チタン工業株式会社の2023年度第3四半期決算報告書が公開されました。売上高は前年同期比5.7%減の5,438百万円となり、営業損失578百万円、経常損失503百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失381百万円と厳しい結果に終わりました。今後の経営課題として、生産性の向上とコスト削減に取り組む必要があるものの、経済情勢の不透明感を考えると、業績の回復には時間がかかりそうです。
企業情報
企業名: チタン工業株式会社
証券コード: E00796
決算期: 3月期
チタン工業株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
チタン工業株式会社の決算日は3月31日で、四半期決算は6月30日、9月30日、12月31日の年4回行われています。2023年12月31日を期末とする第3四半期決算の内容が今回の報告書となります。
主な事業
チタン工業株式会社は、酸化チタンと酸化鉄を中心とした無機顔料の製造・販売を主な事業としています。酸化チタンはペイント、プラスチック、化粧品などに、酸化鉄は塗料、ゴム、磁性材料などに使用されています。グローバルに事業を展開しており、アジア、北米、ヨーロッパなどに製造拠点を持っています。
今期の業績と利益率は?
2023年度第3四半期の業績は、売上高が5,438百万円と前年同期比5.7%の減収となりました。利益面では、営業損失578百万円、経常損失503百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失381百万円となり、すべての利益指標が赤字に転落しました。主な要因は、需要の低迷による生産数量の減少と主要原燃料価格の高止まりによるコストアップです。
売上・利益の推移
直近3年間の売上高と利益の推移をみると、2022年3月期は売上高8,070百万円、経常利益322百万円と好調でしたが、2023年3月期第3四半期では売上高が5,438百万円、経常損失503百万円と大幅な減収減益となりました。この背景には、経済の不透明感や原料価格高騰などの影響が表れています。
四半期連結貸借対照表について
2023年12月末の四半期連結貸借対照表をみると、資産合計は16,008百万円で前期末比747百万円減少しました。主な減少要因は、在庫の圧縮による商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の減少と有形固定資産の減少です。一方で、負債合計は9,352百万円と304百万円減少し、純資産合計は6,656百万円と443百万円減少しています。
資産の部
資産の部では、現金及び預金が736百万円と前期末比333百万円増加しましたが、在庫の圧縮により商品及び製品が3,128百万円、仕掛品が1,035百万円、原材料及び貯蔵品が937百万円と大幅に減少しました。また、有形固定資産が7,191百万円と439百万円減少しています。
負債の部
負債の部では、短期借入金が3,300百万円と150百万円増加しましたが、長期借入金が3,293百万円と418百万円減少しています。その他、賞与引当金が50百万円と112百万円減少しています。
純資産の部
純資産の部では、利益剰余金が2,107百万円と448百万円減少しました。この結果、自己資本比率は39.0%となっています。
ROAとROE
ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)は、2023年度第3四半期の業績悪化を反映して大幅に低下しています。ROAは△3.1%、ROEは△5.7%と前年同期比で大幅な悪化となりました。これは主に、売上減少や原料高騰によるコスト上昇の影響で利益が大幅に減少したことが要因です。今後は生産性の向上とコスト削減、収益力の回復に取り組むことが重要となります。
キャッシュフロー
第3四半期累計のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが285百万円のプラスとなりましたが、投資活動によるキャッシュフローが308百万円のマイナス、財務活動によるキャッシュフローが△329百万円のマイナスとなり、現金及び現金同等物は前期末比333百万円増加の736百万円となっています。今後の事業展開に向けて、手元流動性の確保と財務体質の強化が課題となりそうです。
配当の支払額
2023年6月29日開催の定時株主総会において、2023年3月期の期末配当金として1株当たり20円の配当が決議されました。この結果、年間配当金は1株当たり40円となりました。一方、2024年3月期の第3四半期連結累計期間の業績は大幅な赤字となったため、今後の配当については不透明な状況です。
今後の展望
チタン工業株式会社は、直近の業績悪化を受け、生産性の向上とコスト削減に取り組むと共に、成長戦略の実現と経営資源の効率化を進めることで、企業価値の向上を目指していきます。また、需要の回復や原料価格の落ち着きにより、収益性の改善を図る必要があります。しかし、ウクライナ情勢の長期化やインフレ圧力の高まりなど、先行きの不透明感は払拭できず、業績の本格的な回復には時間がかかるものと思われます。
編集部のまとめ
チタン工業株式会社の2023年度第3四半期決算は、需要の低迷と原料価格高騰の影響を大きく受け、大幅な減収減益となりました。今後は収益性の改善に向けて生産性向上とコスト削減に注力していく必要がありますが、経済環境の不透明感が強く、業績回復までには時間がかかると見られます。株主還元面でも、今期の大幅な赤字を受けて配当の減額や中止も懸念されます。今後の企業戦略と業績の推移に注目していく必要がありそうです。
チタン工業株式会社の決算日や配当についてまとめました。
チタン工業株式会社の決算日は3月31日で、年4回の四半期決算を行っています。また、2023年度の年間配当金は1株当たり40円でしたが、今期の業績悪化を受けて、今後の配当については不透明な状況です。今後の企業動向に注目していく必要がありそうです。