米国株の決算発表は、投資家や市場参加者が企業の業績を把握するための重要な機会です。この記事では、米国株決算の基本的な仕組みから、最近の事例までを詳しく解説します。さまざまな業界の企業が公表したデータを基に、一般的な傾向や注目ポイントを紹介します。
米国株決算とは
米国株決算とは、上場企業が四半期ごとまたは通年で財務諸表を公表し、収益や利益などの業績を報告するプロセスを指します。これらの発表は、SEC(証券取引委員会)の規制に基づいて行われ、透明性を確保するためのものです。主にEPS(1株当たり利益)、売上高、ROE(株主資本利益率)などの指標が注目されます。
決算発表のタイミングは、四半期ごとに決まっており、1-3月期の結果は4月頃、4-6月期は7月頃、7-9月期は10月頃、10-12月期は翌年1-2月頃に公表されます。このスケジュールにより、市場は定期的に企業の健康状態を確認できます。発表後、株価は業績内容に応じて変動しやすく、市場全体のムードを左右します。
決算資料には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書が含まれ、詳細な分析が可能です。また、決算説明会(Earnings Call)では経営陣が業績を解説し、将来の見通しを語るため、投資家にとって貴重な情報源となります。
決算の主要指標を理解する
米国株決算を読み解く上で欠かせない主要指標をいくつか挙げます。
- 売上高(Revenue): 企業がどれだけの商品やサービスを販売したかを示す基本指標。前年比やアナリスト予想との比較が重要です。
- EPS(Earnings Per Share): 1株当たり純利益。希薄化後EPSが一般的に使われ、株主1人あたりの利益を表します。
- 純利益(Net Earnings): 税引後利益。経費や税金を差し引いた最終的な儲けです。
- ROE(Return on Equity): 株主資本に対する利益率。資本効率を測る指標で、高いほど効率的です。
- ブックバリュー(Book Value): 純資産額。1株当たりで表され、企業の資産価値を反映します。
これらの指標は、単独ではなく前年同期比や前期比、市場予想との差異で評価されます。例えば、売上高が予想を上回ればポジティブなシグナルとなります。
2025年第4四半期の米国株決算事例
2025年の第4四半期(10-12月期)および通年決算では、多くの企業が堅調な結果を報告しました。以下に、金融、エネルギー、不動産、食品流通、保険、eコマースなどの業界から具体例を紹介します。これらは市場の多様な側面を映すものです。
金融セクターの事例
大手投資銀行の1社は、2025年通年の純収益を582.8億ドルとし、第4四半期単独では134.5億ドルを記録しました。純利益は通年で171.8億ドル、第4四半期で46.2億ドルでした。EPSは通年51.32ドル、第4四半期14.01ドルと、前年を上回る水準です。ROEは通年15.0%、第4四半期年率換算16.0%となり、1株当たりブックバリューも357.60ドルへ6.2%増加しました。この結果は、市場環境の好転を反映しています。
保険セクターの事例
グローバル保険会社の決算では、第4四半期の調整後税引後収入当たりEPSが1.96ドルと、前年同期比51%向上しました。通年のROEは7.5%、コア運用ROEは11.1%です。新規事業プレミアムは11%成長し、資本を株主に8億900万ドル還元(自社株買い5億6700万ドル、配当2億4200万ドル)しました。引受収入も前年比48%増の6億7000万ドルとなり、事業の安定性が伺えます。
エネルギーセクターの事例
エネルギーサービス企業の第4四半期では、純利益が5億8900万ドル、EPS0.70ドルでした。調整後純利益は5億7600万ドル、EPS0.69ドル。総収益は57億ドルで、前期の56億ドルから増加。営業利益は7億4600万ドル、調整後営業利益8億2900万ドルです。通年総収益は222億ドルでした。これらの数字は、業界の需要持続を示しています。
不動産サービスセクターの事例
不動産サービス大手は、第4四半期のGAAP EPS1.39ドル、コアEPS2.73ドル、通年GAAP EPS3.85ドル、コアEPS6.38ドルを報告。収益は第4四半期116億ドル(12%増)、通年406億ドル(13%増)と過去最高を更新しました。コア調整純利益は第4四半期8億1800万ドル(14.9%増)、コアEBITDA12億8800万ドル(18.6%増)です。販売・賃貸事業のグローバルな強さが寄与しました。
食品流通セクターの事例
食品卸売企業は、第4四半期でEPS予想を上回る結果を発表。株価は安定推移し、事業の信頼性を示しました。具体的な数字は市場予想をクリアし、安定した需要を背景に堅実なパフォーマンスでした。
eコマースセクターの事例
大手eコマース企業は、2025年通年の純利益を777億ドル、EPS7.17ドルとし、前年の592億ドル、5.53ドルから増加。オンライン販売とクラウドサービスの両輪が成長を支えました。
これらの事例から、2025年第4四半期はS&P500指数の企業利益が13.0%成長したとの予測通り、多くのセクターで前年比プラスが目立ちました。これは5四半期連続の二桁成長です。
決算発表スケジュールと注目企業
米国株決算シーズンは年4回訪れます。2026年2月中旬以降のスケジュール例として、以下のような企業が発表予定です。
| 日付 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2月16-20日 | 注目なし | Fiverr International, Booking Holdings | Alibaba Group, Anglogold Ashanti, Jackson Financial | – | – |
| 2月23-27日 | Keurig Dr Pepper, Home Depot, AMC Entertainment | MARA Holdings, Synopsys | Diversified Energy | – | – |
これらの企業は、PMO(プレマーケットオープン)やAMC(アフターマーケットクローズ)で発表され、市場時間外の変動に注意が必要です。スケジュールは変動する可能性があるため、最新情報を確認しましょう。
決算を分析するコツ
決算を効果的に活用するためのポイントをまとめます。
- ガイダンスの確認: 次四半期の見通しが重要。保守的か積極的かを読み取ります。
- セグメント別業績: 事業部門ごとの強弱を把握。成長ドライバーを特定します。
- キャッシュフロー: 利益だけでなく、現金生成能力をチェック。持続可能性を測ります。
- マージン率: 粗利益率や営業利益率の推移で効率性を評価します。
- 債務状況: 負債比率や流動比率で財務健全性を確認します。
また、調整後指標(Non-GAAP)とGAAP指標の違いに注意。調整後数字は一時的要因を除いたもので、経営の本質を示しますが、恣意性が入る場合もあります。
業界別傾向
金融業界では、投資銀行業務や資産運用が活況を呈し、高いROEを支えました。保険業界は引受改善と投資収益がプラス要因です。エネルギーセクターは需要安定で収益拡大。不動産サービスはグローバル販売・賃貸需要で記録更新。食品流通は安定供給網が強みを発揮。eコマースはデジタルシフトの恩恵を受けました。
全体として、技術革新やグローバル需要が多くの企業を後押し。S&P500の二桁成長は、経済の底堅さを示唆します。
決算発表後の市場反応
好決算が出ると株価は上昇しやすく、特にEPSや売上高が予想上回りで顕著です。逆にガイダンス下方修正で下落しますが、長期視点ではファンダメンタルズが重要。市場は短期変動を繰り返しつつ、質の高い企業を選別します。
投資家は決算をきっかけにポートフォリオを見直し、多様なセクターに分散を検討します。
決算情報の入手方法
決算情報は企業IRサイト、証券取引所サイト、財務データプロバイダーから入手可能。Earnings Callのトランスクリプトも有用です。ツールを使ってアラート設定すれば、発表をリアルタイムでキャッチできます。
今後の見通しと留意点
2026年の決算シーズンも、多様な企業業績が注目されます。経済指標や金利動向、地政学リスクを背景に、各社がどう対応するかが鍵。継続的なモニタリングが役立ちます。
米国株決算は、企業の成長ストーリーを知る窓口。指標を正しく読み解くことで、市場理解が深まります。
米国株決算の詳細事例集
さらに深掘りするため、追加の事例を紹介します。
追加金融事例の深層分析
前述の投資銀行では、税制関連の従業員株式報酬による税効果がEPSを1.95ドル押し上げ、ROEを0.5ポイント向上させました。こうした調整要因を考慮しつつ、本業収益の強さを評価します。
保険セクターの投資収入動向
第4四半期投資収入は8億7200万ドルで、前年比減少しましたが、引受収入の大幅増がカバー。グローバル商業保険の成長が支えとなりました。新規プレミアム6億ドルは安定成長です。
エネルギーセクターの調整後数字
調整後営業利益の前期比増加は、運用効率化の成果。通年で調整後営業利益31億ドルを維持し、業界変動耐性を示しました。
不動産のEBITDA成長
コアEBITDAの18.6%増は、コストコントロールと収益拡大の両立。通年22.3%増は、事業モデルの強靭さを物語ります。
これら事例は、セクターごとの独自性を強調。読者が自ら分析する際の参考にしてください。
決算用語集
- AYCR(Adjusted Yields on Capital Returned): 資本還元利回りの調整値。
- NPW(Net Premiums Written): 純引受保険料。
- AATI(Adjusted After-Tax Income): 調整後税引後収入。
- Core EBITDA: 調整後EBITDA。
これらの用語を押さえれば、決算資料の理解が向上します。
まとめ
米国株決算は企業の財務状況を明らかにする重要なイベントであり、売上高、EPS、ROEなどの指標を通じて事業の健全性を確認できます。2025年第4四半期では、金融、保険、エネルギー、不動産、食品、eコマース各セクターで堅調な結果が多く、S&P500の13%成長予測を裏付けました。スケジュールや分析コツを活用し、市場動向を把握しましょう。
米国株決算の読み方と主要セクターの注目点をまとめました
多様な事例からわかるように、米国株決算は投資家にとって貴重な情報源です。主要指標を正しく読み、業界傾向を捉えることで、経済全体の流れを読み解けます。継続的なフォローが市場理解を深めます。














