株式の贈与契約書の書き方|非上場と上場で変わる手続き

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家族や後継者に株式を譲りたいと考えたとき、多くの人が最初につまずくのが「贈与契約書って本当に必要なの?」という疑問です。口約束でも贈与自体は成立しますが、株式投資・資産運用に関わる場面では、書面を残すかどうかで後々の税務上の扱いや家族間のトラブルの有無が大きく変わってきます。この記事では、上場株式と非上場株式それぞれの贈与手続きの違い、契約書に書いておきたい項目、贈与税の基礎知識までを整理します。

  • 株式の贈与は口頭でも成立するが、書面化することでトラブル防止と税務上の証拠力が高まる
  • 上場株式は証券会社の「口座振替依頼書」等で移管するのが基本的な流れ
  • 非上場株式は会社の承認手続きが絡むため、契約書の役割がより重要になる
  • 年間110万円の非課税枠を超える贈与には贈与税の申告が必要
  • 事業承継で株式を贈与する場合は、納税猶予の特例など専門的な制度の検討も欠かせない
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株式の贈与とはどのような手続きか

株式の贈与とは、対価を受け取らずに自分が保有する株式を家族や第三者に無償で譲り渡すことを指します。民法上、贈与は贈与者と受贈者の意思が合致していれば口頭でも成立するとされています。ただし株式は財産的価値を持つため、「いつ」「誰から誰に」「どの株式を」「何株」贈与したのかが曖昧なままだと、後になって税務署や家族の間で認識のズレが生じやすくなります。

ポイント: 書面による贈与契約は、原則として契約書を締結した時点で成立し、以後は一方的に撤回できなくなるという特徴があります。口頭での贈与よりも効力が明確になる点がメリットです。

資産運用の一環として株式を次の世代に引き継ぐケースは年々増えており、相続対策として生前にコツコツと贈与を進める家庭も少なくありません。その際、手続きの入り口になるのが「保有している株式が上場株式か、非上場株式か」という区分です。この二つでは必要な手続きが大きく異なります。

上場株式を贈与する場合の流れ

上場株式の贈与は、証券会社を通じた口座間の移管手続きによって行われます。一般的な流れは次のとおりです。

基本の流れ

  1. 贈与者が株式を預けている証券会社に「口座振替依頼書」または「特定口座内上場株式等移管依頼書」を請求する
  2. 必要事項を記入し、贈与者側の証券会社に提出する
  3. 受贈者側の証券口座へ株式が移管される(受贈者側での特別な申請は不要とされているケースが多い)
  4. 移管完了まで、おおむね数営業日から1週間程度の期間がかかる

注意しておきたいのは、口座の区分(一般口座か特定口座か)によって移管の可否や必要書類が変わる点です。一般口座で保有していた株式を特定口座に移す場合は、取得日や取得価額を証明する資料の提出を求められることがあります。また、証券保管振替機構(通称ほふり)で扱われていない銘柄や、上場廃止となった銘柄は移管の対象外となる場合があるため、事前に証券会社へ確認しておくと安心です。

注意点: 上場株式の移管そのものは証券会社の手続きだけで完了しますが、それはあくまで「株式の名義を移す」作業であって、贈与の事実や意思を証明する書類にはなりません。贈与税申告や将来の相続時の説明に備えて、別途贈与契約書を作成しておくことが推奨されています。

非上場株式を贈与する場合に契約書が重要になる理由

非上場株式(家族経営の会社の株式など)の贈与は、上場株式とは勝手が異なります。証券会社を介さず、発行会社の株主名簿を書き換えるという手続きが必要になるためです。

多くの会社は定款で株式の譲渡(贈与を含む)に制限を設けており、取締役会や株主総会の承認を経なければ名義変更ができない仕組みになっています。会社側から贈与契約書の提出を求められることは必ずしも多くありませんが、会社の承認を条件とする内容で契約書を作成しておくことで、当事者同士の意思を明確にできるというメリットがあります。

確認しておきたいこと: 定款の譲渡制限条項、承認機関(取締役会か株主総会か)、株主名簿書換えの手続き方法。これらは会社によって異なるため、事前に会社の担当部署や専門家に相談しておくとスムーズです。

贈与契約書に記載しておきたい項目

株式の贈与契約書に厳密な決まった書式はありませんが、実務上は次のような項目を盛り込んでおくと、贈与の事実が明確になり税務上の説明もしやすくなります。

  • 贈与者・受贈者それぞれの氏名・住所
  • 贈与する株式の発行会社名・株式の種類・株数
  • 贈与契約締結日
  • 贈与の対価が存在しないことの明記
  • (非上場株式の場合)会社の承認を条件とする旨
  • 贈与者・受贈者双方の署名または捺印

雛形の体裁を整えることよりも、贈与の事実が第三者にも読み取れる内容になっているかを重視する専門家の指摘もあります。シンプルな文面であっても、必要な項目が揃っていれば実務上は十分に機能するケースが多いようです。

贈与税の基礎知識と非課税枠

株式を贈与された側(受贈者)には、原則として贈与税が課されます。贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与の合計額がこの範囲内であれば、贈与税の申告や納税は不要とされています。

計画のヒント: 資産運用の一環として、毎年少しずつ株数を分けて贈与する「時間を分けた贈与」を選ぶ家庭もあります。ただし、評価額は贈与する年の株価や評価方法によって変動するため、毎年同じ株数でも贈与税の扱いが変わる可能性がある点は意識しておきたいところです。

上場株式の評価額は、原則として贈与日の取引所の終値など、客観的な市場価格を基準に算定されます。一方、非上場株式には市場価格が存在しないため、財産評価基本通達に基づく独自の評価方式(類似業種比準方式や純資産価額方式など)を使って算定することになります。株主の立場(同族株主かそれ以外か)によっても評価方式が変わるため、非上場株式の贈与では評価額の算定自体が専門的な作業になりやすい点が特徴です。

事業承継で株式を贈与する場合の注意点

家族経営の会社で後継者に株式を引き継ぐ場合、「事業承継税制(贈与税の納税猶予制度)」という特例の活用を検討する家庭もあります。この制度を使うと、一定の要件を満たすことで贈与税の納税が猶予される仕組みです。

主な注意点:

  • 贈与前に経済産業大臣(都道府県知事)の認定を受ける必要がある
  • 贈与税の申告期限までに認定手続きを完了させる必要がある
  • 認定後も一定期間、株式を保有し続けることが条件となる
  • 条件を満たさなくなった場合、猶予されていた贈与税と利子税をまとめて納付する必要が生じる

事業承継税制は内容が専門的かつ要件が細かいため、活用を検討する場合は税理士など専門家に早めに相談し、認定スケジュールを逆算して準備を進めることが大切です。

上場株式と非上場株式、手続きの違いを整理

項目 上場株式 非上場株式
手続きの窓口 証券会社(口座振替) 発行会社(株主名簿書換え)
評価方法 市場価格を基準に算定 財産評価基本通達に基づく算定
会社の承認 原則不要 定款の譲渡制限により必要な場合が多い
契約書の役割 贈与税申告・証拠資料として重要 会社承認の条件明記にも活用できる

契約時によくある注意点

株式の贈与を進める際、実務上つまずきやすいポイントをまとめておきます。

  • 贈与契約書の日付と、実際に株式が移管された日付がずれていないか確認する
  • 非上場株式の場合、定款の譲渡制限条項を事前にチェックしておく
  • 評価額の算定を自己判断で済ませず、専門家のチェックを受ける
  • 複数年にわたって贈与を行う場合は、毎年の贈与額を記録・保管しておく

こうした点を押さえておくことで、贈与後に「本当に贈与が成立していたのか」といった疑義が生じるリスクを減らすことができます。資産運用の一環として株式の贈与を検討している場合は、契約書の作成だけでなく、評価額の算定や税務申告までを一連の流れとして準備しておくと安心です。

まとめ

株式の贈与は、上場株式であれば証券会社を通じた口座振替、非上場株式であれば発行会社の株主名簿書換えというように、手続きの入り口が大きく異なります。いずれの場合も、贈与契約書を作成しておくことで、贈与の事実や条件を明確にし、後々の税務上の説明や家族間のトラブル防止につなげやすくなります。年間110万円の非課税枠や、事業承継を目的とする場合の納税猶予制度など、活用できる仕組みも複数あるため、具体的な手続きを進める前に、評価額の算定方法や必要書類について専門家に相談しておくことをおすすめします。

株式の贈与契約書の書き方|非上場と上場で変わる手続きをまとめました

株式の贈与を検討する際は、まず自分が保有する株式が上場株式か非上場株式かを確認し、それぞれに合った手続きの流れを把握することが第一歩です。契約書には贈与者・受贈者の情報、株式の内容、贈与日などを明記し、非上場株式であれば会社の承認を条件とする旨も加えておくと安心です。贈与税の非課税枠や特例制度も踏まえながら、無理のない形で資産の引き継ぎを進めていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。個別のケースについては専門家にご相談ください。

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