- 橋梁や道路の設計を手がける建設コンサルタント「長大」は、現在は持株会社「人・夢・技術グループ」(証券コード9248)として東証スタンダード市場に上場している
- 株価はここ1年ほど1,450円台〜1,900円台のレンジで推移しており、直近は1,500〜1,700円台で値動きしている
- 予想配当利回りはおおむね3.8%台と、市場平均と比べて高めの水準にある
- 国の国土強靱化政策やインフラ老朽化対策が業績の追い風になるとみられている
- 一方で直近期の利益計画はやや慎重な数字になっており、中間決算の進捗率の高さとのギャップにも注目したい
長大とは何者か——建設コンサルタントが持株会社体制に
「長大」という社名で検索すると、かつて東京証券取引所に単独で上場していた建設コンサルタント会社がヒットする。長大は橋梁の設計を中心に、道路計画、交通・ITS(高度道路交通システム)、環境分野のコンサルティングを手がけてきた老舗企業である。ただし現在、長大という社名そのものは株式市場に直接は上場していない。2021年に単独株式移転によって持株会社体制へ移行し、現在は「人・夢・技術グループ株式会社」(証券コード9248)という社名で東京証券取引所に上場している。長大はこのグループの中核子会社という位置づけだ。
そのため「長大株」を探して投資を検討する場合は、証券コード9248の人・夢・技術グループを調べることになる。社名が変わっただけで、橋梁や道路といった社会インフラの設計・維持管理を主軸に据える事業内容そのものは引き継がれている。
上場市場区分については、2025年9月にプライム市場からスタンダード市場へ移行している点も押さえておきたいポイントだ。
事業内容——社会インフラの「守り」を支える仕事
人・夢・技術グループの事業は大きく分けて、国土基盤整備、環境・エネルギー、IT、地域創生の4分野のコンサルティング業務で構成されている。具体的には、橋梁やトンネルといった構造物の設計・点検、道路計画、防災・減災に関する調査、再生可能エネルギー関連の調査、自治体のまちづくり支援などが含まれる。
特に強みとされてきたのが橋梁分野の設計力だ。日本国内には約70万の橋が存在するとされ、その多くは高度経済成長期に建設されたため、老朽化が社会的な課題になっている。こうした構造物の点検・補修・架け替えに関する需要は、今後も安定的に発生していくとみられる分野であり、建設コンサルタント業界全体にとって事業機会になりやすい。
国は2025年6月、2026年度から2030年度までの5年間を対象とした国土強靱化の実施中期計画を閣議決定し、重点的に取り組む施策の事業規模を5年間で20兆円超と見込んでいる。こうした政策方針は、建設コンサルタント各社の受注環境にとって追い風になりやすいテーマとして注目されている。
株価の現在地と値動きの特徴
人・夢・技術グループの株価は、この1年ほどでおおむね1,450円台から1,900円弱のレンジで推移してきた。時期によって変動はあるものの、直近では1,500円台後半から1,700円台のあたりで値動きする場面が目立っている。時価総額はおよそ150億円前後の規模で、東証スタンダード市場の中では中小型株に位置づけられる銘柄だ。
株価指標を見ると、予想PER(株価収益率)は11倍前後、実績PBR(株価純資産倍率)は0.6倍前後となっており、資産価値に対して株価が割安な水準にあるとの見方もできる。PBRが1倍を下回っている銘柄は、保有する純資産に対して株式市場からの評価が控えめになっていることを意味するため、割安株として関心を持たれやすい特徴がある。
| 指標 | 目安の水準 |
|---|---|
| 52週レンジ | 概ね1,450円台〜1,900円弱 |
| 予想PER | 11倍前後 |
| 実績PBR | 0.6倍前後 |
| 時価総額 | およそ150億円前後 |
※上記の数値は取材時点の目安であり、日々の取引で変動する。最新の株価は証券会社の取引ツール等で確認してほしい。
業績のトレンドを読む——受注・売上高・利益の推移
直近期の業績を振り返ると、受注高は約462億円(前期比4.4%増)、売上高は約460億円(前期比15.5%増)と、いずれも前の期を上回る水準で着地している。社会インフラの維持・更新に関する案件が積み上がってきたことが、増収の背景にあるとみられる。
一方で、今期(2026年9月期)の会社計画を見ると、売上高は約448億円(前期比2.6%減)、営業利益は約23億円(同14.3%減)、純利益は約12億円台(同21.0%減)と、やや保守的な数字が並んでいる。ただし、中間期(2026年3月期)の時点ですでに経常利益が約37億円に達しており、これは通期計画に対して160%を超える進捗率になっている。このように期初計画と中間時点の実績に大きな開きが生じているケースでは、下期の業績見通しが保守的に設定されている可能性があり、通期決算や進捗の発表のタイミングで上方修正が行われるかどうかが注目される。
建設コンサルタント業界は、大型案件の検収時期によって四半期ごとの業績が上下しやすい業態である。単月・単四半期の数字だけで一喜一憂せず、通期・複数年の受注動向や進捗率を合わせて確認する姿勢が役に立つ。
配当利回りの魅力度
株主還元の面では、今期の予想配当は1株あたり60円前後とされており、直近の株価水準で計算すると予想配当利回りはおおむね3.8%台になる。実績ベースの配当利回りで見ると4%台に乗る場面もあり、東証全体の平均的な配当利回り水準と比べても相対的に高めの数字といえる。
配当利回りが高い銘柄は、株価が下落局面にあるときの下支え要因として意識されやすい一方、減配のリスクや業績の下振れとセットで利回りが「見かけ上」高くなっているケースもあるため、配当性向や利益の裏付けと合わせて確認することが大切だ。
- 予想配当利回りはおおむね3.8%台で推移
- 前期比では配当額がやや減る計画になっている年もあり、増配・減配のトレンドは決算ごとに確認したい
- インカムゲイン(配当収入)狙いの長期保有を検討する際は、利益の継続性も合わせてチェックすると安心感が増す
投資を検討する際に押さえておきたい注意点
長大(人・夢・技術グループ)への投資を考えるうえでは、いくつか意識しておきたい論点がある。
まず、公共投資への依存度が高い業態であることだ。国や自治体の予算動向、インフラ関連の政策方針によって受注環境が左右されやすい。国土強靱化のような追い風となる政策テーマがある一方で、将来的に公共事業予算の配分が変わった場合には影響を受ける可能性がある。
次に、技術者の確保・人件費の動向も収益性に関わってくる要素だ。建設コンサルタント業界全体で技術者不足が指摘されており、人件費の上昇や採用競争の激化が利益率に影響を与える可能性がある。
さらに、東証スタンダード市場に属する中小型株であるため、プライム市場の大型株と比べて出来高が少なく、株価が値動きしやすい場面があることにも留意したい。短期的な材料よりも、受注残高や中期経営計画の進捗といった中長期的な指標を軸に見ていく姿勢が、この銘柄との付き合い方として合っているといえそうだ。
割安感のあるPBR水準、相対的に高めの配当利回り、インフラ老朽化という構造的な需要という「買い材料」と、公共投資依存・人件費上昇という「注意材料」の両方を天秤にかけて、自分の投資スタンスに合うかどうかを見極めることが大切になる。
まとめ
長大は現在、持株会社「人・夢・技術グループ」(証券コード9248)の中核子会社として、橋梁や道路をはじめとする社会インフラの設計・維持管理コンサルティングを手がけている。株価はここ1年ほど1,450円台から1,900円弱のレンジで推移し、予想PERは11倍前後、実績PBRは0.6倍前後と割安感のある水準にある。配当利回りはおおむね3.8%台と相対的に高く、インカムゲインを重視する投資家にとっても関心を持たれやすい銘柄だ。
業績面では、前期の受注・売上高が過去の水準を上回って推移した一方、今期の会社計画はやや保守的な数字になっており、中間決算の進捗率の高さとのギャップが今後の決算発表で注目される。国土強靱化やインフラ老朽化対策という構造的な追い風がある一方、公共投資への依存度や人件費動向といった注意点も存在するため、短期的な株価の上下に振り回されず、受注動向や配当方針を定期的に確認しながら中長期的な視点で付き合っていく銘柄といえそうだ。
長大株(9248)の株価と配当利回りを読み解くコツをまとめました
長大株に投資妙味を感じるなら、まずは証券コード9248・人・夢・技術グループとして最新の株価や決算情報を確認することが出発点になる。割安なPBR水準や3%台後半の配当利回りは魅力である一方、公共投資に左右されやすい事業構造という特性も踏まえたうえで、受注残高や中期経営計画の進捗を継続的にウォッチしていく姿勢が、この銘柄と上手に付き合うコツといえるだろう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。個別のケースについては専門家にご相談ください。

















