「INPEXの株主優待が廃止されるらしい」という話を見かけて、保有を続けるか迷っている方もいるかもしれません。結論から言うと、INPEX(1605)の株主優待は廃止されていません。2025年11月に制度の拡充が発表され、2025年12月31日時点の株主名簿に記載された株主から、変更後の制度が適用されています。
この記事の要点
- 優待は廃止ではなく拡充されている(2025年11月発表)
- 対象は普通株式400株以上を1年以上継続保有する株主
- QUOカードは保有年数に応じて3,000円・5,000円・7,000円相当
- 8年以上の継続保有かつ800株以上でオリジナル記念品(1回限り)
- 優待だけでなく、累進配当と自己株式取得を合わせた総合還元で見るのがポイント
「廃止」の噂はどこから?まず事実関係を整理
株主優待は、業績悪化や事業再編、株主数の増減などをきっかけに、廃止や縮小が発表されることがあります。そのため、大手企業の優待について「廃止になった」という情報が出回ると、真偽を確かめずに不安になってしまいがちです。
INPEXの場合、確認できる最新の適時開示は「株主優待制度の変更(拡充)」です。2025年11月13日に公表され、制度を縮小するのではなく、内容を手厚くする方向の見直しでした。廃止を示す発表は確認できません。
ポイント:「廃止」という言葉だけで売却を判断する前に、企業の公式な適時開示で最新の状況を確かめましょう。優待は「変更」「拡充」「縮小」「廃止」で意味がまったく違います。
優待が「変更」される場合に見るべきところ
優待の見直しが発表されたときは、次の3点を確認すると整理しやすくなります。
- 適用開始のタイミング(いつの基準日から変わるのか)
- 対象条件(必要株数・継続保有期間が変わるか)
- 内容(金額や品目が増えるのか、減るのか)
INPEXの今回の見直しは、適用開始が2025年12月31日現在の株主名簿から。継続保有に応じた特典が加わる形なので、長期保有を前提にしている株主にとっては前向きな内容といえます。
INPEX株主優待の現在の内容
制度の全体像を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象株主 | 普通株式400株以上を保有し、1年以上継続して保有している株主 |
| 基準日 | 毎年12月31日 |
| 継続保有の判定 | 毎年6月末日・12月末日の株主名簿に連続して記載 |
| QUOカード | 1年以上:3,000円相当/2年以上:5,000円相当/3年以上:7,000円相当 |
| 記念品 | 8年以上継続保有し、8年目に800株以上を保有する株主へ1回限り |
| 贈呈時期 | 毎年3月下旬頃 |
ポイント:QUOカードは保有年数が長いほど金額が増える設計です。3年以上保有すると7,000円相当が受け取れます。短期で売買するより、腰を据えて保有する人向けの仕組みです。
継続保有1年以上の数え方に注意
継続保有の判定は、6月末日と12月末日の株主名簿に連続して記載されているかどうかで行われます。たとえば、12月末に購入してすぐ基準日を迎えた場合、その時点では保有期間1年に届かないため、優待の対象になるのは翌年以降になる点に注意が必要です。
途中で一度でも株数が400株を下回ったり、売却して買い直したりすると、継続期間がリセットされる可能性があります。追加購入や一部売却をするときは、名簿に記載される日を意識しておくと安心です。
8年継続の記念品は「長期保有者への上乗せ」
今回の拡充の特徴は、8年以上の継続保有者に向けたオリジナル記念品が加わったことです。条件は、8年以上継続して保有していることに加え、8年目に800株以上を保有していること。贈呈は1回限りとされています。
つまり、400株でも優待自体は受けられますが、記念品を狙う場合は800株への積み増しが必要になります。必要な投資額は増えるため、自分の資金計画に合うかどうかを考えたうえで判断しましょう。
優待だけではない、INPEXの株主還元の全体像
INPEXの株主還元は、優待よりも配当と自己株式取得が中心です。優待の金額は比較的小さいため、投資判断では配当を含めた総合的な還元で見る方が実態に合います。
累進配当を軸にした還元方針
2025年から2027年までの中期経営計画では、1株あたり年間90円を起点とする累進配当が基本方針になっています。累進配当とは、原則として配当を減らさず、維持または増やしていく考え方です。加えて、事業環境や財務状況をふまえて機動的に自己株式を取得し、総還元性向50%以上を目指すとされています。
ポイント:累進配当は「減らさない」ことを重視する方針です。長期で持つ株主にとって、受け取る配当の見通しが立てやすいのが魅力です。
2026年12月期の配当予想
2026年12月期の年間配当は、中間56円+期末56円の合計112円を見込んでいます。直近の予想である108円から4円の増配になる見通しです。
また、当期は過去最高となる1,400億円の自己株式取得が決定されており、配当と合わせた株主還元総額は過去最高の2,703億円となる見込みとされています。
| 還元の種類 | 内容 |
|---|---|
| 配当 | 年間90円を起点とする累進配当。2026年12月期は112円見込み |
| 自己株式取得 | 過去最高の1,400億円 |
| 総還元額 | 過去最高の2,703億円の見込み |
| 株主優待 | QUOカード(保有年数で3,000〜7,000円相当)、8年継続で記念品 |
400株を持つと年間いくらの還元になる?
最低単元の優待条件である400株を例に、配当とQUOカードを合計して考えてみます。配当は2026年12月期の予想額をもとにした試算で、実際の金額は決算や配当方針によって変わる点にご留意ください。
| 保有年数 | 配当(112円×400株) | QUOカード | 合計(税引前) |
|---|---|---|---|
| 1年以上 | 44,800円 | 3,000円相当 | 約47,800円 |
| 2年以上 | 44,800円 | 5,000円相当 | 約49,800円 |
| 3年以上 | 44,800円 | 7,000円相当 | 約51,800円 |
補足:優待の金額は配当に比べると小さめですが、保有年数とともに増えるため、長く持つほど総合的な還元が手厚くなります。配当は課税対象で、QUOカードも扱いは所得として整理されるため、実際の手取りは税制や口座の種類によって変わります。
NISA口座で保有する場合の考え方
新NISAの成長投資枠でINPEXを保有する場合、配当が非課税になる点は大きなメリットです。ただし、株主優待そのものは口座の種類にかかわらず受け取れます。優待の継続保有期間は、口座を移しても名簿上で連続して記載されているかが基準になるため、口座の移管や売買のタイミングは慎重に検討しましょう。
INPEXという銘柄の特徴を知っておく
INPEXは日本最大の石油・天然ガス開発会社で、上流事業(探鉱・開発・生産)を中心に事業を展開しています。株主優待の魅力だけでなく、事業の性質もふまえて保有を考えることが大切です。
資源価格と為替の影響を受けやすい
収益は原油・天然ガスの価格や為替レートの影響を大きく受けます。価格が上向く局面では業績が伸びやすい一方、価格が下がると利益が減る可能性もあります。配当方針は累進配当で安定性を重視していますが、業績の変動と無縁ではない点を理解しておきましょう。
エネルギー転換への取り組み
同社は、石油・天然ガスの安定供給を担いながら、水素・アンモニア、CCUS(二酸化炭素の回収・貯留・利用)、再生可能エネルギーなどの分野にも取り組んでいます。長期保有を考える際は、事業ポートフォリオの変化にも目を向けると視野が広がります。
ポイント:優待目的の投資でも、まずは事業の安定性と還元方針を確認するのが基本です。優待は「おまけ」と捉え、株価の値動きや配当の水準を主軸に判断しましょう。
優待を活用するための実践ポイント
1. 基準日と名簿の確認を怠らない
基準日は毎年12月31日ですが、株式を買ってすぐに名簿へ記載されるわけではありません。受け渡しには日数がかかるため、権利付き最終日までに購入を済ませる必要があります。年末は売買が集中するので、余裕を持って準備しましょう。
2. 継続保有の記録を残す
継続保有の年数は、6月末日と12月末日の名簿の連続記載で判断されます。証券会社の取引履歴や、信託銀行から届く株主向けの通知を保管しておくと、自分の保有年数を確認しやすくなります。
3. 積み増しは資金計画とセットで
800株以上での記念品を狙う場合、必要な投資額は400株の2倍になります。優待のために無理な買い増しをする必要はありません。分散投資のバランスや、生活費との兼ね合いを見ながら判断しましょう。
4. 総合利回りで判断する
優待の金額は配当に比べると小さいため、投資判断では配当利回り+自己株式取得+優待をあわせた総合的な還元で比べるのが現実的です。他の高配当銘柄や、優待が充実した銘柄と並べて検討すると、自分に合った選択がしやすくなります。
5. 最新情報は公式の発表で確認する
株主優待や配当方針は、決算発表や中期経営計画の進捗にあわせて見直されることがあります。投資家向けの公式ページで、最新の適時開示をこまめにチェックする習慣をつけておくと、うわさに振り回されずに済みます。
よくある疑問
Q. 優待が廃止されたわけではないのに、なぜ「廃止」で検索する人が多いの?
他社で優待の廃止が相次いだことや、優待制度の見直しが発表された際に断片的な情報が広がることが背景として考えられます。INPEXについては、廃止ではなく拡充の方向で見直されています。
Q. 300株では優待を受けられない?
優待の対象は普通株式400株以上です。300株では対象外になるため、優待を受けたい場合は400株以上に積み増す必要があります。
Q. 途中で買い増した場合、継続年数はどうなる?
400株以上を保有し続けていれば、買い増しをしても継続の判定に影響しないと考えられますが、名簿への記載状況によって扱いが変わる場合があります。詳細は信託銀行や公式の案内で確認すると確実です。
Q. QUOカードはいつ届く?
例年3月下旬頃に贈呈されます。基準日の12月31日から少し間が空くので、届く時期を把握しておくと管理しやすくなります。
まとめ
INPEXの株主優待は廃止されておらず、2025年11月の発表で拡充されました。400株以上を継続保有する株主に、保有年数に応じて3,000円・5,000円・7,000円相当のQUOカードが贈られ、8年以上の継続保有かつ800株以上で記念品も受け取れる仕組みです。あわせて、累進配当と過去最高規模の自己株式取得により、株主還元全体も強化されています。優待の金額そのものは大きくありませんが、長期保有を前提にした株主にとって心強い制度です。
INPEX株主優待は廃止ではなく拡充|継続保有の条件と配当を整理をまとめました
「廃止」といううわさとは異なり、INPEXの優待は継続保有者に手厚い方向へ見直されています。400株以上・1年以上の継続保有が基本条件で、年数に応じてQUOカードの金額が増え、8年継続では記念品も加わります。優待だけでなく、累進配当(2026年12月期は年112円見込み)や1,400億円の自己株式取得を含めた総合還元で判断することが、納得のいく投資につながります。最新の状況は投資家向けの公式発表で確認しながら、自分の資金計画に合った形で保有を検討してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。個別のケースについては専門家にご相談ください。





















