大成建設の決算報告書が公開されましたね。同社は建設業界の大手企業の一つで、土木事業や建築事業を中心に事業を展開しています。今期は売上高が11,463億円と前年同期比で3.8%増加し、収益面でも底堅く推移しています。ただ利益面では建築事業の利益率が低下したことで、営業利益は175億円と前年同期比で58.2%減少しました。今後は資材価格高騰などのコスト上昇への対応が課題といえそうです。
企業情報
企業名: 大成建設株式会社
証券コード: 18010
決算期: 2023年3月期
大成建設株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
大成建設は3月期決算の企業です。そのため、第3四半期連結決算としては2023年12月31日時点の数値を公表しました。通期の決算は2023年3月末に行われ、株主総会は2023年6月に開催されます。
主な事業
大成建設は、土木事業と建築事業を中心事業とする大手建設会社です。土木事業では道路、橋梁、ダム、空港etc.の建設を手がけ、建築事業では大型の高層ビルやマンション、商業施設などを手掛けています。また、開発事業などにも取り組んでおり、建設関連の幅広い事業展開を行っています。
今期の業績と利益率は?
今期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比3.8%増の1兆1,463億円となりました。一方で利益面では、売上総利益が建築事業の利益率低下により18.6%減の871億円となり、営業利益は58.2%減の175億円と大きく減少しました。コストの上昇が利益を圧迫した形です。
売上・利益の推移
直近3年間の売上高は1.6兆円台で推移しており、堅調に推移しています。一方で利益面では、今期第3四半期の営業利益が175億円と前年同期比で大幅減となりました。コスト高の影響が出ているものの、中長期的には建設需要の底堅さから一定の収益確保が期待できそうです。
四半期連結貸借対照表について
大成建設の2023年12月末時点の連結貸借対照表を見ると、資産合計が前期末比5.2%増の2兆1,206億円となっています。負債合計も同4.7%増の1兆2,387億円と増加しました。一方、純資産は5.7%増の8,818億円と健全な財務体質を維持しています。
資産の部
資産の部では、完成工事未収入金が増加したことなどから、総資産が前期末から1,039億円増加しました。手元流動性の確保が進んでいる様子が伺えます。
負債の部
負債の部では、有利子負債が前期末比50.5%増の3,034億円と大きく増加しており、資金調達が進んでいるようです。一方で、自己資本比率は40.2%と健全な水準を維持しています。
純資産の部
純資産は、5.7%増の8,818億円となりました。株式相場の上昇による有価証券評価差額金の増加などが主因です。財務基盤は引き続き強固といえるでしょう。
ROAとROE
ROAは前期の2.3%から1.2%に低下し、ROEも前期の5.8%から2.5%に大きく減少しています。これは売上総利益率の悪化を受けて利益が減少したことが主な要因です。中長期的には、収益力の向上とバランスシートの最適化が課題といえるでしょう。
キャッシュフロー
第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー計算書は開示されていませんが、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期と同水準を維持していると考えられます。一方で投資活動によるキャッシュ・フローでは、M&Aなどの投資が進んでいることが推測されます。今後の設備投資や成長投資の動向に注目が集まるでしょう。
配当の支払額
大成建設は年2回の配当を行っており、第2四半期末(9月末)と期末(3月末)に配当を実施しています。今期第3四半期までの中間配当は1株当たり65円で、前期並みの水準を維持しています。安定した配当政策が続いているようです。
今後の展望
建設需要は引き続き堅調に推移すると見込まれるものの、建設資材価格の高止まりなどコスト上昇圧力は依然として強い状況です。そのため、建築事業を中心に利益率の改善が重要な課題となっています。一方で、昨年11月に株式会社ピーエス三菱を子会社化するなど、土木分野での事業基盤強化にも取り組んでいます。成長へのステップアップに期待が寄せられるでしょう。
編集部のまとめ
大成建設の2023年3月期第3四半期決算は、売上高は前年同期比3.8%増と堅調でしたが、コスト上昇の影響で大幅な減益となりました。今後は、建築事業の収益性改善やM&Aを通じた事業基盤の強化などに注目していく必要があります。一方で、配当政策は安定しており、株主還元面でも魅力的な企業です。中長期的には、事業ポートフォリオの最適化と収益力の向上が課題となりそうです。
大成建設株式会社の決算日や配当についてまとめました。
大成建設は3月期決算の建設大手企業です。今期第3四半期の業績は、売上高が堅調に推移したものの、利益面ではコスト上昇の影響を受けて減益となりました。一方で、財務体質は健全で、安定した配当policy も特徴です。今後は新たな成長施策と収益力の改善が期待されています。