ニュースの要約
- 人口減少・高齢化で農業を取り巻く環境が厳しくなり、耕作放棄地が増加している問題に対し、新たな選択肢を提案。
- ヤギ放牧による粗放管理を通じて、土地の劣化や荒廃を防ぎつつ、再活用の可能性を開き続ける。
- 耕さないけれど手放さないという第三の選択肢を示し、農地の未来を柔らかく支える仕組みづくりを進める。
概要
株式会社むじょうは、人口減少時代における土地利用の新たな選択肢として、耕作放棄地の縮充モデルの構築に着手しました。
全国の耕作放棄地は年々増加しており、「再び活用する」か「完全に放置する」かの二者択一しかない現状は、現場にさらなる負担を強いてきました。特に問題となるのは、放棄地が雑草繁茂や景観悪化、獣害リスクの温床となるケースです。それを防ぐためには管理が必要ですが、そのためのコストや人手を確保することもまた困難になっています。
むじょうは、この現場のジレンマに対し、「粗放管理」という第三の選択肢を提示します。具体的には、神奈川県湯河原町の自社牧場にて9頭のヤギを飼育し、放棄地を対象に実証試験を進行中です。ヤギたちは雑草を食べながら土地をゆるやかに維持し、機械除草や人力管理に比べて極めて低コストかつ自然な方法で、景観維持と獣害リスク低減に貢献しています。
このアプローチにより、土地の劣化や荒廃を防ぎつつ、「将来再活用する可能性」も開き続けることが可能になります。また、単なるコストダウンにとどまらず、土地にかかる心理的負担の軽減、生態系に優しい管理の実現、地域景観の穏やかな維持、未来の選択肢を消さない、地域のコミュニティ拠点になる、などの意義も見出されています。
むじょうは、耕さないけれども手放さないという第三の選択肢――粗放管理という形を提示し、農地の未来を柔らかく支える仕組みをつくっていきます。人の手をかけすぎず、しかし目を離しすぎることもない、そんな距離感で土地とつながり続ける時代へ。農地に余白を持たせながら、地域と土地の可能性を閉ざさないために、むじょうは農地の粗放管理モデルの確立と普及に向けて歩みを進めていきます。
編集部の感想
編集部のまとめ
「耕さない選択」から始める地域農地の未来:耕作放棄地の縮充モデルづくりを開始についてまとめました
人口減少・高齢化に伴う担い手不足により、全国の耕作放棄地が年々増加している中、株式会社むじょうが提案する「耕さない選択」は、大変画期的な取り組みだと思います。
従来の「再活用する」か「放置する」かという二者択一的な選択肢ではなく、ヤギによる粗放管理という第三の選択肢を示したことは評価に値するでしょう。低コストで自然な管理手法を採用しつつ、土地の劣化や荒廃を防ぎ、将来の再活用可能性を残すことができる。さらに地域景観の維持や地域コミュニティの醸成にも寄与するなど、多岐にわたる効果が期待できます。
農地をただ「活用」するか「放置」するかという二者択一的な発想から抜け出し、土地との新しい関係性を構築していくことは、人口減少時代の日本にとって大変重要な取り組みだと思います。むじょうの挑戦が、全国の農地問題の解決につながることを期待しています。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000061469.html