はじめに
株式投資の世界では、限られた資金で大きなリターンを狙う手法として「レバレッジ投資」が注目されています。その中でも特に人気が高いのが、東京証券取引所に上場している1570(NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信)です。このETFは、日経平均株価の値動きを活用した独特の投資商品として、多くの投資家から関心を集めています。本記事では、株式1570の基本的な仕組みから、投資時の注意点まで、資産運用を検討している読者向けに詳しく解説します。
株式1570の基本概要
1570とは何か
株式1570は、野村アセットマネジメントが運用する上場投資信託(ETF)です。正式名称を「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」といい、東京証券取引所に上場しています。このETFの最大の特徴は、日経平均株価の日々の変動率に対して2倍の値動きをするという点です。
例えば、日経平均株価が1日で1%上昇した場合、1570は2%上昇します。逆に日経平均が1%下落した場合、1570は2%下落する仕組みになっています。この仕組みにより、相対的に小さな資金で、より大きな値動きを経験することが可能になるのです。
指数の計算方法
1570が連動する「日経平均レバレッジ・インデックス」は、日本経済新聞社によって算出されています。この指数は、日経平均株価の前日比変動率の2倍となるように計算されており、リアルタイムで5秒ごとに算出・公表されています。これにより、市場の動きに即座に反応する指数として機能しています。
指数の基準日は2001年12月28日で、その時点での指数値を10000ポイントとして計算されています。また、日経レバレッジ・インデックスの算出開始は2011年6月6日で、その後の約11年間で大きな成長を遂げています。
1570の市場での位置づけと人気
東京証券取引所での取引状況
1570は、東京証券取引所における最も取引が活発なETFの一つとして知られています。特に2020年のコロナ・ショック時には、波乱相場での購入が大幅に増加し、1日の平均売買代金が最も多い株式(ETF含む)となりました。
この高い流動性は、投資家にとって大きなメリットとなります。取引量が多いほど、買いたい時に買い、売りたい時に売りやすくなるためです。また、マーケットメイク制度の対象銘柄として指定されており、市場の安定性がさらに高まっています。
投資単位と信託報酬
1570の1売買単位あたりの投資金額は約28,220円です。これにより、比較的少額の資金で投資を開始することができます。また、信託報酬(税込)は0.88%と、レバレッジ型ETFの中では比較的低い水準に設定されています。
信託報酬は、ETFを保有している間、毎年かかる費用です。この費用が低いほど、長期的には投資家の手元に残る利益が増える傾向にあります。
1570のパフォーマンス
過去の運用成績
1570の過去のパフォーマンスを見ると、その強力な値動きが明確に表れています。過去5年間では+197.37%のリターンを記録しており、同期間の日経平均の+83.02%を大きく上回っています。
過去3年間でも、1570は+116.41%のリターンを達成しており、日経平均の+52.49%の約2倍のパフォーマンスを示しています。これは、レバレッジ型ETFの特性が、上昇相場において投資家に大きな利益をもたらす可能性を示しています。
さらに長期的な視点では、2011年6月の算出開始から2022年3月15日までの約11年間で、日経平均は+170%の上昇に対して、1570は+363%の上昇を記録しました。この期間は、アベノミクス相場による大きな上昇局面を含んでいたため、レバレッジ型ETFの威力が特に顕著に表れた時期といえます。
短期的なパフォーマンス
過去1年間のパフォーマンスを見ると、1570は-3.52%のリターンとなっており、同期間の日経平均の+1.54%を下回っています。これは、相場が下落局面にあった場合、レバレッジ型ETFが負の影響を受けやすいことを示しています。
レバレッジ型ETFの仕組みと特性
日々の変動率の2倍という仕組み
1570の最も重要な特性は、「日々の変動率の2倍」という点です。これは、複数日にわたる累積リターンが、単純に日経平均の2倍になるわけではないということを意味しています。
例えば、ある指数が100からスタートし、1日目に20%下落して80になったとします。その後2日目に25%上昇して100になったとしましょう。この場合、2日間の変動率は0%です。しかし、レバレッジ型指数では、1日目に40%下落して60になり、2日目に50%上昇して90になります。結果として、同じ期間で原指数は100のままですが、レバレッジ型指数は90となり、差が生じるのです。
このような現象を「逓減(ていげん)」または「減価」と呼びます。相場が上下を繰り返す局面では、この逓減効果により、レバレッジ型ETFのパフォーマンスが期待値を下回る可能性があります。
強気相場での優位性
一方、相場が継続的に上昇する局面では、レバレッジ型ETFは大きな優位性を発揮します。例えば、NASDAQ100指数が15年弱の間で12.6倍に上昇し、年率リターン18.6%を記録した期間において、レバレッジ型指数は47.7倍、年率リターン29.8%を達成しました。
このように、上昇トレンドが続く相場環境では、レバレッジ型ETFは通常のETFを大きく上回るパフォーマンスを提供する可能性があります。
1570への投資を検討する際の重要なポイント
ハイリスク・ハイリターン商品であることの理解
1570は、ハイリスク・ハイリターン型の投資商品です。これは、大きな利益を狙える可能性がある一方で、大きな損失を被る可能性も同時に存在することを意味しています。
レバレッジ型ETFは、投資経験が少ない初心者向けの商品ではありません。相場の仕組みを十分に理解し、リスク管理の知識を持つ投資家向けの商品として位置づけられています。
長期投資には不向きな特性
1570は、長期投資には適さないという重要な特性があります。これは、前述の「逓減効果」が、保有期間が長くなるほど顕著になる傾向があるためです。
相場が上下を繰り返す通常の市場環境では、長期間保有することで、逓減効果による価値の減少が累積される可能性があります。したがって、1570は短期的な値動きを活用した投資戦略に適した商品として考えるべきです。
市場環境の判断が重要
1570への投資を成功させるためには、市場環境の正確な判断が不可欠です。上昇相場が続くと予想される局面では、1570は大きなリターンをもたらす可能性があります。一方、下落相場や横ばい相場では、損失を被るリスクが高まります。
投資家は、マクロ経済の動向、企業業績の見通し、金利水準の変化など、様々な要因を総合的に判断して、相場の方向性を予測する必要があります。
1570と他のレバレッジ型・インバース型ETFの比較
レバレッジ型ETFの種類
東京証券取引所には、1570以外にも複数のレバレッジ型ETFが上場しています。例えば、1579「日経平均ブル2倍上場投信」も、日経平均の2倍の値動きを目指すETFです。
これらのレバレッジ型ETFは、基本的な仕組みは同じですが、運用会社や細かい設計が異なる場合があります。投資家は、信託報酬や流動性、運用実績などを比較して、自分の投資目的に最も適した商品を選択することが重要です。
インバース型ETFとの違い
一方、1571「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信」は、日経平均が下落した時に利益を得る「インバース型」のETFです。これは、相場の下落を予想する投資家向けの商品です。
レバレッジ型(ブル型)とインバース型は、相反する特性を持つ商品です。投資家の相場見通しに応じて、適切な商品を選択する必要があります。
1570の実務的な投資情報
取引単位と投資金額
1570の1口あたりの市場価格は変動しますが、1売買単位あたりの投資金額は約28,220円です。これは、比較的少額の資金で投資を開始できることを意味しており、個人投資家にとってアクセスしやすい商品となっています。
また、1570は東証が2018年7月2日に導入したETF市場におけるマーケットメイク制度の対象銘柄です。マーケットメイク制度により、市場メイカーが常に気配を提示することで、市場の流動性が確保されています。
分配金について
1570は、定期的に分配金を支払う商品です。直近12か月の実績分配金が記載されており、投資家はこの情報を参考に、配当利回りを計算することができます。
ただし、レバレッジ型ETFの分配金は、通常のETFと比べて変動が大きい傾向があります。投資家は、分配金の安定性よりも、値動きによるキャピタルゲインを重視する必要があります。
1570を活用した投資戦略
短期的な値動きの活用
1570は、短期的な相場の値動きを活用した投資戦略に適しています。例えば、日経平均が上昇トレンドにある局面では、1570を購入することで、より大きなリターンを狙うことができます。
一方、相場が調整局面に入ると予想される場合は、1570の保有を減らすか、売却することで、損失を最小化することができます。このように、相場環境に応じた柔軟な投資判断が重要です。
ポートフォリオの一部としての活用
1570は、全体的な投資ポートフォリオの一部として活用することも考えられます。例えば、保守的な資産(債券やバランス型ファンド)の一部を、より積極的な1570に置き換えることで、ポートフォリオ全体のリターンを高める可能性があります。
ただし、1570のハイリスク特性を考慮すると、ポートフォリオ全体に占める1570の比率は、投資家のリスク許容度に応じて慎重に決定する必要があります。
相場見通しの変化への対応
投資家の相場見通しが変わった場合、1570の保有比率を調整することで、ポートフォリオを最適化することができます。例えば、日経平均の上昇を強気に見通す場合は1570の比率を高め、慎重な見通しに変わった場合は比率を低めるという戦略が考えられます。
1570投資時の注意点と心構え
相場変動への心理的準備
1570は、日経平均の2倍の値動きをするため、相場が大きく変動する局面では、投資家の心理的な負担が大きくなる可能性があります。例えば、日経平均が10%下落した場合、1570は20%下落することになります。
このような大きな変動に対して、冷静に対応できる心理的な準備が必要です。短期的な値動きに一喜一憂せず、自分の投資戦略に基づいて判断することが重要です。
情報収集と学習の継続
1570への投資を成功させるためには、継続的な情報収集と学習が不可欠です。マクロ経済の動向、企業業績、金利水準、為替相場など、相場に影響を与える様々な要因について、常に最新の情報を入手する必要があります。
また、レバレッジ型ETFの仕組みや特性についても、十分な理解を深めることが重要です。これにより、より適切な投資判断ができるようになります。
リスク管理の徹底
1570への投資では、リスク管理が極めて重要です。例えば、許容できる損失額を事前に決定し、その水準に達した場合は速やかに売却するという「損切り」の戦略が有効です。
また、1570への投資金額は、失っても生活に支障が出ない範囲に限定することが賢明です。レバレッジ型ETFは、大きなリターンを狙える一方で、大きな損失を被る可能性も同時に存在するためです。
1570と日経平均の関係性
日経平均との連動性
1570は、日経平均株価に連動するように設計されています。具体的には、日経平均の日々の変動率に2倍の係数をかけることで、その値動きを実現しています。
この連動性により、投資家は日経平均の動きを予測することで、1570の値動きをある程度予測することができます。例えば、日経平均が上昇トレンドにあると判断した場合、1570も上昇する可能性が高いと考えられます。
日経平均の構成銘柄との関係
日経平均は、日本を代表する225社の株価で構成されています。1570は、これらの企業の株価動向に間接的に影響を受けます。
したがって、1570への投資を検討する際には、日経平均を構成する主要企業の業績見通しや、業界全体のトレンドについても、注視する価値があります。
1570の今後の展望
市場環境の変化への対応
1570の今後のパフォーマンスは、市場環境の変化に大きく左右されます。例えば、金利上昇局面では、株式市場全体が調整を余儀なくされる可能性があり、その場合1570も大きな下落を経験する可能性があります。
一方、経済成長が加速し、企業業績が改善する局面では、1570は大きなリターンをもたらす可能性があります。投資家は、マクロ経済の見通しを常に更新し、それに応じて投資戦略を調整することが重要です。
レバレッジ型ETFの進化
金融市場は常に進化しており、レバレッジ型ETFも例外ではありません。新しい設計や運用手法が開発される可能性があります。投資家は、1570を含むレバレッジ型ETF市場の動向に注視し、より優れた商品が登場した場合は、乗り換えを検討することも重要です。
1570と他の投資商品との比較
通常のETFとの比較
1570と通常の日経平均連動型ETFを比較すると、最大の違いはレバレッジの有無です。通常のETFは日経平均と同じ値動きをするのに対し、1570は2倍の値動きをします。
上昇相場では1570が大きなリターンをもたらしますが、下落相場では1570の損失も2倍になります。投資家は、自分のリスク許容度と相場見通しに基づいて、どちらの商品が適切かを判断する必要があります。
個別株投資との比較
1570は、日経平均全体に投資するETFであり、個別株投資とは異なります。個別株投資は、特定の企業の成長性に賭ける投資ですが、1570は日本経済全体の動向に賭ける投資です。
個別株投資はより高いリターンを狙える可能性がありますが、企業固有のリスク(経営危機、不祥事など)も存在します。一方、1570は、このような企業固有のリスクを分散させることができます。
まとめ
株式1570(NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信)は、日経平均株価の日々の変動率の2倍の値動きをするレバレッジ型ETFです。上昇相場では大きなリターンをもたらす可能性がある一方で、下落相場では大きな損失を被る可能性も存在します。1570は、ハイリスク・ハイリターン型の商品であり、投資経験が豊富で、相場の仕組みを十分に理解した投資家向けの商品です。短期的な値動きを活用した投資戦略に適しており、長期保有には向きません。1570への投資を検討する際には、自分のリスク許容度、相場見通し、投資期間などを慎重に検討し、適切なリスク管理の下で投資判断を行うことが重要です。
株式1570とは?日経平均の2倍動くレバレッジETF解説をまとめました
1570は、東京証券取引所に上場するレバレッジ型ETFであり、日経平均株価の2倍の値動きを目指す商品です。この商品は、相場が上昇する局面では大きなリターンをもたらす可能性がありますが、相場が下落する局面では大きな損失を被る可能性も存在します。投資家は、1570の仕組みを十分に理解し、自分のリスク許容度に応じた投資判断を行う必要があります。短期的な値動きを活用した投資戦略に適した1570は、継続的な情報収集、相場環境の判断、厳格なリスク管理を通じて、投資目標の達成に貢献する可能性があります。














