ニュースの要約
- 世界初の臍帯由来間葉系間質細胞を用いた治療法が、造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症に対して有効性を示した。
- 71.4%の56日生存率を達成し、従来の既存治療を上回る成果を上げた。
- 本成果が国際学術誌に掲載され、新たな治療選択肢としての可能性が示された。
概要
ヒューマンライフコード株式会社は、造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症(NIPCs)に対する臍帯由来間葉系間質細胞(HLC-001)の輸注療法による第II相試験の結果が、国際学術誌「International Journal of Hematology」に採択され、2025年7月16日にオンライン公開されたことを発表しました。
本試験は、造血幹細胞移植後に発症するNIPCsのうち、既存の標準治療であるステロイド療法に抵抗性を示す特発性肺炎症候群(IPS)の患者を対象に、HLC-001の有効性および安全性を探索的に評価することを目的に実施されました。主要評価項目である56日後の生存率は71.4%(5/7例)を達成し、これは従来報告されている既存治療(推定生存率24.5%)を上回る結果となりました。さらに、100日後の生存率も維持され、多くの患者でステロイド投与量の低減や酸素療法の必要性が軽減されるなど、症状が改善されました。
また、安全性についても、重大な副作用は認められず、投与に関連すると考えられる有害事象は管理可能な範囲にとどまりました。これらの結果は、HLC-001がIPSに対する新たな治療選択肢となる可能性を示唆するものです。
IPSは、造血幹細胞移植後の致死的合併症のひとつであり、特にステロイド抵抗例に対する有効な治療法は確立されていません。本試験結果は、再生医療による治療の可能性を学術的に裏付けるものであり、今後の治療開発における重要なステップと言えます。
編集部の感想
編集部のまとめ
HLC-001:造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症に対する第II相試験結果が国際学術誌に掲載についてまとめました
ヒューマンライフコード株式会社の研究成果が国際学術誌に掲載されたことは、大変意義深いものと言えます。造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症は重篤な副作用の一つですが、従来の治療法では十分な効果が得られないのが現状でした。
この度の研究では、世界初となる臍帯由来の間葉系間質細胞を用いた治療法が、ステロイド抵抗性の特発性肺炎症候群患者に対して有効性を示したことは非常に注目に値するでしょう。安全性も確認されており、新たな治療選択肢として大きな期待が寄せられます。
今後、さらなる研究の進展とともに、この治療法が実用化されることで、造血幹細胞移植を受ける患者さんの予後改善に貢献できるものと思われます。ヒューマンライフコード社の挑戦には、患者さんへの思いやりと、医療への強い思いが感じられます。この研究成果が、難治性疾患の克服につながることを願っています。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000061963.html