黒崎播磨株式会社の第3四半期の決算報告が公表されました。黒崎播磨は国内外の鉄鋼業界に耐火物を供給する大手メーカーで、今期は新型コロナ禍からの回復と世界的な鋼材需要の持続的な増加を背景に、売上高が前年同期比9.7%増の1,343億円となりました。利益面でも、営業利益は前年同期比63.3%増の119億円と大幅に伸びています。
企業情報
企業名: 黒崎播磨株式会社
証券コード: 53520
決算期: 2023年3月期
黒崎播磨株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
黒崎播磨株式会社の決算期は3月31日となっています。第3四半期決算の発表は2024年2月13日に行われました。
主な事業
黒崎播磨株式会社は、耐火物事業、ファーネス事業、セラミックス事業などを展開しています。中心となる耐火物事業では、鉄鋼メーカー向けの各種耐火物の製造・販売を手掛けています。また、工業炉の設計・施工を行うファーネス事業や、電子部品用のファインセラミックスを製造するセラミックス事業などにも強みを持っています。
今期の業績と利益率は?
黒崎播磨の当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比9.7%増の1,343億円、営業利益が前年同期比63.3%増の119億円と大幅に伸長しています。好調な業績の背景には、鉄鋼需要の回復に加えて、原料・エネルギー価格の上昇に対応した販売価格の転嫁が奏功したことがあげられます。利益率も、売上総利益率が20.2%と前年同期比2.4ポイント上昇し、営業利益率も8.9%と好水準を維持しています。
売上・利益の推移
黒崎播磨の直近3期の売上高と利益の推移をみると、売上高は132期から133期にかけて118億円の増加と堅調に推移しています。利益面でも、経常利益が132期の120億円から133期は130億円と59.5%増加するなど、大幅な伸びを示しています。原材料価格上昇への販売価格転嫁による収益力の改善や、海外市場での拡販が寄与した結果だと考えられます。
四半期連結貸借対照表について
黒崎播磨の当第3四半期連結貸借対照表を見ると、資産合計は1,694億89百万円と、前期末比61億49百万円の増加となっています。
資産の部
流動資産は1,137億44百万円と前期末比55億20百万円の増加、固定資産は557億45百万円と6億28百万円の増加となりました。流動資産の増加は主に売上の増加に伴う受取手形・売掛金の増加によるものです。固定資産の増加は設備投資による機械装置の増加が主な要因です。
負債の部
負債合計は827億91百万円と、前期末比26億90百万円の減少となっています。流動負債が554億円と57億77百万円減少し、固定負債が273億91百万円と30億87百万円増加しました。流動負債の減少は主に電子記録債務の減少によるものです。一方、固定負債の増加は長期借入金の増加が主な要因です。
純資産の部
純資産は866億97百万円と、前期末比88億39百万円の増加となりました。利益剰余金の増加や為替換算調整勘定の増加が主な要因です。
ROAとROE
黒崎播磨のROAは前期の9.0%から当期は10.0%に上昇、ROEは前期の13.3%から当期は14.1%に上昇しています。これは、売上・利益が大幅に増加したことで、資産効率や自己資本効率が高まった結果と評価できます。今後の成長に向けた設備投資などが奏功し、収益性がさらに向上することが期待されます。
キャッシュフロー
当第3四半期連結累計期間のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュ・フローが152億円の収入となるなど、総じて良好な状況にあります。これは、売上高の増加や原価率の改善などが寄与した結果だと言えます。投資活動によるキャッシュ・フローでは、設備投資に58億円を支出するなど、着実に成長投資を進めています。財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払いなどで78億円の支出となりました。
配当の支払額
黒崎播磨は、当期の中間配当として1株当たり160円を実施しました。前期の中間配当が110円だったことから、配当金が大幅に増額されています。通期の配当予想は未定ですが、業績拡大を背景に、株主還元も強化されつつあると言えるでしょう。
今後の展望
黒崎播磨は、2025年度までの中期経営計画を見直し、従来の200億円規模から350億円規模の設備投資を計画しています。国内市場の成熟化を踏まえ、海外市場での事業拡大に注力するとともに、セラミックス事業の強化や省エネ関連事業の積極展開など、成長分野への投資を加速していく方針です。中期的には売上高1,800億円、経常利益150億円の達成を目指しています。業界トップクラスの技術力を活かし、持続的な成長を実現できると期待されます。
編集部のまとめ
黒崎播磨は、鉄鋼業界の回復とともに業績を大きく伸ばしています。耐火物事業の収益力強化に加え、省エネ関連事業の拡大など、成長市場での事業展開にも注力しています。今期は売上高、利益ともに大幅な増加を果たし、ROAやROEも改善傾向にあります。中期経営計画の見直しにより、さらなる成長投資を実行することで、黒崎播磨の株式はさらなる業績拡大が期待できそうです。
黒崎播磨株式会社の決算日や配当についてまとめました。
黒崎播磨株式会社の決算日は3月31日で、第3四半期決算は2024年2月13日に発表されました。直近の中間配当は1株当たり160円と前年比50円増配となっています。今後も業績の伸長に合わせ、株主還元の拡大が期待できそうです。