ニュースの要約
- 2025年に判明した人手不足倒産427件のうち、「従業員退職型」の倒産は124件となり、前年から約4割増加して過去最多を更新した。
- 建設業や老人福祉施設、IT産業などでは、従業員の退職で受注や事業運営が困難になり倒産に至るケースが目立った。
- 一方で、業績悪化などを理由に賃上げできない企業も多く、「従業員退職型」倒産は今後も高水準で推移する可能性がある。
概要
株式会社帝国データバンクは、人手不足による倒産のうち「従業員の退職を要因とした人手不足(従業員退職型)」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
2025年に判明した人手不足倒産427件のうち、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の倒産は、124件となった。前年(90件)から34件・37.8%増加し、初めて年間100件を超えるなど集計可能な2013年以降で最多を更新した。
2025年の「従業員退職型」倒産を業種別にみると、最も多いのが「建設業」(37件)で全体の29.8%を占めた。業務遂行に不可欠な資格を持つ現場作業員のほか、営業担当が相次いで退職し、事業運営が困難になったケースが目立った。次いで多いのが「サービス業」(29件)で、老人福祉施設やソフトウェア開発などIT産業、美容室などの業界が目立った。また、「製造業」(21件)は、初めて20件を超えて過去最多となった。
具体的な事例としては、システム受託開発を手がけていたiTies(大阪、2025年12月破産)は、従業員の退職が相次いだことで受注能力が低下し、外注によって補った結果、資金繰りが圧迫され事業継続を断念した。このように特に建設やIT産業などでは、従業員の退職により外注に頼らざるをえず、コストの増加で収益確保が困難となった結果、資金繰りが悪化したケースが複数確認された。また、専門人材や部門の中心人物が退職したことで業容の縮小を迫られたケースもあった。このほか、不動産仲介のウィルプライズ(東京、2025年4月破産)は、業績が悪化したことで給与引き下げを実施した結果、従業員の退職が続き事業継続が困難となるなど、満足な給与水準を提供できないことで倒産の引き金となるケースも確認された。
編集部の感想
編集部のまとめ
帝国データバンク:従業員「退職」で倒産、2025年は124件 過去最多を大幅更新についてまとめました
今回の調査では、従業員の退職が直接的・間接的な要因となって倒産に至る事例が増加していることが明らかになりました。特に建設業や IT 産業、サービス業などの人材需要が高い分野で顕著な傾向がみられます。
人手不足が深刻化する中、優秀な人材の確保をめぐる企業間の競争が激しくなっていることが背景にあるようです。給与水準の引き上げや福利厚生の改善など、従業員の待遇改善に取り組む企業が増えていますが、業績不振などの経営上の課題から、十分な対応ができない中小企業も多いようです。
人手不足問題の深刻化は容認できるものではありません。労働環境の改善や生産性向上など、企業が自助努力を重ねると同時に、行政による支援策の充実も求められます。人材確保と定着が経営の根幹を成す以上、この課題への対応は喫緊の課題と言えるでしょう。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001260.000043465.html














