セブン銀行の2023年度第3四半期決算報告がリリースされました。同社はコンビニエンスストア内に設置したATMを中心に、個人のお客様に対する金融サービスの提供を行う銀行です。この決算では、ATM業務の回復に加えて、2023年7月にクレジットカード会社の子会社化が大きく業績を押し上げています。全体としても着実な成長が見られる好決算となりました。
企業情報
企業名: 株式会社セブン銀行
証券コード: 84100
決算期: 2023年3月期
株式会社セブン銀行の決算日・決算時期(スケジュール)は?
セブン銀行の決算は年に4回行われます。第1四半期(4月-6月)、第2四半期(7月-9月)、第3四半期(10月-12月)、そして第4四半期(1月-3月)の業績を公表しています。大口の決算発表は第2四半期と第4四半期の年2回になります。
主な事業
セブン銀行の主な事業は、コンビニエンスストア内に設置したATMサービスと個人向けの預金・ローン業務です。これに加えて、2023年7月にはクレジットカード事業と電子マネー事業を手がける株式会社セブン・カードサービスを子会社化しました。これにより、ATMを中心とした従来の銀行業務に加えて、カード決済やキャッシュレス決済といった新しい金融サービスにも進出しています。
今期の業績と利益率は?
2023年度第3四半期の業績は、経常収益が前年同期比26.7%増の1,448億円、経常利益が同0.3%増の229億円と好調でした。特にクレジットカード事業とキャッシュレス決済事業の子会社化により、大幅な収益拡大につながりました。一方、連結ベースの利益率は、既存のATM事業の利益率が高いことから、ROEは14.65%と高水準を維持しています。
売上・利益の推移
セブン銀行の売上高と利益は、2020年に新型コロナウイルスの影響を受けて一時減少しましたが、その後は回復基調にあります。2023年度第3四半期では、既存のATM事業の回復に加え、新たなクレジットカード・電子マネー事業の寄与により、経常収益が1,448億円と大幅に増加しました。利益面でも、経常利益が229億円と高水準を維持しています。今後もこの成長トレンドが続くことが期待されます。
四半期連結貸借対照表について
セブン銀行の四半期連結貸借対照表を見ると、資産は1兆8,826億円と大きく拡大しています。この中で、ATM運営に必要な現金預け金が1兆998億円と過半を占めています。一方、負債は1兆6,021億円で、そのほとんどが預金残高となっています。純資産は2,804億円と、堅実な財務体質を維持しています。
資産の部
セブン銀行の資産の特徴は、ATMサービス提供のために必要な現金預け金が1兆998億円と大きなウエイトを占めていることです。このほかに、為替決済や日銀当座預金の担保となる有価証券が1,200億円、提携金融機関との仮払金であるATM仮払金が2,241億円などが主な資産項目となっています。
負債の部
負債の中心は預金が9,511億円となっています。個人向けの普通預金が4,846億円、定期預金が1,189億円と個人預金が大半を占めています。このほかにも、ATM関連の仮受金が1,194億円、クレジットカード関連の未払金が478億円などが主な負債項目となっています。
純資産の部
純資産は2,804億円と堅調な水準を維持しています。このうち、利益剰余金が2,064億円と最も大きな割合を占めています。また、自己資本比率は19.09%と高い健全性を示しています。今後の事業拡大を支える強固な財務基盤が築けていると言えるでしょう。
ROAとROE
セブン銀行のROAは2.3%、ROEは14.65%と、高水準の収益性を維持しています。ATMを中心とした既存事業の高い収益性に加え、今回のクレジットカード・電子マネー事業の子会社化により、さらなる収益力の向上が期待されます。今後もこの高い収益性を維持していくことが重要になってきます。
キャッシュフロー
セブン銀行の営業活動によるキャッシュ・フローは、ATM関連の収支が安定的に推移していることから、前年同期比で増加しています。一方で投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社買収などの影響により減少しています。財務活動では配当金の支払いがあるものの、全体としては現金及び現金同等物が1兆1,013億円と、きわめて手厚い流動性を確保しています。
配当の支払額
セブン銀行は、中間配当と期末配当の年2回、株主への配当を行っています。2023年度の中間配当は1株当たり5.50円と、前年同期と同水準を維持しています。同社は株主還元にも力を入れており、今後も安定的な配当の継続が期待されます。
今後の展望
セブン銀行は、ATMサービスとクレジットカード・電子マネー事業を中核に、「社会インフラとしての使命」を果たしつつ、さまざまな金融サービスの提供を目指しています。昨今の経営環境の変化に柔軟に対応し、収益力と成長性を兼ね備えた企業に変貌しつつあります。今後も、既存事業の基盤強化と新事業領域の開拓により、さらなる業績拡大が期待されます。
編集部のまとめ
セブン銀行は、コンビニエンスストア内のATMサービスを中核事業としつつ、近年はクレジットカードや電子マネーなどの決済サービスにも事業を拡大しています。2023年度第3四半期の決算では、これらの新規事業の寄与もあり、経常収益が大幅に増加し、高水準の収益性も維持しています。今後もこの成長トレンドを続け、総合的な金融サービス企業として、さらなる飛躍が期待されます。
株式会社セブン銀行の決算日や配当についてまとめました。
セブン銀行は年4回の決算発表を行っており、12月の第3四半期決算の発表がされました。また、同社は中間配当と期末配当の年2回の配当を実施しています。2023年度の中間配当は1株当たり5.50円と前年同期並みを維持しており、今後も安定した株主還元が期待されます。