この記事の要点
- ソフトバンクの種類株は、正式には「社債型種類株式」。社債に近い値動きと配当の性格を持つ、国内初の上場商品です。
- これまでに第1回(銘柄コード94345)と第2回(94346)が東証プライム市場に上場しています。
- 配当は当初の一定期間が固定(第1回は年率2.500%、第2回は年率3.200%)で、その後は金利に連動する変動型に切り替わります。
- 議決権はなく、普通株への転換もできません。その代わり累積型・非参加型という、配当を軸にした設計です。
- 株主優待の対象は普通株が中心。種類株だけを持つ場合は受けられる内容が限られる点に注意が必要です。
「ソフトバンクの株を買いたいけれど、値動きが大きいのは少し不安」「配当をきちんと受け取れる商品を探している」。そんな声に応える存在として注目されているのが、ソフトバンクの社債型種類株式です。一般に「種類株」と呼ばれることが多く、検索でも「ソフトバンク 種類株」という言葉で調べる人が増えています。
この記事では、第1回と第2回の条件の違い、配当の仕組み、普通株や社債との立ち位置の違い、新NISAとの相性、購入するときの考え方までを順番に整理します。数字の多いテーマですが、表と具体例を交えて読み進められる構成にしました。
ソフトバンクの種類株(社債型種類株式)とは
そもそも種類株式とは、権利の内容が異なる複数の種類の株式のことです。会社法では、配当を優先的に受け取れる株式や、議決権が制限された株式など、さまざまな設計が認められています。ソフトバンクが発行した社債型種類株式は、その仕組みを使って「社債に似た性格」を持たせた株式です。
会計上は負債ではなく資本(自己資本)として扱われる一方、投資家から見ると、あらかじめ決まった配当を受け取る点が社債の利息に近く、両方の性格を併せ持つハイブリッド型の商品といえます。
ひとことで言うと
「普通株のように市場で売買でき、社債のように配当の見通しが立てやすい」のが、この種類株の特徴です。値上がり益を狙う商品というより、配当を受け取りながら保有する商品として設計されています。
国内初とされた理由
個人投資家向けに販売され、そのまま東京証券取引所に上場する社債型の種類株式は、国内では初の試みとして話題になりました。上場しているため、購入後に現金化したくなったときは、市場で売却できます。この「換金しやすさ」は、償還日まで持ち続けるのが基本の一般的な社債との大きな違いです。
資金の使いみち
調達した資金は、通信やIT技術の高度化、生成系のサービス、次世代の社会インフラといった成長投資に充てる方針とされています。企業側にとっては、議決権の希薄化を起こさずに自己資本を厚くできる点が利点です。格付機関からも、調達額の一部(50%)について資本性が認められる予定と発表されています。
第1回と第2回の条件を一覧で比べる
まずは、2つの銘柄の基本条件を並べてみます。数字を比べると、それぞれの位置づけがつかみやすくなります。
| 項目 | 第1回社債型種類株式 | 第2回社債型種類株式 |
|---|---|---|
| 銘柄コード | 94345 | 94346 |
| 1株あたりの発行価格 | 4,000円 | 8,000円 |
| 発行総額 | 1,200億円(3,000万株) | 2,000億円(2,500万株) |
| 当初の固定配当 | 年率2.500%(2029年3月末まで) | 年率3.200%(2030年3月末まで) |
| 固定期間の後 | 基準金利+3.182%の変動配当 | 1年国債金利+2.960%など、段階的に見直される変動配当 |
| 上場時期 | 2023年11月 | 2024年10月 |
| 市場 | 東証プライム | 東証プライム |
| 会社側の取得権 | 発行から5年経過後に現金で取得可能 | 発行から5年経過後に現金で取得可能 |
ここに注目
第2回のほうが固定配当の利率は高く、1株あたりの単価も大きくなっています。発行から時間がたつほど「固定期間の残り」は短くなるため、購入時点で残りが何年あるかも意識しておきたいところです。
配当の仕組みを具体例で理解する
種類株の配当は、発行価格に年率を掛けた金額を基本に決まります。ここでは、具体的に計算してみましょう。
1株あたりの年間配当のイメージ
- 第1回:4,000円 × 2.500% = 年間100円
- 第2回:8,000円 × 3.200% = 年間256円
第2回では、初回の基準日となった2025年3月31日の優先配当金が1株あたり126.24円(1年を365日とした日割計算)と示されています。これは、発行直後の期間分だけを按分した金額のため、年間の満額ではありません。2年目以降は、通年の256円が目安になります。
ポイント
配当の基準日は、年に1回、事業年度の末日(3月31日)です。年に複数回受け取る普通株とはリズムが異なるため、資金計画を立てるときは注意しましょう。
市場価格で買った場合の利回りの考え方
上場後の種類株は、市場で日々価格が変わります。実際に受け取れる配当は、発行価格を基準に決まる一定額ですが、購入価格が違えば利回りも変わります。
たとえば第2回を仮に1株7,580円で買えたとすると、年間配当256円に対する利回りは約3.38%です(256円 ÷ 7,580円)。同じ株を8,000円で買えば、利回りは発行時と同じ3.20%になります。購入価格が低いほど利回りは上がる、逆に高いほど下がる、という関係です。
ここで示した株価は計算のための一例です。実際の価格は日々動くため、購入前には最新の株価を確認してから利回りを試算してください。
累積型・非参加型とは
この種類株の説明でよく出てくる2つの言葉を、やさしく整理します。
| 用語 | 意味 | 投資家にとっての意味合い |
|---|---|---|
| 累積型 | 払われなかった優先配当金が翌期以降に繰り越される | 配当が積み残しになっても、後で受け取る権利が残る |
| 非参加型 | 決められた優先配当金を超える配当は受け取れない | 業績が大きく伸びても、配当が増えるわけではない |
つまり、「上振れは狙えないが、決まった配当は優先的に受け取りやすい」という設計です。安定性を重視する人にとっては、わかりやすい仕組みといえるでしょう。
普通株・社債との違いを整理する
種類株を検討するときは、同じソフトバンクの普通株や、一般的な社債と何が違うのかを押さえておくと判断しやすくなります。
| 比較項目 | 社債型種類株式 | 普通株(9434) | 一般的な社債 |
|---|---|---|---|
| 議決権 | なし | あり | なし |
| 配当・利息 | 当初は固定、その後は金利連動 | 業績や方針で変わる | あらかじめ確定 |
| 満期・償還 | 期限なし(会社に5年後以降の取得権) | なし | あり |
| 会計上の扱い | 資本 | 資本 | 負債 |
| 売買 | 東証で随時可能 | 東証で随時可能 | 商品による |
| 価格の変動 | 普通株より小さめの傾向 | 大きい | 満期まで持てば元本が戻る |
位置づけのイメージ
値動きの大きい普通株と、満期まで持てば元本が戻る社債の中間にある商品、と捉えるとわかりやすいでしょう。リスクとリターンも、その中間に位置する「ミドルリスク・ミドルリターン」型として紹介されることが多い商品です。
償還期限がない点をどう見るか
一般的な社債には満期日があり、その日に額面で戻ってきます。一方、この種類株には満期がありません。発行から5年が過ぎると、ソフトバンク側が「発行価格に経過配当金などを調整した金額」で取得する権利を持ちますが、これは会社の権利であって、投資家が請求できる権利ではありません。
つまり、いつ手放すかは、市場で売るか、会社による取得を待つかのどちらかになります。買う前に「その時期の株価がどうなっていそうか」を自分なりに想像しておくと、心構えができます。
新NISAとの相性と税金の考え方
社債型種類株式は、新NISAの成長投資枠の対象になる商品として案内されています。NISA口座で保有すれば、配当や売却益にかかる税金が非課税になるため、配当を軸にする商品との相性は良好です。
課税口座と非課税口座の違い
- 特定口座・一般口座:配当や売却益に、約20%の税金がかかります。
- NISA口座(成長投資枠):配当・売却益がともに非課税です。
たとえば、第2回の年間配当256円を100株分受け取ると2万5,600円です。課税口座では約20%が差し引かれ、手取りは2万円強になります。NISA口座なら、この税金がかかりません。同じ銘柄でも、口座の選び方で受け取れる金額に差が出ます。
覚えておきたいこと
NISAの成長投資枠には年間の上限があります。ほかの投資信託や株式とあわせて、枠をどう配分するかを考えておくと無駄がありません。
配当を受け取る方法にも注意
証券会社によっては、配当の受け取り方式によって課税の扱いが変わる場合があります。NISA口座で非課税のメリットを受けるには、一般に「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があるとされています。口座開設先の設定画面で、あらかじめ確認しておくと安心です。
株主優待との関係
ソフトバンクといえば、株主優待を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。優待の対象は普通株式が中心で、同じ株主番号で3月31日と9月30日の基準日に1年以上連続して記録されており、かつ100株(1単元)以上を保有している株主が対象です。優待の内容は、PayPayマネーライトの付与として案内されています。
一方で、社債型種類株式のみを持っている株主は、優待サイト上でのメールマガジン登録など、限られた利用にとどまります。「優待も目当てで種類株を買う」という考え方はあまり向きません。優待を重視するなら普通株、配当の安定を重視するなら種類株、と目的で使い分けるとよいでしょう。
使い分けの目安
成長性や優待を楽しみたい人は普通株、配当の見通しを立てたい人は種類株。両方をバランスよく持つ方法もあります。
種類株のメリットを整理する
ここまでの内容を踏まえて、この商品の魅力をまとめます。
1. 配当の見通しが立てやすい
固定期間中は、決められた年率の配当が前提になります。普通株のように業績や配当方針を気にしすぎず、受け取れる金額を計算しやすいのは大きな利点です。家計の中で「毎年これくらい入ってくる」と見込みやすくなります。
2. 普通株より値動きが穏やかな傾向
配当が固定されているため、株価は発行価格の近辺で推移しやすいと考えられます。相場全体が荒れる局面でも、比較的落ち着いた動きになりやすい点は、初めて株式を持つ人にとって心強い材料です。
4. 上場しているので売買しやすい
市場が開いている時間帯なら、通常の株と同じように売買できます。社債のように満期まで動かせないという心配がなく、資金が必要になったときの柔軟性があります。
5. 新NISAで非課税の恩恵を受けられる
成長投資枠の対象のため、配当を非課税で受け取れます。長期でコツコツ積み上げたい人にとって、相性のよい組み合わせです。
購入前に知っておきたい注意点
魅力だけでなく、知っておくべきポイントも確認しておきましょう。仕組みを理解した上で買うことが、納得感のある投資につながります。
価格は日々変わる
元本が保証された商品ではありません。金利の動きや会社の財務状況、市場の需給によって、購入時より価格が下がる可能性もあります。特に金利が上昇する局面では、相対的に固定配当の魅力が薄れ、価格が下がりやすくなるとされています。
配当が増えることはない(非参加型)
ソフトバンクの業績が好調でも、優先配当金を超える分は受け取れません。値上がり益や増配を期待する商品ではない、という点を理解しておきましょう。
固定期間の後の配当は金利次第
固定期間が終わると、配当は金利に連動する形へ移ります。金利水準によって、配当が上がることも下がることもあります。固定期間の終了時期を、あらかじめカレンダーに入れておくと見通しが立てやすくなります。
会社による取得のタイミング
発行から5年が経過すると、会社が取得できるようになります。取得が行われた場合は、市場価格ではなく決められた金額で受け取ることになります。市場価格が発行価格を上回っているときに買っていた場合は、取得価額との差に注意が必要です。
優待は限定的
前の章で触れたとおり、優待を目的にするなら普通株が中心になります。目的に合った銘柄選びが大切です。
買う前のチェックリスト
①購入価格での利回りを計算したか ②固定期間の残りを確認したか ③NISAの枠に余裕があるか ④会社による取得の可能性を理解したか ⑤生活資金とは分けた余裕資金か
購入方法と手順
種類株は、ソフトバンク普通株と同じように、証券会社の口座を通じて売買できます。手順は次のとおりです。
- 証券口座を用意する:すでに株式取引ができる口座があれば、そのまま利用できます。NISA口座も同時に開設しておくとスムーズです。
- 銘柄を検索する:銘柄名または銘柄コード(第1回は94345、第2回は94346)で探します。普通株の9434と間違えないよう注意しましょう。
- 現在の株価と気配値を確認する:売買が成立しやすい価格帯かどうかを、板情報で確かめます。
- 注文方法を選ぶ:値段を指定する指値注文なら、思わぬ高値づかみを防げます。
- 口座区分を選ぶ:NISA(成長投資枠)で買うか、特定口座で買うかを決めて注文します。
指値をおすすめする理由
種類株は普通株に比べて売買が成立する量が少ない場合があり、成行注文だと想定より高い価格で約定することもあります。落ち着いて指値で注文するのが安心です。
売買のタイミングの考え方
配当の基準日は3月31日です。権利を得るには、権利付き最終日までに買っておく必要があります。直前は買いが集まって価格が動きやすいため、時期をずらして少しずつ買い増すという方法もあります。
どんな人に向いているか
種類株の特徴を踏まえると、次のような人と相性がよいといえます。
向いている人
- 普通株の値動きに、少し不安を感じている人
- 配当を軸にしたポートフォリオを組みたい人
- 新NISAの成長投資枠で、配当を非課税で受け取りたい人
- ソフトバンクグループの事業を、穏やかな形で応援したい人
- 預金や社債より、少し高いリターンを望む人
ほかの選択肢が合う人
- 大きな値上がり益を狙いたい人(普通株や成長株)
- 優待を楽しみたい人(普通株)
- 満期日に元本が戻る安心感を優先したい人(社債や国債)
組み合わせの発想
資産全体のうち、守りの部分に種類株、攻めの部分に普通株や投資信託、という形で役割分担をさせると、全体のバランスが取りやすくなります。
今後の動きを見るときのポイント
種類株を持ちながら、あるいは検討しながら、どんな情報に目を配るとよいでしょうか。
金利の動向
固定期間後の配当は金利に連動するため、国債金利の動きは無視できません。金利が上がる局面では、変動期間の配当の期待値も上がる一方、市場価格には下押し圧力がかかることがあります。両面を見ておくとよいでしょう。
ソフトバンクの財務・格付け
配当を支える会社の力を測る材料として、決算発表や格付けの動きは定期的にチェックしたいところです。通信事業は安定した収益基盤があるとされており、種類株の安心感を支える要素の1つといえます。
追加発行の可能性
第1回、第2回に続く新しい回が発行されるかどうかは、現時点で公式の案内が確認できていません。発行される場合は、ソフトバンクの公式IRページで発表されるため、興味がある人はときどき確認しておくとよいでしょう。新しい回ができれば、条件比較の選択肢も広がります。
よくある疑問
Q. 普通株に転換できますか?
できません。転換権が付いていないため、議決権の希薄化が起こらない設計です。
Q. 配当は必ず受け取れますか?
優先的に支払われる設計ですが、会社の決議が前提です。払われなかった分は累積して繰り越される仕組みのため、その点が保護になっています。
Q. 第1回と第2回、どちらが良いですか?
一概にはいえません。利回りは購入価格で変わり、固定期間の残りも異なります。購入時点の価格で利回りを計算し、固定期間の長さも見比べて決めるのが現実的です。
Q. 少額から買えますか?
1株あたりの単価は第1回が発行時4,000円、第2回が8,000円です。売買単位や最低購入金額は、利用する証券会社の銘柄情報で確認してください。
まとめ
ソフトバンクの種類株、すなわち社債型種類株式は、社債に近い配当の安定性と、株式としての売買しやすさを併せ持つ商品です。第1回(94345)は年率2.500%、第2回(94346)は年率3.200%の固定配当が当初の一定期間続き、その後は金利に連動する形へ移ります。議決権や普通株への転換権はなく、累積型・非参加型という配当中心の設計で、新NISAの成長投資枠も活用できます。
ソフトバンク種類株の第1回と第2回の違い|配当・買い方・注意点をまとめました
第1回と第2回の違いは、発行価格(4,000円と8,000円)、固定配当の利率、固定期間の終了時期にあります。購入価格によって実質の利回りは変わるため、最新の株価で利回りを試算し、固定期間の残りを確認することが出発点です。優待は普通株が中心で、種類株のみでは限定的な点も押さえておきましょう。値動きが穏やかな傾向があり、配当の見通しを立てやすい一方、価格は日々変動し、増配は期待できません。自分の投資目的に合うかを整理し、余裕資金の範囲で、指値注文を使いながら無理なく検討してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。個別のケースについては専門家にご相談ください。





















