日本石油輸送株式会社の四半期決算報告書を分析しました。同社は石油、高圧ガス、化成品、コンテナ、資産運用の5つの事業セグメントで構成される総合物流企業です。今期の業績は徐々に回復傾向にあり、前年同期比で売上高5.4%減、経常利益19.2%減となりました。資産は前期末比2%増加し、安定した財務状況を維持しています。今後は物流業界の2024年問題への対応、脱炭素化への取り組みなど、持続的な成長に向けた施策に注目が集まります。
企業情報
企業名: 日本石油輸送株式会社
証券コード: E04327
決算期: 2024年3月31日
日本石油輸送株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
日本石油輸送株式会社の決算は3月31日が基準日で、第3四半期(2023年10月1日~12月31日)の決算を2024年2月9日に発表しました。
主な事業
日本石油輸送株式会社は、石油輸送、高圧ガス輸送、化成品・コンテナ輸送、資産運用の4つの事業セグメントを展開しています。石油輸送や高圧ガス輸送などの基盤事業と、化成品輸送や不動産事業などの成長事業で構成され、安全・安定輸送と収益力向上を両立させています。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期累計期間の売上高は25,384百万円、営業利益は610百万円、経常利益は805百万円と前年同期比で減少しました。人件費や修繕費の増加により、営業利益率は2.4%、経常利益率は3.2%とやや低下しています。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は561百万円と堅調に推移しました。
売上・利益の推移
同社は2年前から中期経営計画(2021~2023年度)に取り組んでおり、基盤事業の収益維持・確保や成長事業の強化などに注力しています。前事業年度は新型コロナの影響などから売上高が減少しましたが、今期は経済回復により石油やコンテナの輸送需要が持ち直し、徐々に業績が回復傾向にあります。
四半期連結貸借対照表について
当第3四半期末の総資産は38,679百万円と前期末比で1,875百万円(5.1%)増加しました。これは有形固定資産やリース資産の増加などが主な要因です。一方、負債は15,263百万円と1,049百万円(7.4%)増加し、純資産は23,415百万円と825百万円(3.7%)増加しました。自己資本比率は前期末比で0.9ポイント低下し、60.5%となっています。
資産の部
資産の部は、流動資産が11,049百万円、固定資産が27,629百万円となっています。固定資産の中では、有形固定資産の機械装置・運搬具や賃貸用のリース資産が増加しました。投資有価証券も時価変動により増加しています。
負債の部
負債の部は、流動負債が6,773百万円、固定負債が8,490百万円となっています。流動負債の未払金や固定負債のリース債務が増加しています。
純資産の部
純資産の部は、株主資本が21,774百万円、その他の包括利益累計額が1,640百万円となっています。利益剰余金や時価評価によるその他有価証券評価差額金が増加しています。
ROAとROE
ROAは前年同期の2.8%から2.1%に低下し、ROEも前年同期の3.1%から2.4%に低下しています。これは、資産が増加したものの、利益が減少したことが主な要因です。今後は、引き続き収益性の向上と資産効率の改善に取り組む必要があります。
キャッシュフロー
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローは開示されていません。過去の実績では、営業活動によるキャッシュ・フローは堅調に推移していますが、設備投資などの投資活動によるキャッシュ・フローが大きくマイナスとなっています。財務活動では、主に配当金支払いや借入金返済により、キャッシュ・フローはマイナスになる傾向にあります。
配当の支払額
当期は中間配当として1株当たり50円、期末配当金も1株当たり50円を予定しており、年間配当金は100円となる見込みです。前期実績の年間80円から増配となっています。今後も株主還元を重視していく方針です。
今後の展望
中期経営計画の最終年度を迎える中、物流業界の人手不足や脱炭素化への対応が課題となっています。人材確保や生産性向上、電気トラック導入などに取り組むほか、成長事業の収益力向上や新たな成長戦略の検討など、中長期的な企業価値向上に向けた対策に注目が集まるでしょう。
編集部のまとめ
日本石油輸送株式会社は、エネルギー関連や化学品、食品などの物流ニーズに幅広く対応する総合物流企業です。新型コロナの影響から徐々に回復傾向にある中、持続的成長に向けて様々な取り組みを進めています。今後の人手不足や脱炭素化への対応に加え、成長事業の育成など、中長期的な視点での経営戦略に注目が集まります。
日本石油輸送株式会社の決算日や配当についてまとめました。
日本石油輸送株式会社の決算期は3月31日で、2024年2月9日に2023年12月期第3四半期の決算を発表しました。配当については、年間100円(中間50円、期末50円)の支払いを予定しており、前期から増配となっています。今後も株主還元の充実に注力していく姿勢が伺えます。