「チーズ鱈」や「サラミ」などのおつまみで知られる株式会社なとり(証券コード:2922)は、東京証券取引所プライム市場に上場する食品メーカーです。株式投資の対象として注目する読者に向けて、直近の業績動向、配当方針、そして人気の株主優待制度までをまとめて整理します。
- なとりは水産加工品・畜産加工品を主力とするおつまみ業界大手で、東証プライム上場の食品株
- 2026年3月期は原材料コストの影響を受けつつも、2027年3月期は増収増益・増配を計画
- 直近発表の四半期決算では一時的な収益悪化がみられたが、通期の会社計画は据え置きの姿勢
- 株主優待は自社のおつまみ詰め合わせセットで、保有株数に応じて内容がグレードアップ
- 配当利回り・優待利回りを含めた総合利回りを重視する個人投資家からの関心が高い銘柄
なとり(2922)とはどんな会社か
なとりの代表的な商品としては、1982年発売のロングセラー「チーズ鱈」をはじめ、粗挽きサラミ、するめ・いか製品などの水産加工品、チーズを使った畜産加工品などが挙げられます。コンビニエンスストアやスーパーの酒類・つまみコーナーで目にする機会が多く、消費者にとって身近な存在であることも同社の強みです。
なとりの株価の現状と特徴
なとり株は、東証プライム市場に上場する中型の食品株として、比較的値動きが穏やかな銘柄に分類されます。直近1年程度のレンジでは、おおむね1,800円台から2,200円台の間で推移する場面が見られ、急騰・急落を繰り返すような値動きの荒いテーマ株とは一線を画しています。
食品セクター全体に言えることですが、なとりのような加工食品メーカーは景気敏感度が比較的低いディフェンシブ銘柄として位置づけられることが多く、相場全体が不安定な局面でも安定した需要が期待できる点が個人投資家から評価されています。おつまみというジャンルの特性上、飲酒機会に左右される側面はあるものの、家庭内消費・ギフト需要など複数の販売チャネルを持つことも安定要因のひとつです。
2026年3月期の決算を振り返る
なとりの2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の連結業績は、原材料価格の上昇といった外部環境の影響を受けながらも、酪農加工製品・農産加工製品の売上が伸長するなど前向きな要素も見られた1年でした。
| 項目 | 2026年3月期(実績) | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約485.8億円 | ▲0.6% |
| 営業利益 | 約18.9億円 | ▲4.0% |
| 経常利益 | 約19.3億円 | ▲4.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 約13.4億円 | ▲0.7% |
そして注目したいのが2027年3月期の会社計画です。会社側は増収増益を見込んでおり、営業利益は前期比二桁パーセントの伸びを計画しています。あわせて配当の増額も予定されており、原材料高という逆風のなかでも収益改善に向けた道筋を示している点は、株主にとってポジティブな材料といえるでしょう。
2026年3月期第1四半期(4~6月)決算のポイント
2026年8月に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の決算では、売上高が前年同期比プラスとなる一方、経常損益は一時的に赤字となる場面がありました。食品製造販売事業において、原材料コストなどの影響で利益水準が想定より下振れしたことが背景です。
実際、会社側はこの第1四半期の結果を受けても通期の業績計画自体は据え置く方針を示しており、下期にかけての収益改善を見込んでいることがうかがえます。売上高自体は前年同期を上回っており、需要面では底堅さを維持している点も確認しておきたいところです。
配当金の推移と方針
なとりは安定配当を志向する企業のひとつとして知られています。1株当たり配当金は年20円台で推移してきた実績があり、配当利回りはおおむね1%台前半で推移することが多い銘柄です。単純な利回りの高さだけを見ると突出した水準ではありませんが、後述する株主優待とあわせた総合利回りで評価する個人投資家が少なくありません。
配当方針を確認する際は、単年度の配当額だけでなく、配当性向(利益に対してどの程度を配当に回しているか)の推移もあわせてチェックすると、企業の株主還元姿勢をより立体的に把握できます。安定した収益基盤を持つ食品メーカーは、急激な減配リスクが相対的に低い業種であることも、長期投資の観点では押さえておきたいポイントです。
株主優待の内容と魅力
なとり株の大きな魅力のひとつが、自社製品を使った株主優待制度です。おつまみメーカーらしく、優待内容は自社のおつまみ・珍味詰め合わせセットとなっており、保有株数に応じて内容がグレードアップする仕組みになっています。
| 保有株数 | 優待内容の目安 |
|---|---|
| 100株以上 | 自社製品詰め合わせ(2,500円相当) |
| 500株以上 | 自社製品詰め合わせ(3,000円相当) |
| 1,000株以上 | 自社製品詰め合わせ(3,500円相当) |
| 3,000株以上 | 自社製品詰め合わせ(4,500円相当) |
おつまみを中心とした詰め合わせは、家飲みや来客時のちょっとした一品として活用しやすく、「投資をしながら生活の楽しみも得られる」という点で、長期保有目的の個人投資家から高く評価されています。優待利回りは保有株数によって変動するため、投資予算に応じて100株単位でコツコツ買い増していくスタイルとも相性が良い銘柄といえるでしょう。
なとり株に投資する際の注目ポイント
ここまでの内容を踏まえ、なとり株を検討する際に押さえておきたい視点を整理します。
- 原材料コスト(水産物・畜産物・チーズなど)の動向と、価格転嫁の進捗状況
- 2027年3月期に向けた増収増益・増配計画の進捗
- 四半期ごとの業績変動と、通期計画に対する進捗率
- 配当利回りと株主優待をあわせた総合的な還元姿勢
食品セクター全体に共通する話ですが、なとりのような加工食品メーカーは為替や原材料相場の影響を受けやすい一方で、ブランド力のある定番商品を持つことで価格転嫁を進めやすいという側面もあります。「チーズ鱈」のような長年愛されてきたロングセラー商品を持つことは、価格改定に対する消費者の理解を得やすくする要素のひとつとして注目されています。
もちろん、投資判断にあたっては株価の割安・割高感を測る指標(PERやPBRなど)や、同業他社との比較も重要です。おつまみ・珍味というニッチながら安定した需要を持つ市場でのシェアや、海外展開・新商品開発などの成長戦略にも目を向けることで、より立体的に企業価値を評価できます。
まとめ
なとり(2922)は、「チーズ鱈」をはじめとするロングセラー商品を持つ、東証プライム上場のおつまみ・食品加工メーカーです。2026年3月期は原材料コスト高の影響で減収減益となったものの、2027年3月期は増収増益・増配を計画しており、直近の四半期決算で一時的な収益悪化が見られた局面でも、会社側は通期計画を据え置く姿勢を見せています。配当に加えて、自社製品を使った株主優待制度があることも、長期保有を志向する個人投資家にとって大きな魅力です。ディフェンシブ性の高い食品セクターの銘柄として、安定した値動きと株主還元の両面から注目していきたい銘柄といえるでしょう。
なとり(2922)株価と業績を分析|株主優待もチェックをまとめました
なとりは、原材料高という逆風のなかでも増収増益・増配計画を掲げ、株主優待という独自の魅力も備えた食品株です。四半期ごとの業績変動に一喜一憂するのではなく、通期の会社計画や中期的な成長戦略、そして配当・優待をあわせた総合的なリターンに着目することが、この銘柄と長く付き合っていくうえでのポイントになります。投資を検討する際は、最新の決算内容やIR情報を定期的に確認しながら、自身の投資スタイルに合った保有株数やタイミングを見極めていきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。個別のケースについては専門家にご相談ください。

















