ニュースの要約
- Yb³⁺とTb³⁺という発光に関わる元素をLaF₃とLaOFの組み合わせに加えて新しい蛍光体を合成
- 赤外線を当てると青や緑の光が生じ、それらの光は赤外線を2回分吸い込んで発生することを確認
- より高感度で安全な温度センサーの実現につながり、医療現場や精密機器の温度管理など幅広い分野での応用に期待
概要
体の表面温度を非接触で測る”赤外線体温計”は、コロナ禍を経て日常的にも使われるようになっていますが、測定対象の材質・色など表面の状態に影響を受けやすく、実は体の奥深くやエンジン内部のように、表面ではない部分の温度を測ることはできません。
野中講師の研究グループは、赤外線を吸収して可視光を放つ「アップコンバージョン型蛍光体」という特殊な材料を利用し、生体内でも使える新しい温度センサーの開発を目指しています。今回、Yb³⁺(イッテルビウム)とTb³⁺(テルビウム)という元素を、LaF₃(フッ化ランタン)とLaOF(酸化フッ化ランタン)の組み合わせに加えた新しい蛍光体を作製し、その発光の仕組みを詳しく調べました。その結果、赤外線を当てると青や緑の光が生じ、これは赤外線を2回分吸収して光に変える現象によることを確認しました。この成果は、より高感度で安全な温度センサーの実現につながり、将来的には医療現場や精密機器の温度管理など幅広い分野での応用が期待されます。
編集部の感想
編集部のまとめ
蛍光体:緑色の光を放つ新たな蛍光体の作製に成功。生体内部などの温度を測定可能にする蛍光温度計の実現に向けについてまとめました
今回の研究では、Yb³⁺とTb³⁺という発光に関わる元素をLaF₃とLaOFの組み合わせに加えた新しい蛍光体を開発することに成功しました。この蛍光体は赤外線を吸収して青や緑の可視光を発することが分かり、その発光のメカニズムも明らかになりました。
これにより、体内部や機械の内部の温度を正確に測定できる蛍光温度計の実現が期待されます。赤外線体温計では表面の温度しか測れませんが、この新しい蛍光体を使えば深部の温度も把握できるようになるため、医療や産業分野での活用が期待されています。
今後は発光効率をさらに高める工夫を加えて、より高感度で信頼性の高い温度センサーの開発につなげていくとのことです。この研究成果は、生体内部や精密機器の温度管理に革新をもたらすことが期待されます。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000405.000034112.html