企業概要と成立背景
株式会社ジャパンディスプレイ(英称:Japan Display Inc.、略称はJDI)は、日本を代表する液晶ディスプレイメーカーです。2012年4月1日に事業活動を開始した同社は、ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合して誕生しました。
この統合は、日本政府系の投資ファンドである産業革新機構の主導により実現されたもので、当時の日本の電機メーカーが直面していた経営課題を解決するための戦略的な再編でした。韓国や台湾の企業との競争により液晶パネルの価格が下落していた状況の中で、利益が見込める中小型液晶パネル事業に経営資源を集中させるという判断がなされたのです。
本社は東京都港区西新橋に位置し、現在の従業員数は連結で2,970名となっています。資本金は1億円で、グローバルに多数の拠点を展開しており、海外製造子会社1社、海外販売子会社7社、国内子会社1社で構成されています。
主要事業内容と製品ラインアップ
ジャパンディスプレイの主な事業は、ディスプレイデバイスおよびその関連製品ならびに部品の研究、開発、製造および販売です。同社が手掛けるディスプレイは、電子機器の出力装置として文字、写真、動画などの画像を表示する電子部品であり、様々な産業分野で活用されています。
事業は主に以下の分野に分かれています。
車載分野では、計器クラスターやヘッドアップディスプレイなど、自動車用ディスプレイの開発・製造を行っています。この分野は同社の重要な事業領域となっており、自動車メーカーの多様なニーズに対応した製品を提供しています。
スマートウォッチ・VR等の民生機器分野では、スマートウォッチやデジタルカメラ、VR機器などに搭載されるディスプレイを製造しています。また、医療用モニターなどの産業用ディスプレイも含まれており、医療現場での活用も進んでいます。さらに、特許収入もこの分野に含まれています。
同社は過去に液晶スマートフォン事業で高いシェアを保有していました。主にスマートフォンのディスプレイに使われる低温ポリシリコン(LTPS)TFT-LCDパネルの出荷額ベースの市場シェアは、創業から2018年まで世界1位を占めていました。しかし、市場環境の変化に対応するため、価格競争が厳しい液晶スマートフォン事業を戦略的に縮小し、経営資源を次世代製品にシフトさせるとともに、一部の車載用不採算製品からの撤退を通じて製品ポートフォリオの改善に取り組んでいます。
次世代技術と新事業展開
ジャパンディスプレイは「BEYOND DISPLAY」というビジョンを掲げ、ディスプレイの枠を超えた挑戦を加速させています。これは単なるディスプレイメーカーから、より広い範囲の事業領域への展開を意味しています。
同社が注力している新事業の一つが先端半導体パッケージング事業への参入です。これにより、ディスプレイ技術を基盤としながらも、より高度な半導体関連事業への進出を目指しています。
また、センサー事業の拡大も重要な戦略です。その一例が「ZINNSIA」という製品で、これはさまざまな素材の表面をタッチパネルに変貌させるセンサー技術です。この技術により、従来のディスプレイの概念を超えた新しい応用が可能になります。
次世代OLEDディスプレイの開発も進められており、「eLEAP」というプロジェクトが推進されています。有機ELディスプレイ分野での技術革新と新たなビジネスモデルの構築を目指すことで、日本のディスプレイ関連産業全体の発展と産業構造の革新を支援する役割を担っています。
さらに、「LumiFree」という革新的な液晶デバイスも開発されています。これは光の広がり方(配光)を自在に制御できる技術で、ジャパンディスプレイの持つ液晶技術を応用し、ユニークな2軸独立の配光制御を可能にしました。LumiFreeを組み込んだ照明器具は、従来にない様々な価値をもたらす可能性を持っています。
市場での位置づけと競争力
ジャパンディスプレイは、世界的なディスプレイ市場において重要な位置を占めています。2021年度のディスプレイ売上高ランキングでは世界9位で、約1.73%のシェアを占めています。中小型液晶パネル分野では特に強い競争力を持っており、自動車産業をはじめとする様々な産業から信頼を得ています。
同社の製品は、スマートウォッチ、デジタルカメラ、自動車の計器パネルなど、日常生活の中で多くの人々が使用する機器に搭載されています。これらの製品に採用されることで、ジャパンディスプレイの技術は世界中で活用されているのです。
経営戦略と今後の方向性
ジャパンディスプレイは、高付加価値製品への集中を経営戦略の中心に据えています。これにより、単なる価格競争ではなく、技術力と品質で差別化を図ることを目指しています。
同社の経営理念は「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける」というものです。この理念の下、収益力を高め、持続的な成長と株主価値の向上を目指しています。
また、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念の下、サステナビリティ経営を経営戦略の中核として位置づけています。社会貢献の実現に向け、事業を通じた社会と人の課題解決に取り組むとともに、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指しており、サステナブル社会に資する経営を堅持しています。
グローバル展開と人材戦略
ジャパンディスプレイはグローバルに多数の拠点を持つ企業です。海外での事業展開を通じて、従業員は視野を広げ、文化理解を深め、世界中で事業を拡大できる人材として成長する機会を得ています。
国内拠点とグローバル子会社のネットワークにより、日本の技術力と世界市場への対応力を兼ね備えた企業体制が構築されています。これにより、地域ごとのニーズに対応しながらも、グローバルな競争力を維持することが可能になっています。
事業内容の多角化
ジャパンディスプレイの事業内容は、ディスプレイデバイスの製造販売にとどまりません。電気、電子機器およびソフトウェア等の企画、研究、開発、設計、製造、販売、保守、レンタル、リースおよびこれらに関連するソリューションサービスの提供も行っています。
さらに、電子技術を利用した生体情報測定を含む情報収集サービス、情報分析サービスおよび情報提供サービスも提供しており、単なるハードウェアメーカーから、ソリューション提供企業への転換を進めています。
医療機器の企画、研究、開発、設計、製造、販売、保守、レンタル、リースおよびこれらに関連するソリューションサービスの提供も事業内容に含まれており、医療分野での貢献も重視されています。
技術革新への取り組み
ジャパンディスプレイは、限りない技術の追求を企業理念として掲げており、常に新しい技術開発に取り組んでいます。ディスプレイ技術の進化だけでなく、センサー技術、半導体パッケージング技術、照明技術など、多岐にわたる分野での技術革新を推進しています。
これらの技術革新により、同社は単なる既存事業の維持ではなく、新しい市場の創造と産業の発展に貢献することを目指しています。
まとめ
株式会社ジャパンディスプレイは、日本の大手ディスプレイメーカーとして、ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合して2012年に誕生しました。車載機器、スマートウォッチ、デジタルカメラなど、様々な産業分野で活用されるディスプレイの開発・製造を行っており、世界的な競争力を持つ企業です。同社は「BEYOND DISPLAY」というビジョンの下、ディスプレイの枠を超えた新事業展開を推進しており、先端半導体パッケージング事業やセンサー事業の拡大、次世代OLED技術の開発など、多角的な経営戦略を展開しています。また、サステナビリティ経営を重視し、社会貢献を通じた持続的な成長を目指しています。
ジャパンディスプレイの挑戦:車載・センサー・半導体へをまとめました
ジャパンディスプレイは、日本を代表するディスプレイメーカーとして、高度な技術力と革新的な製品開発により、世界中の産業に貢献しています。同社の製品は、自動車、スマートウォッチ、医療機器など、人々の日常生活に密接に関わる多くの機器に搭載されており、その技術は世界的に認識されています。今後も「BEYOND DISPLAY」というビジョンの下、ディスプレイ技術を基盤としながら、新しい事業領域への展開を進め、社会と人の課題解決に貢献する企業として発展していくことが期待されています。














