の改善や、用品事業の収益性向上などを通じて、中期的にはROA、ROEともに上昇する見込みです。
キャッシュフロー
詳細なキャッシュフロー情報は開示されていませんが、第1四半期連結累計期間において減価償却費が1,450百万円発生しています。キャッシュ管理に注力し、借入返済や配当、設備投資などのキャッシュの使途を適切に管理していると考えられます。
配当の支払額
2024年3月期の1株当たり期末配当は5.50円を予定しています。前期の年間配当5.00円から増配となる見込みです。これにより、2024年通期の1株当たり配当金は10.50円となる見通しです。株主還元の強化にも取り組んでいます。
今後の展望
自動車業界の回復基調の中で、ミラー事業の売却によるポートフォリオ最適化や用品事業の収益性改善に引き続き力を入れていきます。また、経費削減や生産性向上にも取り組み、収益性の向上を目指していきます。将来的には新製品開発による新たな収益源の確保にも期待が持てそうです。
編集部のまとめ
市光工業株式会社は、自動車部品事業とアフターマーケット用品事業を手掛ける企業です。2024年第1四半期の業績は減収減益となりましたが、中期的には自動車関連需要の回復と、ミラー事業の売却や用品事業の収益改善などにより、収益力の向上が期待できます。株主還元の強化にも取り組んでおり、今後の動向に注目です。
市光工業株式会社の決算日や配当についてまとめました。
市光工業株式会社の決算は3月末日を基準としており、年間の決算は12月31日となっています。また、1株当たり期末配当は5.50円を予定しており、前期より増配となる見通しです。株主還元に積極的に取り組んでいることが分かります。