株式会社富士製薬工業の決算報告を分析してみました。同社は医薬品事業を中心に事業を展開する企業で、高い利益率と安定した財務基盤を持っているのが特徴です。直近の決算では売上高21,388百万円、経常利益2,165百万円となり、着実な業績成長を示しています。資産面では総資産85,006百万円、自己資本比率は51.8%で健全な財務体質を維持しています。今後も新製品の上市や海外展開の加速で、さらなる業績拡大が期待できそうです。
企業情報
企業名: 富士製薬工業株式会社
証券コード: E00975
決算期: 9月30日
富士製薬工業株式会社の決算日・決算時期(スケジュール)は?
富士製薬工業株式会社の決算日は9月30日です。提出するディスクロージャー書類は、年次の有価証券報告書と四半期ごとの四半期報告書があります。四半期報告書は上場企業に義務付けられており、12月31日、3月31日、6月30日の各四半期会計期間の終了後45日以内に提出する必要があります。
主な事業
富士製薬工業株式会社は、医療用医薬品の研究開発、製造、販売を行っている企業です。主力製品は女性ホルモン剤や抗がん剤、造影剤など、女性医療やがん治療、画像診断領域で強みを持っています。また、自社開発品のほか受託製造業務も手がけており、幅広い事業ラインナップを展開しています。近年は更年期障害治療薬の開発にも注力しており、新製品の上市が期待されています。
今期の業績と利益率は?
富士製薬工業の当第2四半期の業績は、売上高が21,388百万円と前年同期比で11.2%の増加となりました。利益面では、研究開発費の増加や新組織の立ち上げによる人件費の増加などで営業利益が1,443百万円と前年同期比で20.9%の減少となりましたが、経常利益は2,165百万円と前年同期比で11.8%の減少にとどまっています。利益率は経常利益率10.1%、営業利益率6.8%となっており、引き続き高水準を維持しています。
売上・利益の推移
富士製薬工業の過去3年間の業績推移を見ると、売上高は19,225百万円から21,388百万円へと増加しており、好調な伸びを示しています。一方で利益面では、研究開発投資の増加などから営業利益が一時的に減少したものの、経常利益は2,456百万円から2,165百万円と大きな変動はなく、安定した収益基盤を維持しています。中長期的には、新製品の上市や海外事業の拡大などにより、売上高、利益ともに着実に成長していくことが期待されます。
四半期連結貸借対照表について
富士製薬工業の直近の四半期連結貸借対照表を見ると、総資産は85,006百万円となっています。資産の部では、投資有価証券の売却などにより投資その他の資産が減少しましたが、棚卸資産の増加で流動資産が増加しています。負債の部では、借入金の返済により長期借入金が減少しましたが、短期借入金の増加により負債合計では減少しています。純資産は44,066百万円と前期末から2,888百万円増加し、自己資本比率は51.8%と健全な水準を維持しています。
資産の部
富士製薬工業の資産は主に、現金及び預金、売上債権、棚卸資産、有形固定資産、投資有価証券などから構成されています。当第2四半期末では現金及び預金が1,375百万円、棚卸資産が17,851百万円となっています。有形固定資産は生産設備を中心に21,093百万円、投資有価証券は7,724百万円となっています。
負債の部
富士製薬工業の負債は主に、仕入債務、借入金、リース債務などから構成されています。当第2四半期末では、支払手形及び買掛金が4,961百万円、短期借入金と1年内返済予定の長期借入金を合わせて19,300百万円となっています。長期借入金は283百万円と大幅に減少しています。
純資産の部
富士製薬工業の純資産は44,066百万円となり、前期末から2,888百万円増加しています。利益剰余金が32,866百万円と順調に積み上がっているほか、自己株式を含む株主資本が40,520百万円と健全な水準にあります。また、その他有価証券評価差額金が1,324百万円と、株式保有の影響も反映されています。
ROAとROE
富士製薬工業の収益性を示す指標としてROA(総資産経常利益率)とROE(自己資本当期純利益率)を見てみると、ROAは2.6%、ROEは10.3%となっています。ROEは10%を上回る水準を維持しており、資本効率の高さが窺えます。一方でROAは少し低めですが、今後の事業拡大や新製品上市などで改善が期待できます。企業価値の向上に向け、経営陣は資産効率の向上とともに、収益力の更なる強化に取り組んでいくと考えられます。
キャッシュフロー
富士製薬工業の直近の四半期連結キャッシュ・フロー計算書を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは△445百万円の支出となっています。これは、税引前利益は6,027百万円と大きかったものの、棚卸資産の増加により運転資金が減少したことなどが要因です。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは1,457百万円の収入となっており、有価証券の売却収入などがプラスに寄与しています。財務活動によるキャッシュ・フローは△1,998百万円の支出となり、借入金の返済などが主な要因です。全体としては現金残高が減少傾向にありますが、健全な財務体質を維持しています。
配当の支払額
富士製薬工業は、安定的な配当を維持することを方針としています。当第2四半期では、前期末配当として1株当たり20円の配当を実施しました。また、当中間期末(2024年3月31日)の配当金も1株当たり20円が予定されています。直近3年間の年間配当金は40円前後で推移しており、配当性向は30%前後を確保しつつ、株主への利益還元を行っています。今後も業績の伸びに合わせて、着実な増配が期待できそうです。
今後の展望
富士製薬工業は、主力の女性医療領域での新製品上市や、更年期障害治療薬の開発進捗により、今後も安定した業績成長が期待できます。また、近年は海外事業への取り組みも強化しているため、グローバル市場での事業展開が新たな収益源となることが予想されます。一方で、医療費抑制に伴う薬価改定などの課題もありますが、自社開発品の拡販や高収益製品への注力によって、収益力と企業価値の向上を目指していくものと見られます。
編集部のまとめ
富士製薬工業は、医療用医薬品事業を中核とする高収益企業です。直近の決算では、売上高21,388百万円、経常利益2,165百万円と、引き続き高い収益性を維持しています。資産面でも総資産85,006百万円、自己資本比率51.8%と健全な財務基盤を有しています。新製品の上市や海外事業の拡大に期待が高まる一方、研究開発投資の増加など、課題もありますが、安定的な配当と企業価値の向上が期待できる企業といえます。
富士製薬工業株式会社の決算日や配当についてまとめました。
富士製薬工業の決算日は9月30日で、年次の有価証券報告書と四半期ごとの四半期報告書を提出しています。配当金は、年間40円前後で推移しており、安定的な株主還元を行っています。今後も業績に応じて、着実な増配が期待できそうです。