※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言(/金融アドバイス/医療アドバイス)ではありません。個別のケースについては専門家にご相談ください。
この記事のポイント
- 「昭和電工」は2025年1月にレゾナック・ホールディングスへと社名変更している
- 2026年7月時点の株価は1万5,790円前後で推移している
- AI向け半導体材料の需要拡大により、直近決算は大幅増益となっている
- アナリストの多くは「買い」評価で、目標株価は現在値より高めに設定されている
- 配当利回りは高くないが、成長投資による企業価値向上を志向する銘柄である
昭和電工からレゾナックへ 社名変更の背景を整理
株式投資メディアの読者から今も「昭和電工の株」という検索で探されることが多い銘柄だが、現在この会社はレゾナック・ホールディングス(証券コード4004)という社名で東京証券取引所プライム市場に上場している。旧・昭和電工が2023年に半導体材料や電子部品材料を手がける昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)を完全子会社化し、両社の事業を一体的に運営する体制へと移行したことに伴い、2025年1月1日付でグループ名称を「レゾナック」へと統一した経緯がある。
そのため、証券会社のアプリや株価検索サービスで「昭和電工」と入力しても銘柄が見つからないケースが増えている。銘柄を探す際は、社名変更後の正式名称である「レゾナック・ホールディングス」、または証券コード「4004」で検索するとスムーズだ。旧社名からの継続保有者にとっても、事業の中身や成長ドライバーが大きく様変わりしている点は押さえておきたいポイントといえる。
覚えておきたいポイント
旧昭和電工=現レゾナック・ホールディングス(証券コード4004)。石油化学中心の事業構成から、半導体・電子材料を成長の核とする企業へと大きく舵を切っている。
2026年7月時点の株価動向
2026年7月上旬時点でのレゾナック・ホールディングスの株価は、およそ1万5,790円で取引されている。半導体材料関連の好決算を背景に、年初から底堅い値動きを続けてきた銘柄のひとつだ。特にAI関連の設備投資需要を追い風にした決算発表のタイミングでは、株価が数パーセント規模で上昇する場面も見られた。
証券会社各社が公表しているアナリストコンセンサスでは、投資判断は「買い」が優勢となっており、平均目標株価は2万円台前半まで見込まれている。これは現在の株価水準から見て、なお上値余地があると市場が評価していることを示している。もっとも、これらの数値はあくまで市場参加者の予想であり、日々の値動きによって変動する点には留意しておきたい。
注意点
目標株価やアナリスト評価はあくまで予想であり、将来の株価を保証するものではない。半導体市況や為替、原材料価格など外部環境の変化によって業績・株価は上下する可能性がある。
直近決算に見る業績の勢い
レゾナックの2026年12月期第1四半期(1〜3月期)決算は、売上高が前年同期比で減少したものの、利益面では大きく伸びた点が特徴的だ。売上高こそ前年同期比で4%前後の減少となったが、コア営業利益は前年同期比126.4%増という大幅な増益を達成している。これは、収益性の高い半導体・電子材料事業の構成比が高まったことが主な要因とされている。
| 項目 | 2026年1〜3月期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約3,079億円 | ▲4.1% |
| 営業利益 | 約221億円 | +58.4% |
| 純利益 | 約153億円 | +74.6% |
さらに会社側は、2026年12月期上期(1〜6月期)の業績予想を上方修正した。修正後の見通しでは、売上高が前年同期比2.8%増の6,600億円、営業利益が同74.8%増の570億円、純利益が同93.3%増の380億円とされており、いずれも大幅な増益基調が続く見込みだ。通期でも、営業利益は前期の2.3倍、純利益は2.7倍になると見込まれており、収益構造の改善が着実に進んでいることがうかがえる。
ポジティブ材料
売上高の伸びが緩やかな中でも利益成長が際立っているのは、収益性の高い半導体材料事業の比率が高まっている裏返しであり、事業構造が「量」から「質」へ転換している証といえる。
成長ドライバーはAI向け半導体材料
レゾナックの業績を牽引しているのが、半導体・電子材料セグメントだ。直近の四半期では、このセグメントの売上高が前年同期比21%増、営業利益は同74%増となり、なかでも半導体の後工程で使われる材料の販売が四半期ベースで過去最高を記録した。AIサーバーやデータセンター向けの先端半導体需要が拡大する中で、パッケージング工程に使われる絶縁接着フィルムや放熱材料といった同社の主力製品への引き合いが強まっていることが背景にある。
特に、チップ同士を接着・絶縁する「NCF」や、発熱を効率よく逃がすための放熱シート「TIM」といった製品は、AI半導体の高性能化・高発熱化に伴って重要性が高まっている分野だ。会社側はこれらの生産能力を従来の3.5倍から5倍規模まで段階的に拡大する方針を掲げており、旺盛な需要を取り込む体制づくりを進めている。あわせて、2026年度には過去最高となる設備投資を計画しており、成長分野への資源配分を積極化させている点も投資家にとって注目材料だろう。
チェックしておきたい用語
「後工程材料」とは、半導体チップを基板に実装・パッケージングする工程で使われる材料の総称。AI半導体は演算性能が高い分、発熱量や配線密度への要求が厳しく、放熱材料や絶縁材料の性能が製品の競争力に直結する。
配当・株主還元の現状
インカムゲインを重視する投資家にとって気になるのが配当だろう。レゾナック・ホールディングスの予想配当利回りは0.5%前後と、株式市場全体の平均と比べるとやや控えめな水準にとどまっている。100株あたりの年間配当金額はおよそ6,500円程度が見込まれており、株主優待制度は設けられていない。
これは、同社が現時点で配当による還元よりも、AI半導体材料をはじめとする成長分野への設備投資を優先している姿勢の表れと捉えることができる。短期的な配当利回りの高さを求める投資というよりは、事業成長を通じた株価上昇(キャピタルゲイン)を期待するタイプの銘柄と位置づけられる。
投資スタイルとの相性
高配当株を軸にポートフォリオを組みたい投資家よりも、成長株(グロース株)としてキャピタルゲインを狙いたい投資家に向いている銘柄性格といえる。
投資指標から見る現在の株価水準
バリュエーション面では、予想PER(株価収益率)はおよそ30倍台〜40倍台、PBR(株価純資産倍率)はおよそ3倍台〜4倍台と、算出時期やデータソースによって幅がある。いずれにしても、素材・化学セクターの平均的な水準と比べるとやや高めのバリュエーションで取引されており、これは市場が今後の増益基調やAI関連需要の拡大を織り込んでいることの表れと考えられる。
PERやPBRが相対的に高い銘柄は、業績の伸びが期待通りに続く限りは評価されやすい一方、成長が鈍化した局面では株価の調整を受けやすい傾向もある。購入を検討する際は、単純な株価水準だけでなく、四半期ごとの決算内容や半導体・電子材料セグメントの伸び率を継続的に確認していく姿勢が大切になる。
チェックポイント
高PER・高PBR銘柄は「成長期待込みの株価」であることが多い。決算発表のたびに、会社計画に対する進捗率や上方修正の有無を確認する習慣をつけておきたい。
今後の注目ポイントと長期ビジョン
レゾナックは2030年に向けた長期ビジョンの中で、半導体・電子材料領域を事業の中核に据え、世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指す方針を掲げている。AI向け半導体市場は2024年から2028年にかけて年率3割前後の成長が見込まれるとの見方もあり、後工程材料の需要拡大は中長期的にも続くと期待されている。
また、米国では研究開発拠点の本格稼働が予定されており、グローバルでの開発・供給体制強化も進められている。今後の株価を見る上では、四半期決算での半導体・電子材料セグメントの伸び率、設備投資の進捗、そして米国をはじめとするAI関連需要の動向が引き続き重要なチェックポイントになりそうだ。
中長期で見たい視点
一時的な株価の上下よりも、半導体・電子材料セグメントの売上高比率や利益率が四半期ごとにどう推移しているかを継続的に追うことが、この銘柄を理解するうえで役立つ。
最新のIR資料や決算情報は、下記の公式サイトから確認できる。
まとめ
「昭和電工の株」として検索されることが多いこの銘柄は、現在はレゾナック・ホールディングス(証券コード4004)という名称で取引されている。旧昭和電工マテリアルズとの統合を経て、半導体・電子材料事業を成長の柱とする企業へと変貌を遂げており、直近の決算では売上高の伸びが緩やかな中でも大幅な増益を達成するなど、収益構造の改善が着実に進んでいる。AI関連の半導体需要を背景に、後工程材料の販売が過去最高水準を更新するなど、成長ドライバーは明確だ。配当利回りは高くなく株主優待もないため、インカムゲイン狙いというより、事業成長を通じた株価上昇を期待するタイプの銘柄と位置づけられる。バリュエーションはやや高めで推移しているが、これは市場が今後の成長を織り込んでいる結果ともいえる。投資判断にあたっては、最新の決算内容やセグメント別の業績動向を継続的にチェックしていくことが欠かせない。
昭和電工(現レゾナック)の株価見通しとAI半導体戦略を解説をまとめました
旧昭和電工は2025年にレゾナック・ホールディングスへ社名変更し、AI向け半導体材料を軸とした成長企業へと転換している。2026年7月時点の株価は1万5,790円前後で推移し、アナリスト評価は「買い」が優勢、目標株価には上値余地が見込まれている。直近決算では売上高が横ばい〜微減の一方で利益は大幅に伸びており、半導体・電子材料セグメントの好調がその原動力となっている。配当利回りは控えめで株主優待もないため、成長期待を軸にした中長期的な視点での投資判断が求められる銘柄といえるだろう。













