※本記事は一般的な情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。投資判断は必ずご自身の責任で、目論見書等の内容をご確認のうえ行ってください。
- 「eMAXIS Slim 全世界株式(除く米国)」という商品は、現時点のeMAXIS Slimシリーズには存在しない
- 米国を除いた全世界株式に投資したい場合は、楽天・VXUSやSBI・V・全世界株式(除く米国)が候補になる
- いずれも「FTSEグローバル・オールキャップ(除く米国)インデックス」への連動を目指す設計
- eMAXIS Slimシリーズ内でも、複数ファンドの組み合わせで米国比率を調整することは可能
- 米国集中リスクを意識する投資家が増えており、「除く米国」型は分散投資の選択肢として注目度が上がっている
eMAXIS Slimに「全世界株式(除く米国)」というファンドはある?
結論から言うと、eMAXIS Slimシリーズには「全世界株式(除く米国)」という名称のファンドは用意されていないのが現状です。同シリーズには「全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)や「全世界株式(除く日本)」「先進国株式インデックス(除く日本)」「米国株式(S&P500)」「全米株式」「新興国株式インデックス」「全世界株式(3地域均等型)」など多彩なラインナップがありますが、名指しで「米国を除く」ことをコンセプトにした商品は含まれていません。
「除く日本」というくくりは日本の投資家が自国資産を重複して持ちすぎないための設計思想として一般的ですが、「除く米国」というくくりは、これまで需要が限定的だったこともあり、大手インデックスシリーズでは後発の分野です。ただし後述するとおり、他の運用会社からは実際に「除く米国」をコンセプトにしたファンドがすでに登場しており、検索する人が増えているのもうなずける状況といえます。
オルカンこと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、すでに世界の株式市場全体に分散投資する設計になっていますが、時価総額加重方式のため組入比率の6割前後を米国株が占めるのが実情です。「米国以外にもっと分散したい」というニーズは、この構成比の偏りを意識した投資家から生まれています。
なぜ今「除く米国」に注目が集まっているのか
「除く米国」型のインデックス投資信託が話題になっている背景には、いくつかの市場環境の変化があります。
- 米国株偏重リスクへの意識の高まり:世界の株式市場における米国の存在感が大きくなりすぎたことで、一極集中への警戒感を持つ投資家が増えている
- 通商政策や地政学リスクの影響:関税をめぐる政策動向や地政学的な緊張が、米国株市場のボラティリティ要因として意識されやすくなっている
- 為替動向への関心:日米の金利差の変化により、円高方向への振れを警戒する声も出ており、為替の影響を受けにくい分散を模索する動きがある
- ハイテク比率への配慮:米国市場は大手ハイテク企業の比率が高くなりやすい一方、除く米国型のファンドはハイテクセクター比率が1割台前半に収まりやすく、値動きの分散効果が期待できる
「除く米国」型は、米国株ファンドや全世界株式ファンドとセットで持つことで真価を発揮するタイプの商品です。単体で保有するというより、すでに米国株や全世界株式に投資している人が、地域分散のバランスを調整する目的で組み入れるケースが多く見られます。
「除く米国」に投資できる代表的な投資信託
現在、日本の個人投資家が実際に購入できる「除く米国」型のインデックスファンドとしては、次のような商品が知られています。いずれも米国を除く先進国・新興国の大型株から小型株までを対象とした指数に連動する設計です。
| ファンド名 | 連動指数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド(愛称:楽天・VXUS) | FTSEグローバル・オールキャップ(除く米国)インデックス | 2022年12月設定。バンガードの海外ETFを実質的な投資対象とし、低コスト運用を志向 |
| SBI・V・全世界株式(除く米国)ファンド | FTSEグローバル・オールキャップ(除く米国)インデックス | 2025年設定の比較的新しいファンド。同じくバンガードのETFを主要投資対象とする |
両ファンドはベンチマークが共通しており、米国以外の先進国株式と新興国株式を丸ごとカバーする設計思想は同じです。信託報酬などのコスト水準は運用会社によって異なるため、実際に検討する際は各運用会社の公式サイトで最新の目論見書を確認するのがおすすめです。
どちらのファンドも新NISAの成長投資枠・つみたて投資枠の対象となる場合があります。取扱いの有無や対象区分は証券会社ごとに異なるため、購入前に利用中の証券会社で確認しておくと安心です。
eMAXIS Slimシリーズで米国比率を調整する方法
eMAXIS Slimシリーズ単体で「除く米国」を再現することは難しいものの、複数のファンドを組み合わせることで、ポートフォリオ全体の米国比率をある程度コントロールすることは可能です。
- 先進国株式インデックス(除く日本)+新興国株式インデックスを独自の配分で組み合わせ、米国株式(S&P500)の比率を意図的に抑えることで、間接的に米国偏重を緩和する
- 全世界株式(3地域均等型)を活用する。日本・先進国・新興国をおおむね均等に配分する設計のため、時価総額加重型よりも米国への集中度が下がりやすい
- すでに米国株式(S&P500)や全米株式を保有している場合は、新規の積立先を先進国株式(除く日本)や新興国株式に振り向けることで、ポートフォリオ全体のバランスを調整する
「全世界株式(オール・カントリー)」1本だけでも世界中に分散はできていますが、米国比率をさらに下げたい場合は、ファンドの組み合わせや積立配分の調整が現実的な選択肢になります。ゼロから複数ファンドを管理するのが手間に感じる場合は、前述の「除く米国」専用ファンドを一部組み入れる方法もあります。
組み合わせ方の具体例
米国集中を和らげたいときの積立配分は、リスク許容度や投資方針によって最適解が異なります。ここでは考え方の一例を紹介します。
- 米国株の比率を維持しつつ分散を厚くしたい人:米国株式(S&P500)を中心に据えつつ、一定割合を「除く米国」型ファンドに配分し、地域分散を後から積み増す
- すでにオルカンだけを保有している人:オルカンの米国比率をそのまま活かしつつ、新規の積立枠だけ「除く米国」型に振り向けることで、時間の経過とともに米国比率を緩やかに下げていく
- 为替リスクよりも地域分散を優先したい人:先進国株式(除く日本)と新興国株式インデックスを自分で配分し、米国以外の比率を柔軟に決める
配分を細かく調整するほど管理の手間は増えます。長期の積立投資では「続けやすさ」も重要な要素なので、こだわりすぎて運用が複雑になりすぎないよう、無理のない本数に絞るのがコツです。
始める際に知っておきたいポイント
「除く米国」型のファンドを検討する際は、次のような点を事前に押さえておくと安心です。
- 利用している証券会社の取扱いラインナップに対象ファンドがあるか
- 新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠のどちらの対象になっているか
- 信託報酬に加えて、投資対象となる海外ETF側のコストがどの程度上乗せされるか
- すでに保有している米国株ファンドとの重複がどの程度あるか
特に、すでにオルカンや米国株式(S&P500)を保有している場合、「除く米国」型を追加することで結果的に全世界株式に近い配分になることもあります。新しいファンドを追加する前に、自分のポートフォリオ全体で米国比率がどう変化するかをシミュレーションしておくと、狙いどおりの分散効果を得やすくなります。
分散投資の目的は「値動きを完全になくすこと」ではなく、特定の国・地域に依存しすぎるリスクを和らげることです。米国株の成長性に期待しつつも地域分散を意識するというバランス感覚が、長期の資産形成では役立ちます。
まとめ
「eMAXIS Slim 全世界株式(除く米国)」というキーワードで検索すると気になるところですが、現時点でeMAXIS Slimシリーズにその名称のファンドは存在しません。米国を除いた全世界株式に直接投資したい場合は、楽天・VXUSやSBI・V・全世界株式(除く米国)といった、FTSEグローバル・オールキャップ(除く米国)インデックスに連動する専用ファンドが候補になります。一方で、eMAXIS Slimシリーズ内の複数ファンドを組み合わせたり、積立配分を調整したりすることでも、米国比率をゆるやかにコントロールすることは可能です。大切なのは、自分がすでに保有している資産の地域配分を把握したうえで、無理のない範囲で分散のバランスを整えていくことです。長期の積立投資では、細部にこだわりすぎず、続けやすい組み合わせを選ぶことも大きなポイントになります。
eMAXIS Slim「全世界株式・除く米国」の有無と代替ファンドの選び方をまとめました
eMAXIS Slimシリーズには「全世界株式(除く米国)」という商品はなく、米国を除いた分散投資をしたい場合は楽天・VXUSやSBI・V・全世界株式(除く米国)といった専用ファンドを検討するのが近道です。また、eMAXIS Slimシリーズの中でも先進国株式(除く日本)や新興国株式、3地域均等型などを組み合わせることで、米国比率を調整する運用も可能です。自分の資産全体における米国株の比率を意識しながら、無理なく続けられる分散投資の形を選んでいくことが、長期的な資産形成における安定した土台につながります。














