日本精線株式会社は、ステンレス鋼線や金属繊維など高機能素材の製造・販売を手掛ける企業です。今期は、世界経済の不透明感を受けてステンレス鋼線の販売が低迷したものの、太陽電池向け極細線の需要は好調を維持しました。業績面では減収減益となりましたが、財務基盤は安定しており、今後の成長に期待が高まる注目の企業といえるでしょう。
企業情報
企業名: 日本精線株式会社
証券コード: E01280
決算期: 2023年3月期
日本精線株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
日本精線株式会社の決算期は3月期で、決算発表は6月29日に行われます。中間配当の決算発表は10月27日に行われています。
主な事業
日本精線株式会社は、ステンレス鋼線の製造・販売を主力事業としています。その他にも、高機能素材である金属繊維の製造・販売にも注力しています。ステンレス鋼線は自動車や建材などの幅広い用途で活用されており、金属繊維は半導体製造装置向けのガスフィルターなどに採用されています。同社は高機能・独自製品の開発に力を入れ、事業の成長と企業価値の向上を目指しています。
今期の業績と利益率は?
当第3四半期連結累計期間の売上高は331億43百万円と前年同期に比べ10.9%減少しました。一方で、営業利益は23億12百万円、経常利益は24億62百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は17億12百万円といずれも減益となりました。利益率については、営業利益率が7.0%、経常利益率が7.4%、純利益率が5.2%となっています。
売上・利益の推移
直近の売上高は減少傾向にありますが、前事業年度まで売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加基調で推移してきました。特に2022年3月期は、売上高490億円、営業利益43億円、当期純利益30億円と過去最高の業績を達成しています。しかし、足元では世界経済の減速を受けて減収減益となっています。
四半期連結貸借対照表について
日本精線株式会社の直近の四半期連結貸借対照表を見ると、資産合計は523億16百万円となっています。前年度末と比べて17億37百万円減少しています。負債合計は138億66百万円で、前年度末に比べ25億82百万円減少しました。純資産は384億50百万円と、前年度末から8億44百万円増加しています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が139億79百万円、受取手形及び売掛金が78億50百万円となっています。前年度末と比べ、現金及び預金が減少する一方で、受取手形及び売掛金が減少しています。
負債の部
負債の部では、支払手形及び買掛金が63億35百万円となっています。前年度末に比べ13億25百万円減少しています。
純資産の部
純資産の部では、資本金が50億円、資本剰余金が55億58百万円、利益剰余金が266億15百万円となっています。自己資本比率は72.3%と健全な財務体質を維持しています。
ROAとROE
ROA(総資産経常利益率)は前年度の8.0%から当期は4.7%に低下しています。一方、ROE(自己資本当期純利益率)は前年度の8.2%から当期は4.5%となっています。ともに前年度から低下しているのは、経済環境の悪化を受けて減益となったためです。しかし、依然として高い水準を維持しており、健全な収益性を示しています。
キャッシュフロー
直近の四半期連結キャッシュ・フロー計算書を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは21億93百万円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローは△8億42百万円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローは△12億88百万円のマイナスとなっています。設備投資などに充当しつつ、堅実な経営活動を展開していることがわかります。
配当の支払額
日本精線株式会社は、株主への利益還元を重視しており、配当金の支払いにも積極的です。2023年6月の期末配当金は1株当たり105円、2023年12月の中間配当金も1株当たり105円と、安定した配当水準を維持しています。
今後の展望
日本精線株式会社は2024年3月期を最終年度とする「中期経営計画(NSR23)」において、「日本精線リニューアル(NSR)継続推進と高機能・独自製品でサステナビリティに貢献」を掲げています。半導体業界など成長分野での新製品開発を加速させ、企業価値の向上を目指しています。足元の世界経済の減速が続くものの、中長期的な成長への期待感は高まっています。
編集部のまとめ
日本精線株式会社は、ステンレス鋼線や金属繊維といった高機能素材を製造・販売する老舗企業です。足元では世界経済の減速の影響を受けて減収減益となりましたが、財務体質は健全で、中長期的に見れば成長が期待できる企業といえます。同社が掲げる「高機能・独自製品でサステナビリティに貢献」という方針に注目が集まるほか、着実な配当も株主に好評を得ています。今後の業績回復と更なる成長が期待される企業だと言えでしょう。
日本精線株式会社の決算日や配当についてまとめました。
日本精線株式会社の決算日は3月期で、決算発表は6月29日に行われています。また、中間配当の決算発表は10月27日に行われています。同社は株主への利益還元を重視しており、期末配当金は1株当たり105円、中間配当金も1株当たり105円と、安定した配当水準を維持しています。